日本語で読む国際ニュース:中国文明の象徴・万里の長城を描くCGTN『Ask China』 video poster
中国の代表的な観光地といえば万里の長城を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。中国の国際メディア CGTN の番組『Ask China』は、その万里の長城を「中国文明を象徴する場所」としてあらためて紹介し、中国と世界をつなぐ物語として描き出しています。
視聴者の疑問から始まる中国案内
『Ask China』は、中国に関する素朴な疑問に専門家や研究者が答える形式のシリーズです。今回取り上げられたのは「中国で最も行く価値のある場所はどこか」という質問でした。その答えとして紹介されたのが、万里の長城です。
番組に登場したのは、中国伝媒大学の博士課程に在籍する劉起(Liu Qi)さんです。彼は万里の長城の居庸関区間から説明を行い、長城の成り立ちや歴史、そして興味深い事実をいくつも紹介しています。
単なる歴史遺産ではなく「つながり」の象徴
劉さんが強調するのは、万里の長城が「古い城壁」以上の存在だという点です。長城は中国の歴史や文明を物語るだけでなく、過去と現在、中国と世界、人と人を結びつける象徴だと説明します。
番組では、万里の長城が持つ意味が次のような観点から語られています。
- 過去と現在をつなぐ:古代から続く歴史の上に、現代の人びとの生活や旅行が重なっている。
- 中国と世界をつなぐ:世界各地から訪れる旅行者が、同じ場所でそれぞれの体験と物語をつくっている。
- 個人と歴史をつなぐ:そこを歩く一人ひとりが、長城の新しいストーリーの一部になる。
現場から伝えるスケール感と臨場感
今回のエピソードの特徴は、解説者自身が万里の長城の上に立ちながら話している点です。城壁が遠くまで伸びる様子や周囲の風景を背景にすることで、長城のスケール感や存在感がより具体的に伝わります。
劉さんは、長城を訪れることは教科書に載った歴史を「自分の足で歩いて確かめる」体験だと位置づけ、実際に現地を訪れて自分自身の物語をつくってほしいと呼びかけています。万里の長城を「見る場所」ではなく、「自分の物語を紡ぐ場所」として捉え直している点が印象的です。
日本の読者にとっての万里の長城
日本でも万里の長城はよく知られた観光地ですが、『Ask China』の語り方は、単なる名所巡りから一歩踏み込んだ視点を与えてくれます。
たとえば、次のような問いを自分に投げかけてみることで、旅の意味が変わってくるかもしれません。
- 自分は万里の長城のどんなイメージをメディアから受け取ってきたのか。
- 実際にその場に立ったとき、イメージとどのように違って感じるのか。
- その体験を通じて、中国や自分自身の考え方はどう変わるのか。
CGTN のような国際メディアによるコンテンツは、中国自身がどのように自国の歴史や文化を語ろうとしているのかを知る手がかりにもなります。万里の長城という誰もが知る題材を通じて、自国の物語を世界にどう伝えるのか。その一つの回答が、このエピソードに示されているといえるでしょう。
「行ってみたい」を「自分の物語」に変える
2025年の今、動画やSNSで世界中の景色を見られる時代だからこそ、実際に現地を訪れて自分の五感で確かめる価値があらためて問われています。万里の長城のような象徴的な場所は、その意味を考えながら歩くことで、単なる観光を超えた体験へと変わります。
万里の長城を取り上げた今回の『Ask China』は、中国の歴史的なランドマークを、個人の体験や物語の出発点として描き直す試みともいえます。旅先の一つとして長城を眺めるだけでなく、「そこでどんな自分の物語をつくるか」という視点を持つことが、これからの国際交流のヒントになるかもしれません。
ニュースや動画コンテンツをきっかけに、万里の長城や中国文明についての理解を少しずつ深めていく。そうした静かな学びの積み重ねが、世界との距離感を変えていくのではないでしょうか。
Reference(s):
Ask China: The Great Wall – a unique symbol of Chinese civilization
cgtn.com








