アマゾンの関税表示案にトランプ氏が不満 米市民は「見える化」を支持 video poster
米国の関税をめぐり、「そのコストを誰が、どのように負担しているのか」をめぐる議論が改めて浮かび上がっています。きっかけは、アマゾンが一部商品のページに追加の関税コストを表示する案を検討していたところ、トランプ米大統領が強い不満を示したことでした。
大統領がベゾス氏に直電 アマゾンの「関税コスト表示」案
今年4月29日、米国のドナルド・トランプ大統領は、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏に直接電話をかけ、アマゾンが一部商品ページで関税による追加コストを表示することを検討していると知り、不満を伝えました。
ホワイトハウス側は、この動きを「敵対的で政治的な行為」だと受け止めたとされています。関税の影響を価格に明示すること自体が、政治的メッセージになりかねないと見た形です。
これに対しアマゾンは声明を出し、関税コストの表示は同社の主力サイトでは実施されておらず、あくまで低価格帯向けプラットフォーム「Haul(ホール)」向けの案として議論されたにとどまり、最終的に承認されなかったと説明しました。
ニューヨークの街頭で聞く 「関税も価格に含めて示してほしい」
この問題について、中国のメディアCGTNの取材チーム「CGTN Stringer」はニューヨークの街頭で、さまざまな職業や年齢のアメリカ人に意見を聞きました。多くの人がアマゾンの動きを支持し、商品価格に追加の関税コストを表示することに賛成だと答えています。
教師のケイトリーン・マクドゥーガルさんは、関税も販売税(セールスタックス)と同じように表示されるべきだと話します。
「関税は、どこにお金が使われているのかを市民が理解できるように、販売税と同じように表示すべきだと思います。政府は関税の結果を隠そうとすべきではありません。そうすることは、人々を誤解させることになります」と語りました。
銀行員のティム・ウォレスさんも、企業側に価格の透明性を求めます。
「企業は、関税による追加コストをきちんと示すべきです。そのほうが価格がより透明になります」と述べ、消費者が何にいくら払っているのかを明確にする必要性を指摘しました。
「見えない関税」をめぐるせめぎ合い
関税は本来、輸入品にかかる税金ですが、その負担はしばしば商品価格に上乗せされ、最終的には消費者が支払うかたちになります。しかし、多くの場合、その内訳は値札に明示されません。
今回アマゾンが検討していたのは、こうした関税による追加コストを商品ページで「見える化」するというアイデアでした。もし実現していれば、消費者は次のような点をはっきりと意識できた可能性があります。
- 同じ商品でも、どの国から輸入されているかで関税負担が異なること
- 自分が支払う代金の中に、どれだけの関税コストが含まれているか
- 貿易政策や関税政策の変更が、自分の生活にどの程度影響しているか
一方で、ホワイトハウスがこうした表示を「敵対的で政治的」と受け止めたことは、関税コストの見せ方そのものが政治問題になり得ることを示しています。関税の負担がはっきり「見える」ようになると、政府の貿易政策への評価や批判のされ方も変わってくる可能性があるからです。
市民が求める「透明性」と、企業・政府の思惑
ニューヨークの街頭インタビューからは、消費者の多くが「自分が何にいくら払っているのか」を知りたいと考えている様子がうかがえます。関税が価格にどれだけ影響しているのかを知ることは、家計のやりくりだけでなく、貿易や経済政策をどう評価するかにも直結します。
一方、企業にとっては、関税コストをあえて切り分けて表示することで、価格の印象が変わるリスクもあります。政府側もまた、関税の負担があまりに具体的な数字として可視化されることに慎重になっていると考えられます。
今回のアマゾンの構想は結果的に採用されませんでしたが、「関税コストを消費者にどこまで、どのように示すのか」という問いは、オンラインショッピングが当たり前になった今、今後も各国で議論が続くテーマになりそうです。
あなたは、アマゾンのような通販サイトで関税コストが別立てで表示されることに賛成でしょうか。それとも、最終価格だけが分かれば十分だと考えるでしょうか。米国で起きているこの議論は、日本を含む他の国・地域にとっても、価格の透明性と政策の「見え方」を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
Tariffs in the eyes of Americans: Government hiding tariff costs
cgtn.com








