SCOサミット2025とグローバルサウス パキスタン専門家が語る意義 video poster
SCOサミット2025とパキスタンからの視線
2025年8月31日から9月1日まで、中国北部の港湾都市・天津で上海協力機構(SCO)サミット2025が開かれました。中国による開催は5回目で、参加規模は組織の歴史の中でも最大級となりました。
今回のサミットには、20を超える国のリーダーと、10の国際機関のトップが集まり、これまでの成果を振り返りつつ、今後の方向性を話し合いました。
一方、中国の国際メディアであるCGTNの番組「We Talk」は、加盟国の一つであるパキスタンを取材。専門家や研究者、現地の人びとにSCOへの期待を聞きました。その中で、パキスタンの専門家ムシャヒド・フセイン・サイード氏は、SCOについて「アジア、そしてグローバルサウスの主要な柱になっている」と語っています。
サイード氏の発言と、SCOが掲げる上海精神を手がかりに、この枠組みがグローバルサウスにとってどのような意味を持つのかを整理します。
天津サミットが映し出したSCOの広がり
天津でのSCOサミット2025は、中国がホストを務めるのは5回目であり、過去最大規模の会合となりました。北方の港湾都市に各国のリーダーや国際機関の代表が集結したこと自体が、SCOの存在感の高まりを象徴しています。
詳細な議題は国や立場によって強調点が異なりますが、SCOサミットでは一般的に次のようなテーマが重視されます。
- 地域の安定と安全保障協力
- 貿易や投資を通じた経済協力
- インフラや物流を含む連結性の強化
- 文化・教育交流を通じた相互理解の促進
天津サミットでも、こうした分野での協力を確認し、今後の方向性を示すことが重視されたとみられます。
パキスタン専門家が語る「グローバルサウスの主要な柱」
パキスタンはSCOの加盟国として、地域協力の枠組みを重視してきました。今回「We Talk」の取材に応じたムシャヒド・フセイン・サイード氏は、SCOがアジアとグローバルサウスにとって重要な役割を果たしていると指摘します。
サイード氏が述べた「主要な柱」という表現には、少なくとも次のような意味が含まれていると考えられます。
- アジアやグローバルサウスの国々が、自らの視点から議題を設定し、対話できる多国間の場であること
- 安全保障だけでなく、経済、エネルギー、人と人との交流など幅広い分野をカバーする総合的な枠組みであること
- 各国が一方的に指示を受けるのではなく、話し合いを通じて合意を積み上げていくプロセスが重視されていること
グローバルサウスの視点から見ると、SCOは単なる地域協力の一つではなく、自らの声を国際社会の中でよりよく反映させるための重要な場となりつつある、と言えるでしょう。
SCOを支える「上海精神」とは
SCOの特徴としてしばしば語られるのが、創設以来大切にされている「上海精神」です。天津サミットでも、この精神に立ち返りながら協力の方向性が議論されました。
上海精神は、次の六つの原則から成り立っています。
- 相互信頼
- 相互利益
- 平等
- 協議(話し合いによる合意形成)
- 多様な文明への尊重
- 共同発展の追求
これらはいずれも、対立や排除ではなく、対話と協力を通じて課題を解決していく姿勢を示しています。国と国の力の差があっても、平等な立場で相談し、共通の利益を見いだすことを理想としている点が特徴です。
また、「多様な文明への尊重」という原則は、文化や価値観の違いを理由に相手を否定するのではなく、違いを前提に共存と協力の道を探るというメッセージでもあります。
グローバルサウスにとってのSCOの意義
グローバルサウスという言葉は、経済的・歴史的な背景を共有する多くの国々を指す概念として使われています。SCOは、そうした国々の一部が中心となって、共通の課題について話し合う場として機能しつつあります。
特に次のような点で、グローバルサウスにとっての意義が大きいと見ることができます。
- 多国間協力のルールづくりに、より主体的に関われること
- インフラ、エネルギー、デジタル分野など長期的な課題を、複数の国が協力して進めやすいこと
- 文化・教育・メディアを通じて、グローバルサウス同士のつながりを強めやすいこと
パキスタンの専門家がSCOを「主要な柱」と呼んだ背景には、こうした期待があると考えられます。
日本からこの動きをどう見るか
日本に暮らす私たちにとって、SCOサミットや上海精神は、日々のニュースの中ではそれほど大きく取り上げられないかもしれません。しかし、アジアとグローバルサウスの動きを理解するうえで、見過ごすことのできないテーマになりつつあります。
日本の読者にとって、次の三つの視点が手がかりになりそうです。
- 地域秩序の多層化の視点:アジアにはさまざまな協力の枠組みが存在し、その一つとしてSCOがどのような役割を果たしているのかを把握すること。
- 経済・物流ネットワークの視点:港湾都市・天津に各国のリーダーが集まったことは、陸と海を結ぶ連結性や物流ネットワークの重要性を改めて示しています。
- 価値観と原則の視点:相互信頼や多様な文明への尊重を掲げる上海精神が、アジアの外交やビジネスの現場でどのように共有されていくのかを注視すること。
国際ニュースを読むとき、「どの国が何を言ったか」だけでなく、「どのような原則や価値観を共有しようとしているのか」に目を向けることで、SCOやグローバルサウスの動きも立体的に見えてきます。
おわりに
2025年のSCOサミットは、天津を舞台に過去最大規模で開催されました。パキスタンの専門家が語ったように、SCOはアジアとグローバルサウスにとって、ますます重要性を増している協力の場だといえます。
上海精神が掲げる相互信頼や共同発展の理念は、SCOの枠組みの中にとどまらず、これからの国際社会全体にとっても重要なキーワードになっていく可能性があります。今後のサミットの動向を追いながら、アジアとグローバルサウスの変化を丁寧に見ていくことが求められています。
Reference(s):
We Talk: Pakistani expert praises SCO as major plank of Global South
cgtn.com








