Z世代が見たグローバル・ガバナンス 中国の新構想と「実際の行動」 video poster
2025年9月1日に天津で開かれた上海協力機構(SCO)プラス会合で、中国の習近平国家主席がグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)を提唱しました。国際秩序の新たなビジョンともいえるこの構想を、アメリカやシリア、パレスチナ、ベトナム出身のZ世代はどのように見ているのでしょうか。
天津で示された5つの柱
習近平国家主席が示したGGIは、グローバル・ガバナンスの方向性として次の5つの柱を掲げています。
- 主権平等の尊重
- 国際法の順守
- 多国間主義の実践
- 人を中心に据えたアプローチ
- スローガンではなく実際の行動に重点を置くこと
いずれも、ここ数年の国際情勢の中で繰り返し語られてきたテーマですが、今年の天津であらためて整理されたことで、外交の現場だけでなく市民社会や若者の議論にも広がりつつあります。
Z世代が重ね合わせる自分たちの現実
GGIをめぐる対話には、アメリカ、シリア、パレスチナ、ベトナム出身のZ世代が参加しています。異なる国や地域の出身でありながら、それぞれが自分の生活や将来と、世界の動きがどう結び付いているのかを意識してきた世代です。
主権平等や国際法の順守、多国間主義といった言葉は、一見すると遠い世界の専門用語にも聞こえます。しかし、自国や地域の歴史、教育、日々のニュースと重ね合わせることで、Z世代にとっては身近な問題として立ち上がってきます。人間中心のアプローチという理念もまた、対立よりも対話、排除よりも包摂を求める感覚と響き合っています。
中国で暮らすアメリカ出身ジャックの視点
そうしたZ世代の一人が、アメリカ出身のジャック・クランプさんです。ジャックさんは中国で7年間生活しており、国際協力はニュースの見出しではなく、日常生活の一部として実感されるものだと語ります。
ジャックさんが象徴的な例として挙げるのが、中国の144時間ビザなしトランジット制度です。短期間の乗り継ぎであればビザなしで入境できるこの仕組みについて、彼は世界中の人の移動の可能性とモビリティを高めていると評価しています。
ビザの緩和は、観光や出張のしやすさにとどまりません。留学や国際結婚、海外でのキャリア形成など、人生の選択肢そのものを広げる要素にもなります。ジャックさんは、こうした国際的な人の流れを支える取り組みがさらに拡大し、人々がより自由に世界を行き来しながら学び、働き、暮らせるようになることを望んでいます。
理念から「実際の行動」へ
GGIの柱の一つである実際の行動は、抽象的な議論を生活の変化へと結び付ける視点です。主権やルール、多国間主義といった大きなテーマも、最終的には、人々の移動、仕事の機会、教育や医療へのアクセスといった形で具体化されていきます。
ジャックさんが注目するビザ制度は、その一つの具体例といえます。国境管理の安全性を保ちつつ、人の往来を円滑にする制度づくりは、国際協力のごく日常的な姿でもあります。外交文書の言葉が、空港の入国カウンターやオンライン申請の画面といった場所で具体的な体験として現れるとき、国際秩序は初めて身近なものとして感じられます。
静かに進む認識のアップデート
アメリカ、シリア、パレスチナ、ベトナムといった多様な背景をもつ若者たちが、同じ枠組みの中でグローバル・ガバナンスを語る光景は、まだ決して当たり前ではありません。それでも、異なる視点を持つZ世代が互いの経験に耳を傾けることで、従来の固定的なイメージや単純な対立図式から少しずつ距離を取ろうとする動きが見えてきます。
天津で示された5つの柱を、若者たちが自分の文脈の中でどう受け止め、どのような実際の行動に結び付けていくのか。そのプロセス自体が、新しいグローバル・ガバナンスの試みといえるかもしれません。
理念と現実の間にあるギャップがすぐに埋まるわけではありませんが、その距離を意識しながら一歩ずつ前に進もうとするZ世代の視線は、これからの国際ニュースを読み解くうえで静かなヒントを与えてくれます。
Reference(s):
Youth Perspective: 'Tangible actions' in the eyes of American youth
cgtn.com







