EU報復関税でフランスに『米国製品ボイコット』論 現地の本音は? video poster
欧州連合(EU)が米国製品への報復関税を打ち出したことで、フランスの街頭では「米国製品ボイコット」をめぐる議論が高まっています。国際ニュースとして一見遠く感じるこの動きは、市民一人ひとりの消費行動とどのようにつながっているのでしょうか。
EUの報復関税、今年3月に何が決まったのか
欧州委員会は2025年3月12日、米国による鉄鋼とアルミへの一律関税に対抗し、翌月の4月から260億ユーロ(約280億ドル)相当の米国製品にカウンター関税を課すと発表しました。これは、いわゆる報復関税です。
EUの対抗措置は二段階で導入され、4月1日に開始し、4月13日に全面的に適用されるスケジュールでした。対象とされた米国製品は幅広く、企業だけでなく、市民の日常生活にも影響しうる内容だと受け止められています。
フランス市民の声 ボイコット支持と慎重論が交錯
こうしたEUのカウンター関税を背景に、フランスで行われた街頭インタビューでは、市民の反応は大きく分かれました。ある人は、貿易戦争がエスカレートすることで経済や雇用に悪影響が出るのではないかと心配し、別の人は、積極的に米国製品やサービスの消費を減らし、地元や欧州の代替品を選ぶべきだと語っています。
インタビューから見えてくる主な論点は、次の二つです。
- 米国製品やサービスの利用を減らし、自国や欧州の企業を応援したいというボイコット支持
- 関税の応酬で貿易戦争が激化すれば、最終的な負担は市民や中小企業に及ぶという慎重論
「地元のものを選びたい」ボイコット支持派
米国発の飲食料品やデジタルサービス、エンターテインメントは、フランスでも日常に深く入り込んでいます。ボイコットを支持する人びとは、そうした米国製品やサービスの利用を意識的に減らし、フランス産や欧州産の代替品を選ぶことで、自分たちの経済を支えられるのではないかと考えています。
彼らにとってボイコットは、単なる感情的な反発ではなく、毎日の消費行動を通じて貿易政策への不満や自国産業への支持を表明する、一種の静かな抗議手段といえます。
「貿易戦争の悪循環が怖い」慎重派
一方で、ボイコットや関税の応酬が続けば、価格上昇や供給の混乱を通じて、結局は生活者や中小企業が打撃を受けるのではないかという懸念も根強くあります。
特に、米国との貿易に依存する企業にとっては、関税の引き上げや取引縮小は、売り上げだけでなく雇用にも影響しかねません。そのため慎重派は、政治的なメッセージのために一般の人びとが犠牲になるべきではないという思いを抱いています。
なぜ「米国製品」が象徴になりやすいのか
今回のような国際ニュースでは、米国製品のボイコットが象徴的に語られがちです。その背景には、フランスを含む欧州社会において、米国のブランドやサービスが強い存在感を持っているという現実があります。
映画や音楽、飲食チェーン、テクノロジー企業のサービスなど、米国発のコンテンツや商品は、市民の日常生活のさまざまな場面に浸透しています。そのため、消費行動を通じて政治的な意思を示そうとするとき、米国製品は「選びやすい対象」になりやすいのです。
消費者ボイコットは政策を動かせるのか
では、フランスで語られている米国製品ボイコットの動きは、どこまで影響力を持ちうるのでしょうか。消費者ボイコットは、すぐに貿易政策を変えるほどの直接的な力を持たない一方で、世論の方向性を示すシグナルとしては無視できない存在です。
企業にとって、一部の消費者が離れ始めるという兆しは、ブランドイメージや中長期の戦略を見直すきっかけになります。政府にとっても、国民感情がどこに向いているかは、相手国との交渉姿勢を考えるうえでの重要な材料になりえます。その意味で、ボイコットは選挙以外の「静かな投票」のような役割を果たすことがあります。
日本からこのニュースをどう読むか
日本の読者にとっても、今回のEUと米国の関税問題、そしてフランス市民の反応は、決して無関係な話ではありません。グローバル経済の中で、日本もまた各国の貿易摩擦や関税政策の影響を受ける立場にあり、国際ニュースの動きは日本経済や企業活動にも波及しうるからです。
同時に、日々の買い物やサービス選びを通じて、自分たちがどの国やどの企業のビジネスを支えているのかを意識することも、これからますます重要になっていきます。本記事では、この国際ニュースを日本語ニュースとして整理してきましたが、最後に三つの問いを共有したいと思います。
- 私たちは、どの国の製品やサービスにお金を払っているのかを意識しているでしょうか。
- もし日本で同じような関税問題が起きたとき、自分の消費行動を変える準備はあるでしょうか。
- ボイコット以外に、市民が国際問題に関わる方法として何がありうるでしょうか。
EUの報復関税とフランス市民の揺れる感情は、国際政治が私たちの買い物と直結していることを静かに示しています。ニュースをただ追うだけでなく、自分自身の選択や価値観を見直すきっかけとして受け止めてみると、新しい視点が見えてくるかもしれません。
Reference(s):
We Talk: French public expresses intent to 'boycott' American goods
cgtn.com








