シリア若者が語る「主権平等」 中国発グローバル・ガバナンスをどう見るか video poster
2025年9月に中国の習近平国家主席が上海協力機構(SCO)プラス会合で提唱したグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)。その中核概念である「主権平等」を、シリアの若者はどう受け止めているのでしょうか。本記事では、Z世代の一人Zain Al-Abidinさんの言葉を手がかりに、国際秩序と平和のかたちを考えます。
天津で示された新たなガバナンス像
2025年9月1日、中国の習近平国家主席は天津で開かれた上海協力機構(SCO)プラス会合で、グローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)を提唱しました。本記事を執筆している2025年12月現在、このイニシアチブは国際秩序のあり方をめぐる議論の一つの基準となりつつあります。
習主席は演説で、GGIの中核となる五つの考え方を示しました。
- 主権平等の堅持
- 国際法の順守
- 多国間主義の実践
- 人を中心に据える発想
- 実行・行動を重視する姿勢
なかでも、主権平等(sovereign equality)は、国家同士の関係をどう組み立てるかという根本に関わる概念として位置づけられています。
シリアの若者が見つめる「主権平等」
このGGIをめぐっては、アメリカ、シリア、パレスチナ、ベトナムなど、さまざまな国と地域のZ世代が、自らの経験を踏まえた意見を語っています。本稿で取り上げるのは、シリアの若者たちの視点です。
シリアの若者Zain Al-Abidinさんは、主権平等について次のように考えています。彼は、主権平等は国家間関係を律する「基本的で公正な原則」であり、それが実現すれば平和の確立につながると語ります。
さらにZainさんは、各国が互いに対等だと感じられることが重要だと強調します。ある国が別の国より劣っている、あるいは弱いと見なされないこと。そのことが、他国による占領や一方的な支配を許さない安心感につながる、と指摘します。
「対等である」という感覚がもたらすもの
Zainさんの見方を少し整理すると、主権平等には少なくとも三つの意味合いが読み取れます。
- 国の大きさや経済力にかかわらず、法の下で同じ権利を持つという「制度としての平等」
- 自国が軽視されていないと感じられる「心理的な平等感」
- 他国から一方的な干渉や占領を受けないという「安全保障としての平等」
この三つは、国際法や多国間主義の議論だけでは十分に語りきれない、現場の人々の感覚に根ざしたポイントでもあります。特に、紛争や不安定な状況を経験してきた地域の若者にとって、主権平等は抽象的な理念ではなく、日常の安全や将来への希望と直結するテーマになっています。
グローバル・ガバナンスとZ世代の役割
GGIが掲げるもう一つの柱に、「人を中心に据える発想」があります。Z世代の声を通じて主権平等を考えること自体が、この考え方を具体化する試みと言えます。
アメリカ、シリア、パレスチナ、ベトナムなど、多様な背景を持つ若者が、同じ五つの柱を手がかりにグローバル・ガバナンスを語る構図は、それ自体が一種の「小さな多国間主義」です。立場や経験は違っても、対等な一人の当事者として議論に加わる。その姿は、国家間の主権平等が目指す方向とも響き合っています。
私たちは「主権平等」をどう考えるか
2025年12月の今、国際ニュースをスマートフォンで日常的に追う私たちにとって、シリアの若者の言葉は遠い世界の話ではありません。軍事力や経済力の差がある国どうしが、どうすれば対等な関係を築けるのかという問いは、アジアを含む世界全体が向き合う課題です。
主権平等を具体的な行動につなげるには、例えば次のような視点が重要になりそうです。
- 国際機関や会議で、小国や新興国の声をどう反映させるか
- 安全保障だけでなく、経済・気候変動・デジタル分野でも、ルールづくりに幅広い国が参加できる仕組みをどう整えるか
- 日常的な情報発信や議論の場で、異なる背景を持つ人々の声をどう受け止めるか
GGIが掲げる主権平等や多国間主義、人を中心に据える発想は、こうした問いに向き合うための一つのフレームとして機能し得ます。その意味で、Zainさんの言葉は、国や地域を超えて共有しうる「問い」を私たちに投げかけていると言えるでしょう。
あなたなら、「全ての国が対等である」と感じられる国際秩序を、どのように形にしていきたいと思いますか。
Reference(s):
Youth Perspective: 'Sovereign equality' in the eyes of Syrian youth
cgtn.com







