米国の関税強化で揺れる中小企業 ダラスの起業家が語る不安 video poster
アメリカの関税強化が続くなか、現場で事業を回す中小企業の不安が高まっています。2025年現在も、関税をめぐる政策は、米国経済だけでなく国際ニュースとして世界の関心を集めています。
トランプ政権以降の関税強化が残したもの
トランプ政権が発足して以降、アメリカは一連の関税を導入し、輸入品のコストを引き上げてきました。これにより、国内の企業や消費者が負担するコストは増加し、日々の暮らしやビジネスにじわじわと影響が広がっています。
こうした関税政策は、海外との摩擦や報復関税も呼び込み、貿易摩擦を一段と激しくしました。その結果、企業は仕入れ価格の上昇に直面し、消費者も品物の値上がりを通じて負担を感じています。株式市場の変動も大きくなり、複数の州が関税措置に対して訴訟を起こすなど、政治と経済が絡み合う状況が続いています。
ダラスの現場から見える中小企業の苦悩
こうしたアメリカ経済の変化は、統計だけでは見えにくい日常のストレスとなって現れています。CGTNのダラス在住ストリンガー、ジュリー・アルテマス氏が取材したのは、その最前線に立つ一人の小規模事業者です。
テキサス州ダラスで理学療法士として働きながら、アクティブウェアブランドを立ち上げたハリソン・ルイスさんは、多くの中小企業と同じように、関税の上昇によるコスト増と向き合っています。商品を製造し、顧客に届けるまでのあらゆるプロセスで、以前よりもお金と時間がかかるようになっているといいます。
終わりの見えないサプライヤー探し
ルイスさんが特に苦労しているのは、国際的なサプライチェーンの見直しです。関税で仕入れ価格が上がる中、事業を続けるためには、少しでもコストを抑えられる海外のサプライヤーを探し続けなければなりません。
しかし、新しい取引先を見つけるには、品質の確認や契約条件の調整、輸送コストの見積もりなど、多くの手間がかかります。中小企業は専門部署を持てないことも多く、その負担は経営者本人に集中しがちです。ルイスさんも、理学療法士としての本業とブランド運営の両立に加え、サプライヤー探しに時間と労力を割かざるをえない状況に置かれています。
食料、ガソリン、旅行…生活コストの上昇
関税の影響は、ビジネスの世界だけにとどまりません。アメリカでは、食料、ガソリン、旅行といった日々の支出が上昇し続けており、国民一人ひとりの生活を圧迫しています。
ルイスさんのような中小企業の経営者は、次のような二重のプレッシャーにさらされています。
- 仕入れや製造コストの上昇で、事業の採算を維持するのが難しくなる
- 自分自身も一人の消費者として、食費や交通費の値上がりに直面する
家計と経営、両方の立場でコスト増に直面することで、将来への不安はさらに強まります。値上げをすれば顧客離れが心配になり、価格を据え置けば自分の利益が削られるという、厳しい選択を迫られているのです。
株式市場の変動と訴訟が映すもの
関税政策をめぐっては、一部の州が連邦政府を相手取って訴訟を起こすなど、政治的な対立も表面化しています。これは、関税が単なる経済政策ではなく、地域経済や雇用、企業活動に直結する問題であることを示しています。
株式市場の変動も、投資家がこうした不透明感に敏感に反応していることの表れです。大きなニュースや新たな関税措置が報じられるたびに、企業の株価が揺れ動き、中小企業にとっては資金調達の難しさや将来の見通しの立てづらさにつながります。
リスクをとる人たちが疲弊するとき
中小企業は、新しいアイデアやビジネスモデルを試し、地域の雇用を支える重要な存在です。しかし、関税やコスト増によるプレッシャーが続くと、リスクをとって挑戦しようとする人たちが疲弊してしまいます。
ルイスさんのように、本業を持ちながら起業した人にとって、関税によるコスト増は、事業を続けるかどうかを左右するほど深刻な意味を持ちます。挑戦を続けたいという思いと、現実的な数字との間で、悩みながら日々の経営判断を行っているのです。
日本から見るアメリカの関税問題
日本の読者にとって、アメリカの関税や中小企業の問題は、一見すると遠い国のニュースに見えるかもしれません。しかし、国際ニュースとしての意味は小さくありません。
- グローバルなサプライチェーンの一部として、日本企業や日本の中小企業も影響を受ける可能性がある
- 関税によるコスト増は、アメリカ市場向けの価格設定や輸出戦略にも影響する
- 生活コストの上昇と中小企業の悩みという構図は、日本を含む他の国々でも共有しうるテーマである
アメリカの関税政策と、その現場で苦しむ小規模事業者の声に耳を傾けることは、グローバル経済の変化を自分ごととしてとらえるヒントになります。数字や政策だけでなく、ダラスの一人の理学療法士兼起業家のような具体的な生活の物語に目を向けることで、国際ニュースはより立体的に見えてきます。
考えてみたい問い
関税は、国内産業を守る手段として語られることが多い一方で、その負担は中小企業や消費者に重くのしかかります。今後、どのようにすれば、国際競争力と生活の安定、両方のバランスをとれるのか。ハリソン・ルイスさんのような現場の声は、その問いを私たち一人ひとりに投げかけているように見えます。
アメリカの関税をめぐる動きは、2025年の今も、世界経済と私たちの日常を静かに揺らし続けています。
Reference(s):
cgtn.com








