米国の対カナダ関税25%、カナダの人々は「双方の経済に打撃」 video poster
米国がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す措置を3月4日に発動しました。国境をまたぐサプライチェーンが当たり前になったいま、この国際ニュースは北米の経済だけでなく、世界の貿易の行方を考えるうえでも無視できません。
米国が発動した25%関税、その狙い
関税は、輸入されるモノに上乗せされる税金です。今回の25%という高い追加関税は、カナダとメキシコから米国に入る幅広い品目を対象としています。
トランプ米大統領は3月3日、「あす、カナダとメキシコに25%の関税をかける。それが始まる……。だから彼らは、自動車工場やその他の施設を米国内に建てなければならなくなるだろう」と発言しました。米国側は、関税をてこに企業の生産拠点を自国に呼び戻すことを狙っているとみられます。
カナダの人々の受け止め「両方の経済にとってマイナス」
中国の国際メディアCGTNのカナダ駐在記者が行った街頭インタビューでは、今回の追加関税について、現地の人々からさまざまな声が聞かれました。多くの人が共通して口にしたのは、「米国とカナダの両方の経済に悪影響が出るのではないか」という懸念です。
ある市民は「この政策はカナダの生産者や農家を本当に傷つけるわけではなく、むしろアメリカの人々を傷つけることになる。関税の代償を払うのは彼らだからだ」と話しました。関税は一見、輸出相手国を狙った圧力のように見えますが、「最終的な負担者」が誰なのかを冷静に見ている声だといえます。
誰が関税の「代償」を払うのか
一般的に、関税は輸入業者がいったん支払いますが、そのコストは卸売価格や小売価格に上乗せされることが多く、最終的には消費者が高い価格として負担することになります。インタビューの「アメリカの人々が代償を払う」という指摘は、この仕組みを反映した見方です。
同時に、カナダ側の企業や農家にとっても、米国市場への輸出が減れば売り上げ減や雇用への影響が避けられません。国境をまたぐ貿易が密接な地域では、一方だけが傷つくというより、双方の経済がじわじわとダメージを受ける傾向があります。
北米の相互依存と、強硬な通商政策のリスク
自動車産業をはじめとする製造業では、部品や原材料がカナダ、メキシコ、米国のあいだを何度も行き来しながら一つの製品が完成します。その途中のどこかで高い関税がかかれば、企業はコストと手続きの負担を強く意識せざるを得ません。
短期的には、企業は価格転嫁やコスト削減、投資計画の見直しなどで対応しようとしますが、中長期的には「生産拠点をどこに置くか」という判断にも影響が及びます。関税によって国内回帰を促したいという狙いがあったとしても、その過程でサプライチェーン全体が不安定になれば、投資そのものが先送りされる可能性もあります。
このニュースから考えたいポイント
カナダの街頭インタビューは、国境を越えた経済のつながりを生活者の目線から映し出しています。日本にいる私たちにとっても、いくつか考えさせられるポイントがあります。
- 関税という政策は「外国たたき」に見えても、最終的に自国の消費者や企業にも跳ね返ることが多いこと。
- 隣国との貿易や人の往来が密な地域では、一方的な勝ち負けではなく、双方のコストとリスクが増える可能性が高いこと。
- 国際ニュースの数字や声明だけでなく、現地の人々の声に耳を傾けることで、政策の影響をより立体的に理解できること。
国際ニュースは、遠い場所の出来事のように見えても、物価や雇用、経済の安定といったかたちで、やがて私たちの日常にも波及します。カナダの街頭で語られた「誰が代償を払うのか」という問いは、各国が通商政策をめぐって選択を迫られている今、私たち自身にも向けられていると言えそうです。
Reference(s):
We Talk: Canadians believe U.S. tariffs will harm both economies
cgtn.com








