菏沢の牡丹がロサンゼルスへ 面塑アートがつなぐ中国文化 video poster
「国の繁栄と人々の幸福」の象徴とされてきた牡丹。その物語が、いま中国東部・山東省菏沢市からロサンゼルスへと広がっています。中国の伝統的な花である牡丹は、国際ニュースの舞台でも静かに存在感を高めています。
山東省菏沢市では、2025年世界牡丹会議と第34回菏沢国際牡丹文化観光祭が開幕しました。中国の牡丹の都として知られるこの街には、国内外から研究者や観光客が集まり、牡丹を通じた文化と観光の可能性が語られています。
牡丹は文化のアンバサダー
中国の象徴的な花である牡丹は、いまや一国のシンボルを超え、文化のアンバサダーとして世界各地をつないでいます。世界の園芸の歴史の中で、牡丹は東洋的な美意識に独自の存在感を刻んできました。
中国の英語ニュースチャンネルCGTNは、複数の国からアーティストを招き、牡丹文化がどのように国際的な認知を得てきたのか、異なる文化的背景の中でどのような魅力を持つのかを語ってもらいました。共有されるキーワードは、豊かさや幸せ、尊厳といった普遍的な願いです。
ロサンゼルスで咲く「面塑の牡丹」
そうした牡丹文化の広がりを象徴する一人が、菏沢出身の芸術家、Shi Zhenshan(シー・ジェンシャン)さんです。
Shiさんは菏沢生まれ。8歳のころから父親に教わり、中国の伝統的な面塑(小麦粉の生地を使った立体造形)の技を身につけてきました。60年以上にわたり技を磨き続け、中国の無形文化遺産の伝承者として活動しています。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)と中国民間文芸家協会からは、民間工芸美術の巨匠にあたる称号も授与されています。長年にわたり地域に根ざした技を守り、次世代に受け継ぐ役割も担ってきました。
2006年からはアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移し、面塑を通じて中国文化を海外に紹介する取り組みを続けています。菏沢の牡丹文化と面塑を組み合わせ、色とりどりの生地で牡丹の花をかたどった作品を制作し、現地のイベントなどで披露してきました。
Shiさんは「アメリカの人たちは牡丹が大好きです」と話します。作品をきっかけに中国の物語や歴史を紹介し続けることで、人々は次第に、牡丹が「富貴と名誉の花」とされる文化的な意味合いにも関心を向けるようになったといいます。
花一輪から始まる対話
牡丹のイメージは国や地域によって異なりますが、より良い暮らしを願う気持ちという根っこは共通しています。中国東部の菏沢で咲く花が、ロサンゼルスで面塑として再び咲き、多様なバックグラウンドを持つ人々を結びつけているのです。
国際ニュースとしての牡丹文化は、政治や経済とは違うレベルで、日常に近い形での文化交流を映し出します。SNSで作品の写真や動画がシェアされ、そこから中国やアジアへの関心が生まれる。そうした小さなきっかけの積み重ねが、互いの理解を深めていくヒントになるのかもしれません。
菏沢の牡丹とロサンゼルスの街角で咲く面塑の花。そのあいだに横たわる距離は遠くても、一輪の花が結ぶ物語は、私たちの暮らしのすぐそばにあります。次に牡丹の花を目にしたとき、その向こうにある誰かの文化や人生に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Peonies across cultures: Heze peony dough blooms in Los Angeles
cgtn.com








