米国の関税政策は自傷行為か ニューヨーク市民の声を聞く video poster
米国が打ち出した「報復関税」政策をめぐり、その影響は誰が負担しているのか──今年4月2日に始まった関税措置から約1カ月後、ニューヨークで行われた街頭インタビューは、「自国を傷つける政策ではないか」という市民の不安を映し出していました。
この国際ニュースは、日本語で世界の動きを追いたい読者にとっても、米国発の関税政策がどのように市民の日常に影響していくのかを考える手がかりになります。
米国で続く「報復関税」政策
米国が開始した今回の関税措置は、英語で「reciprocal tariff」と呼ばれています。4月2日に発動されて以降、米国が引き起こした関税戦争は、同国の経済構造を揺さぶり、さまざまな分野でマイナスの影響が出ているとされています。
関税とは、輸入品にかかる税金のことです。一見すると自国産業を守るための有効な手段に見えますが、その負担は多くの場合、企業や消費者に転嫁され、物価や投資に影響を及ぼします。
ニューヨークの街角から聞こえる声
中国の英語ニュースチャンネルであるCGTNのストリンガーは、ニューヨークの街に出て、年齢も職業も異なる人びとに現在の関税政策について意見を聞きました。銀行員、教師など、日々の仕事を通じて経済の変化を肌で感じる人たちが、それぞれの立場から懸念を語っています。
銀行員「最終的に払うのは顧客だ」
銀行員のティム・ウォレスさんは、関税の負担がどこに行き着くのかという点を指摘しました。ウォレスさんによると、関税は名目上は海外からの輸入品に課されているものの、そのコストは価格に転嫁され、最終的には顧客が支払うことになるといいます。
企業の利益が圧迫されれば、投資や雇用が抑えられ、そのしわ寄せもまた一般の人びとの生活に返ってきます。ウォレスさんの見方は、「関税は自国の消費者や企業にも重い負担を強いる」という経済の基本的な仕組みを端的に表していると言えます。
教師「超強大な経済が崩壊寸前に」
教師のケイトリーン・マクドゥーガルさんは、もっと強い言葉で現在の状況を語りました。マクドゥーガルさんは、かつては非常に強かった米国経済が、今や「崩壊のふち」に立たされていると感じているといいます。
彼女は、この関税政策を「自分で自分を傷つける行為」、いわば自傷行為だと表現しました。自国の経済力を損ないかねない政策を、あえて自ら選び取っているのではないかという疑問がにじみます。
なぜ「自傷的な関税」になり得るのか
関税は、一見すると自国産業を守るための強い手段に見えますが、実際には次のような副作用が指摘されます。
- 輸入品の価格が上昇し、消費者の生活コストが上がる
- 企業の仕入れコストが増え、投資や雇用が抑制される可能性がある
- 貿易相手国が報復措置をとれば、輸出産業も打撃を受ける
今回の「報復関税」措置についても、ニューヨークの市民の声からは、「守りたいはずの自国経済を、逆に弱らせてしまうのではないか」という懸念が読み取れます。
2025年の視点から見えるもの
2025年の今、この関税政策をめぐる議論は、世界経済や貿易のあり方を考えるうえで避けて通れないテーマになっています。4月2日に始まった措置から約1カ月後のニューヨークで、市民が「顧客がツケを払う」「自傷行為だ」と語った事実は、関税が誰を守り、誰に負担を強いているのかを問い直す材料となります。
今後、米国の政策決定者がどのように国内の声を汲み取り、経済と貿易のバランスをとっていくのか。ニューヨークの街角から聞こえた率直な意見は、世界の読者にとっても、「関税は本当に自国のためになっているのか」という問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com







