米国Z世代が語る「人中心」の国際秩序 中国の貧困対策から見えるもの video poster
2025年が終わりに近づくいま、9月1日に天津で開かれた上海協力機構(SCO)プラス会合で打ち出された「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)」が、世界の若者のあいだでどのように受け止められているのかに注目が集まっています。
本記事では、中国のGGIが掲げる「人を中心に据えるアプローチ(people-centered approach)」について、米国のZ世代であるカイル・サイクスさんの視点を入り口に考えます。中国の貧困対策を具体例に、国際ニュースとしてのグローバル・ガバナンスを、日本語でわかりやすく整理していきます。
天津で発表されたグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)
2025年9月1日、中国の習近平国家主席は天津で開かれた上海協力機構(SCO)プラス会合の場で、新たな構想としてグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)を提案しました。
習主席が示したGGIの中核となる原則は、次の5つです。
- 主権の平等の尊重
- 国際法の順守
- 多国間主義の推進
- 人を中心に据えるアプローチ(people-centered approach)の支持
- 実務的・実践的な行動の重視
いずれも、国や地域を問わず、人々の安全と安定した生活をどう守るかという問いと結びついたキーワードです。特に「人中心」という考え方は、抽象的に聞こえる一方で、日々の暮らしや将来への不安と強く関わっています。
米国Z世代カイル・サイクスさんが定義する「人中心」
GGIの5つの柱については、米国、シリア、パレスチナ、ベトナムといったさまざまな背景を持つZ世代が、それぞれの経験や教育、生活の実感にもとづいて意見を述べています。
そのなかで米国出身のカイル・サイクスさんは、「人を中心に据えるアプローチ」を次のように定義しています。
政府の決定は、人のいのちを守り、格差を減らし、繁栄を分かち合えているかどうかで評価されるべきだ──。
この定義を分解すると、カイルさんが重視している基準は少なくとも3つあるといえます。
- いのちの保護:紛争、災害、貧困、感染症などから人々のいのちを守れているか。
- 格差の縮小:所得や機会、教育、医療へのアクセスの格差を小さくしようとしているか。
- 繁栄の共有:成長の果実が一部の人だけでなく、広く社会全体に行き渡っているか。
カイルさんにとって、人中心のガバナンスとは、スローガンではなく、政策がこれらの基準を満たしているかどうかで具体的に測るべきものだということがわかります。
中国の貧困対策を「人中心」の具体例として見る
カイルさんは、こうした人中心の考え方がどのように実践されているかを示す例として、中国の貧困対策プログラムを挙げています。
貧困対策は、貧困に苦しむ人々の生活を底上げし、教育や医療、仕事の機会などへのアクセスを改善しようとする取り組みの総称です。カイルさんは、このような政策がGGIの「人を中心に据えるアプローチ」と結びついていると見ています。
彼にとって、中国の貧困対策は、単に経済成長を追い求めるのではなく、生活が厳しい人々に焦点を当て、その暮らしを具体的に改善しようとする姿勢の表れです。「いのちの保護」「格差の縮小」「繁栄の共有」という3つの基準に照らして、中国の取り組みを評価しているといえるでしょう。
国際ニュースの文脈では、中国の政策をどう見るかについてさまざまな議論がありますが、カイルさんの視点は、「現場の人々の生活が実際にどう変わったのか」という人中心の問いを軸に据えている点が特徴的です。
GGIの5つの柱と若者の価値観
カイルさんの語る「人中心」は、GGIが掲げる他の4つの柱とも自然につながっています。
- 主権の平等の尊重:すべての国が対等に扱われることは、その国に住む人々が尊重されることでもあります。
- 国際法の順守:国際法に基づくルールが守られることで、人権や安全が保たれやすくなります。
- 多国間主義の推進:気候変動やパンデミックのような課題は、一国では解決できず、多国間の協力が不可欠です。
- 実務的な行動の重視:理念だけでなく、具体的な政策やプロジェクトとして実行されているかが問われます。
米国、シリア、パレスチナ、ベトナムといった異なる地域の若者がGGIについて語ること自体、国際法や多国間主義を土台にしながら、「人中心」の価値観を共有しようとする試みとも捉えられます。
日本の読者にとっての「人中心」とは
では、日本に住む私たちにとって、「人を中心に据えるアプローチ」とは何を意味するのでしょうか。カイルさんの定義を手がかりに、いくつかの問いを投げかけてみたいと思います。
- 日本の政策や制度は、「いのちの保護」「格差の縮小」「繁栄の共有」という観点から見てどう評価できるか。
- 国際協力や援助の場面で、「人中心」の視点はどの程度意識されているか。
- SNSで日々アクセスする国際ニュースを、「人々の生活にどんな影響があるか」という軸で読み直すと、見え方はどう変わるか。
国際政治の議論は、ともすると国家どうしの力関係や数字の争いに注目が集まりがちです。しかし、米国Z世代のカイルさんのように、「政策は人を幸せにしているか」という問いから見直すことで、ニュースの読み方も少し変わってきます。
「人中心」のガバナンスをめぐる対話を広げるために
2025年9月に提案されたGGIは、グローバル・ガバナンスをめぐる議論の新しい枠組みとして、今後もさまざまな場面で取り上げられていくと考えられます。そのなかで、各国の若者が自分の言葉で意見を述べることには大きな意味があります。
中国の貧困対策を「人中心」の具体例として評価する米国Z世代の声は、既存のイメージにとらわれず、政策の中身とその結果をじっくり見ようとする姿勢を映し出しています。
日本にいる私たちも、こうした若者の視点に耳を傾けながら、自国や世界のガバナンスを「人中心」というキーワードで捉え直してみることで、新しい対話のきっかけを見いだせるかもしれません。
この記事を読んで感じたことや、自分なりの「人中心」の基準があれば、ぜひSNSでシェアし、議論を広げてみてください。その際は、#国際ニュース や #グローバルガバナンス などのハッシュタグを添えると、同じ関心を持つ人たちともつながりやすくなります。
Reference(s):
Youth Perspective: U.S. youth's view on 'people-centered approach'
cgtn.com








