ベトナムの若者が見た国連80周年 天津からつながる気候アクションの今 video poster
2025年に創設80周年を迎えた国連が、気候変動への取り組みを通じて私たちの日常にどう関わっているのか――中国本土の天津で暮らすベトナム出身の若者、ティウ・タインさんの物語から見えてきます。
中国国際テレビ局(CGTN)は今年、国連80周年に合わせて、世界の若者とともにビジュアル・ストーリーテリング企画「One Home: Shared Future」を立ち上げました。国際ニュースを、若い世代自身の視点で語り直す試みです。
その一編として登場するティウ・タインさんは、自身の経験を通じて、国連を「遠い国際機関」ではなく日々の暮らしを支える存在として捉えるようになった若者です。
国連80周年と「One Home: Shared Future」
2025年は、第二次世界大戦後に設立された国際連合(国連)が創設80周年を迎える節目の年です。このタイミングに合わせて実施された「One Home: Shared Future」は、映像やビジュアル表現を通じて、若者が人類の未来への希望や不安を語る国際ニュース企画として位置づけられています。
狙いはシンプルです。
- 地球という「一つの家」を共有する存在としてのつながりを思い出すこと
- 気候変動などの地球規模課題を、日常生活の視点から考え直すこと
- 国際協力や国連の役割を、若い世代の言葉で語ること
天津で暮らすベトナムの若者が見た国連
ティウ・タインさんは、ベトナム出身で中国本土の天津に暮らす若い女性です。彼女が語るのは、「国連が自分の生活とどうつながっているか」という一見抽象的なテーマですが、その根底には等身大の実感があります。
国連というと、多くの人はニューヨークの本部や各国要人が集まる会議のイメージを思い浮かべがちです。しかしタインさんの物語では、国連はもっと静かで、しかし確かな「インフラ」のような存在として描かれます。気候変動への対応を支える具体的なプロジェクトを通じて、その姿が浮かび上がります。
気候アクションが「日常の安心」になるまで
タインさんのエピソードでは、国連が気候変動対策で果たしている役割が、中国本土とベトナムという二つの場所から示されています。共通しているのは、気候アクション(気候変動への対策)が、抽象的なスローガンではなく、日々の安全や暮らしの安定と直結しているという視点です。
中国本土・都市部での猛暑に備える
中国本土では、国連が都市部の住民を猛暑や熱波から守るため、熱波の早期警報システムづくりを支援しています。極端な高温が予測されるときに事前に警告を出すことで、人びとが外出を控えたり、こまめな水分補給を心がけたりと、具体的な対策を取りやすくなります。
こうした仕組みは、ニュースの見出しにはあまり登場しませんが、街で暮らす高齢者や子ども、持病を抱える人にとっては、命を守る大切な「情報インフラ」です。タインさんにとっても、猛暑の日に安心して行動できることは、国連の存在を身近に感じるきっかけになっています。
ベトナムの農業とエネルギー転換を支える
一方、タインさんの母国であるベトナムでは、国連が気候変動に強い農業(クライメート・レジリエントな農業)の推進や、エネルギー転換を後押ししています。海面上昇や異常気象の影響を受けやすい地域では、作物の育て方や水の使い方を見直すことが、農家の暮らしを守る鍵となります。
同時に、より環境負荷の少ないエネルギーへの移行を進めることは、ベトナムの持続可能な開発目標(SDGs)を前に進めるうえで重要な柱です。国連が現地の事情に寄り添いながらこうした取り組みを支えることで、農村部の暮らしと都市の経済成長の両方を守ろうとする動きが生まれています。
「静かな国連」のあたたかさ
タインさんが見つめる国連の姿は、派手な式典や大きなスピーチではなく、「静かに人びとの未来を守る」存在です。熱波の警報システムも、農業やエネルギーのプロジェクトも、日々のニュースでは大きく取り上げられないかもしれません。しかし、それらがあることで、街と村の両方で多くの人の健康や生活が守られています。
こうした現場レベルの取り組みは、マルチラテラリズム(多国間協力)が持つ、あたたかく行動重視の側面をよく表しています。複数の国や地域、組織が力を合わせることで、一国だけでは対応しきれない気候リスクに向き合う。その過程を、タインさんは自分の身の回りから感じ取っているのです。
若い世代が気候と未来を語る意味
国際ニュースというと、どうしても外交や安全保障などの「大きな話」に目が行きがちです。しかし、「One Home: Shared Future」のように、若い世代が自分の日常と言葉で国連や気候変動を語る試みは、別の問いを私たちに投げかけます。
- 自分の住む街で、気候変動はどのような形で表れているのか
- その影響を和らげるために、どんな国際協力がすでに動いているのか
- その動きを、私たちはどれだけ知ろうとしているのか
2025年の今、国連80周年という節目は、「国連とは何か」を抽象的に論じるだけでなく、「国連はすでに自分の日常とどうつながっているのか」を考える機会にもなります。天津で暮らすベトナムの若者の視点を通じて見えてくるのは、国連が気候アクションを通じて、静かに、しかし確かに私たちの「一つの家」を支えているという姿でした。
Reference(s):
Vietnamese youth sees UN bring climate action into everyday life
cgtn.com








