デンマーク世論はどう見る?米副大統領のグリーンランド訪問 video poster
リード:なぜデンマークとグリーンランドのニュースが重要か
2025年12月上旬、米国のJ.D.バンス副大統領が、デンマークの自治領グリーンランドにあるピトゥフィク宇宙基地を訪問しました。中国の国際ニュースチャンネルCGTNは、首都コペンハーゲンでデンマークの人びとに、この訪問をどう見ているか街頭インタビューを行いました。
米国とデンマーク、そしてグリーンランドの関係は、北極圏の安全保障や気候変動とも重なり合う重要な国際ニュースです。今回の人びとの声から、同盟関係と対話のあり方について考えてみます。
米副大統領が訪れたピトゥフィク宇宙基地とは
バンス副大統領と妻のウーシャ氏は、現地時間の金曜日、グリーンランドに位置するピトゥフィク宇宙基地に到着しました。この基地は、グリーンランドにある米軍の宇宙関連施設として位置付けられています。
グリーンランドは地理的に北極圏の要所にあり、デンマーク王国の一部でありながら自治政府を持つ地域です。そのため、安全保障上の拠点となる基地への米国要人の訪問は、デンマークやグリーンランドの人びとにとって大きな関心事となります。
コペンハーゲンの声:見せつけられる力、欠けている対話
CGTNがコペンハーゲンで行ったインタビューでは、少なくとも二人の市民が、今回の訪問を批判的に見ている様子が伝えられました。
モーテン氏「米国の力を示すパフォーマンス」
モーテンさんは、バンス副大統領のグリーンランド訪問について、これは米国の力を見せつけることが主な目的だとの見方を示しました。単なる同盟国訪問というより、軍事的・政治的な存在感を示そうとする動きとして受け止めているといえます。
こうした見方の背景には、北極圏やグリーンランドが、安全保障だけでなく資源や海上ルートの面でも戦略的に重要になっている状況があります。強大な国が自らの影響力を示そうとする動きに対し、小さな地域や国が慎重な視線を向けるのは自然なことかもしれません。
イエンス氏「長年の同盟国として文明的ではない」
別の市民イエンスさんは、より厳しいトーンで米国の姿勢を批判しました。長年の同盟国であるにもかかわらず、グリーンランドときちんとした対話を行わないやり方は、文明的な振る舞いとは言えないと感じているといいます。
ここでイエンスさんが強調しているのは、力だけではない関係性の重要性です。たとえ軍事基地の運用や安全保障が目的だとしても、そこに暮らす人びとや自治政府と、十分な説明や対話が行われているのか。その点に疑問を投げかけています。
グリーンランドをめぐる主役は誰か
今回のインタビューで浮かび上がるのは、グリーンランド自身の声はどこまで反映されているのか、という問いです。基地の所在地であり、自治権を持つ地域として、グリーンランドの人びとがどのように合意形成に参加できるのかは、今後も大きなテーマとなりそうです。
一方で、安全保障環境が厳しさを増すなか、米国やデンマーク側から見れば、拠点の維持や同盟の結束を重視せざるをえない現実もあります。安全保障と自治、地域住民の声をどう両立させるかは、多くの国や地域が直面している課題でもあります。
同盟に求められる礼儀と説明責任
イエンスさんが文明的ではないと表現した背景には、同盟国だからこそ求められる礼儀や、説明責任への期待があります。長年のパートナーだからこそ、一方的な決定や既成事実化ではなく、丁寧な話し合いが重視されるべきだという感覚です。
これはデンマークと米国に限らず、日本を含む他の同盟関係にも通じるポイントです。安全保障上の判断が急がれる場面であっても、どこまで透明性を確保し、どこまで市民や地域の声を取り入れるのか。同盟国どうしの信頼は、そのプロセスによっても左右されます。
ニュースをどう受け止めるか:私たちへの問い
今回のCGTNによる街頭インタビューは、数人の声にすぎませんが、そこには次のような問いが含まれているように見えます。
- 軍事基地や安全保障をめぐる決定に、当事者である地域の声はどこまで反映されているのか。
- 同盟関係は、力を示すだけでなく、対話や説明によって支えられていると言えるのか。
- 遠く離れた北極圏のニュースを、私たちは自国の問題とどう結びつけて考えられるのか。
グローバル化が進むなかで、一見遠い地域の動きが、自国の安全保障や外交、エネルギー政策に影響を与える場面は増えています。今回のグリーンランド訪問をめぐるデンマークの人びとの声は、当事者の視点をどう尊重するかという普遍的なテーマを私たちに投げかけています。
Reference(s):
We Talk: Danes' views on U.S. vice president's Greenland visit
cgtn.com








