スペイン発キックボクシング物語 ケガから王者へ、レドンドの軌跡 video poster
スペイン出身のキックボクサー、アブラハム・レドンド(Abraham Redondo)は、好奇心から始めたスポーツでケガと挫折を乗り越え、王者となり、いまはコーチとして次の世代を育てています。リングの内側で彼が学んだのは、勝敗だけでなく、規律(ディシプリン)、相手への敬意、そして「決してあきらめない心」でした。
好奇心から始まったキックボクシング
レドンドの物語は、まだ少年だった頃、年上の友人がキックボクシングの練習をしているのを、ただ興味本位で眺めていたところから始まります。自分がリングに立つなど想像していなかった時間です。
しかし、その光景は彼の人生を大きく変えるきっかけになりました。最初は「見る側のファン」だった彼は、やがてグローブをはめ、自らも「戦う側のファイター」へと足を踏み出していきます。
日本でも格闘技を動画やSNSで見るだけだった人が、フィットネスジムや格闘技ジムに通い始めるケースが増えています。レドンドの一歩も、その延長線上にあると言えるかもしれません。
ケガと挫折、それでもリングに戻るまで
どんな競技でも、真剣に取り組めば取り組むほど、ケガと無縁ではいられません。レドンドも例外ではなく、キャリアの中で大きなケガを負い、リングから遠ざかる時期を経験しました。
ケガは肉体だけでなく、メンタルにも大きな負担をかけます。練習ができない焦り、コンディションが戻るかどうかわからない不安、「もうやめてしまおうか」という迷い――多くのアスリートが通る道です。
それでも彼は、リハビリとトレーニングを重ね、再びリングに戻る決断をします。その背景には、単なる勝利への欲求だけでなく、キックボクシングそのものへの情熱と、「ここであきらめたくない」という強い意志がありました。
王者となった先に見えたもの
復帰を果たしたレドンドは、その後、チャンピオンとしてタイトルを勝ち取るまでに成長します。スペインから世界へと広がる格闘技シーンの中で、ケガを乗り越えたファイターが王者になる物語は、多くの人に勇気を与えるものです。
ただ、本人にとって「チャンピオン」という肩書きは、ゴールというよりスタートラインに近いものだったのかもしれません。勝つことで得た自信と責任感は、彼の視線を「自分」から「周りの人」へと少しずつ向けさせていきます。
いまはコーチとして伝える「ファイターの生き方」
現在、レドンドはコーチとして、若い世代の選手たちと向き合っています。練習メニューを教えるだけでなく、自身の経験をもとに、キックボクシングを通じた「生き方」のようなものを伝えようとしています。
彼が強調するのは、次のような価値観です。
- 規律(ディシプリン):約束の時間にジムに来る、基礎練習をさぼらない、自分で決めたルールを守ること。
- 敬意:スパーリングの相手や対戦相手、コーチ、そして自分自身へのリスペクトを忘れないこと。
- あきらめない心:ケガや敗北、停滞期の中でも「ここで終わらせない」と決めること。
こうした考え方は、リングの中だけでなく、学校や職場、日常生活にもそのまま当てはめることができます。レドンドにとって、キックボクシングは技術を競うスポーツであると同時に、人として成長するための「学びの場」でもあるのです。
キックボクシングが教えてくれる「負け方」と「立ち上がり方」
キックボクシングの世界では、どんな名選手でも必ず負けを経験します。重要なのは、負けないことではなく、負けたあとにどう向き合うかです。
レドンドのストーリーには、「負けやケガをどう受け止めるか」というヒントが詰まっています。
- 一度リングを降りても、戻る道はいつでも開かれている。
- ケガの時期は、身体だけでなくメンタルを鍛え直す時間にもなる。
- 王者になっても、学び続ける姿勢を失わないことが大切。
これは、スポーツに限らず、キャリアチェンジや仕事の失敗、受験や留学の挑戦など、多くの場面に重なる考え方ではないでしょうか。
リングの外に広がる「ファイターの精神」
スペインのキックボクシングシーンで育ち、チャンピオンとなり、今はコーチとして指導にあたるアブラハム・レドンド。彼の歩んできた道は、派手な戦績以上に、「続けること」「あきらめないこと」の重みを静かに物語っています。
格闘技をやっていない人にとっても、彼のストーリーは、自分の生活に引き寄せて考えられる要素が多くあります。例えば、次のような問いかけです。
- いま、ケガや失敗にあたる出来事から、逃げずに向き合えているか。
- 「もう無理だ」と思ったとき、そこで終わらせずにあと一歩踏み出す余地はないか。
- 自分の周りの人に、しっかり敬意を払えているか。
リングに立つかどうかに関わらず、「ファイターである」ということは、日々の選択の積み重ねなのかもしれません。レドンドの物語は、そのことを静かに教えてくれます。
あなたにとっての「リング」はどこでしょうか。仕事、勉強、家族との時間、あるいは自分自身との向き合い方かもしれません。スペインの一人のキックボクサーの人生は、2025年の私たちに、「あきらめない」という古くて新しいキーワードを改めて投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








