国連80周年と海のバリア グアテマラ記者が訴える沿岸保護 video poster
リード:国連80周年と「海のバリア」に注目
2025年、創設80周年を迎えた国連に合わせ、中国の国際メディアCGTNが若者に向けたビジュアル・ストーリーテリング企画「One Home: Shared Future」を展開しています。本記事では、その一環として登場したグアテマラのジャーナリスト、ホルヘ・ロドリゲス氏のメッセージを、日本語でかみくだいて紹介します。
CGTNの「One Home: Shared Future」とは
「One Home: Shared Future」は、世界各地の若いクリエイターや記者と協力し、人類共通の未来への希望や課題を映像やストーリーで発信する試みです。国際ニュースを、統計や会議の話だけでなく、現場の声として可視化する狙いがあります。
ラテンアメリカの現場から見えた「海のバリア」
今回フィーチャーされたのが、20年以上にわたりラテンアメリカとカリブ海を取材してきたグアテマラのジャーナリスト、ホルヘ・ロドリゲス氏です。ロドリゲス氏は、伝統的な漁業コミュニティを支えてきたマングローブ林やサンゴ礁を丁寧に記録してきました。
彼が注目するのは、こうした沿岸生態系が「海のバリア」であるという点です。マングローブは複雑な根で波の力を弱め、サンゴ礁は外洋からのうねりを受け止めることで、魚と人の暮らしを守ってきました。
マングローブとサンゴ礁はなぜそれほど重要か
ロドリゲス氏が「命のバリア」と呼ぶ理由は、主に次の3点に集約されます。
- 魚のゆりかご:幼魚の隠れ場所やエサ場となり、漁業資源の基盤をつくる。
- 暮らしの防波堤:高潮や嵐のエネルギーを吸収し、沿岸の集落やインフラを守る。
- 文化と生業の土台:地域に根ざした伝統漁業や食文化を支えている。
こうした機能が失われることは、単なる自然破壊にとどまらず、コミュニティそのものの存続に直結します。
3つの複合的な脅威:海面上昇・汚染・乱獲
ロドリゲス氏によれば、マングローブやサンゴ礁は、互いに影響し合う複数の脅威にさらされています。
1. 海面上昇
地球温暖化に伴う海面上昇は、低地のマングローブ林を浸水させ、沿岸の住民の移転を迫る可能性があります。サンゴ礁も水深の変化によって光が届きにくくなり、成長が阻害されるおそれがあります。
2. 汚染
都市化や農業、工業活動による汚染物質は、河川を通じて沿岸へ流れ込みます。濁った水や化学物質はサンゴにストレスを与え、マングローブの根を取り巻く環境も悪化させます。
3. 乱獲・過剰漁業
短期的な利益を優先した乱獲は、生態系のバランスを崩し、漁業そのものの持続可能性を危うくします。魚が減れば、マングローブやサンゴ礁を守ろうとする動機も弱まり、負の連鎖が進みます。
「グローバルな注目」を求める声
ロドリゲス氏は、これらの問題が一部の沿岸地域だけの話ではなく、世界全体に関わる課題だと訴えています。沿岸の生態系は、食料、雇用、安全保障に直結しており、それは日本を含む多くの国や地域に共通するテーマでもあります。
だからこそ彼は、国連80周年という節目を機に、海岸線の保全と「海のバリア」の再生に、より大きな国際的関心と行動を向けてほしいと呼びかけています。
日本の私たちへの示唆
日本もまた、長い海岸線と多様な沿岸生態系を持つ国です。ロドリゲス氏のメッセージは、遠いラテンアメリカの話でありながら、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 自分の暮らす地域の「海のバリア」はどこにあるのか。
- 気候変動や開発が、それにどのような影響を与えているのか。
- 沿岸を守るために、個人として、地域として、どのような選択ができるのか。
国際ニュースを読むことは、遠い世界の出来事を知るだけでなく、自分の足元を見つめ直すきっかけにもなります。国連80周年に合わせた「One Home: Shared Future」のような取り組みは、そうした視点の転換を促すための一つの入り口といえそうです。
「一つの家」をどう守るか
「One Home」という言葉には、地球という一つの家を分かち合う、という意味が込められています。マングローブやサンゴ礁を守ることは、その家の土台を守ることでもあります。
ホルヘ・ロドリゲス氏の映像とストーリーは、私たちに静かに問いかけます。海の向こうの沿岸で起きている変化を、自分たちの未来の問題として想像できるかどうか。その想像力こそが、次の行動につながる第一歩になるのかもしれません。
Reference(s):
UN@80: Guatemalan journalist calls for protecting coastal barriers
cgtn.com







