英国人ナチュラリストが見た北京の野生 500種の鳥が暮らす都市の素顔 video poster
急速な発展を続ける中国の首都・北京は、高層ビルが立ち並ぶ一方で、500種を超える鳥が記録される豊かな「野生の世界」を持つ都市でもあります。英国出身の自然保護専門家テリー・タウンゼントさんの視点から、その素顔をのぞいてみます。
加速する中国の発展と、息づく自然
近年、中国ではイノベーションと高品質な成長を掲げた開発が進み、経済やテクノロジーなどさまざまな分野で活力が高まっています。そうした流れの中で、北京の自然環境や野生動物保護も、グローバルな視点から注目されるテーマになりつつあります。
テリーさんが北京に初めて到着したとき、彼の目を引いたのは超高層ビルではなく、街を取り巻く豊かな生物多様性でした。大都市でありながら、多様な鳥や野生動物が行き交うこの都市は、彼にとって「フィールド」と「生活の場」が重なる特別な場所になっています。
500種以上の鳥が記録されるメガシティ・北京
これまでに北京で記録された鳥類は、すでに500種を超えています。これは、世界的に見ても大都市としては際立った数字です。山地、湿地、農地、市街地の公園など、多様な環境がコンパクトに存在していることが、その背景にあります。
春と秋の渡りのシーズンには、遠くの地域から旅を続ける鳥たちが北京を中継地点として利用します。都市と自然が折り重なるように共存していることが、北京を「バードウォッチングの宝庫」にしているのです。
英国人自然保護専門家テリー・タウンゼントさん
テリー・タウンゼントさんは、英国出身のバードウォッチャーであり、野生動物保護の専門家です。現在は北京を拠点に活動し、市内や周辺地域で鳥類観察会や自然保護に関わる取り組みに携わっています。
北京に来た当初、予想以上に豊かな自然環境と鳥の多さに強い衝撃を受けたといいます。それ以来、彼は北京を「野生の物語」が詰まった場所として世界に伝えようとしてきました。
官厅水庫で渡り鳥を追う 多国籍メンバーの観察会
最近、テリーさんは各国から集まったバードウォッチャーたちを率いて、北京市延慶区にある官厅水庫(Guanting Reservoir)を訪れました。ここは、渡り鳥が羽を休める重要な湿地の一つです。
水辺にはカモ類やシギ・チドリ類など、多様な水鳥が集まり、季節ごとに姿を変えていきます。双眼鏡や望遠鏡をのぞき込みながら、参加者たちは次々と鳥の姿を見つけ、国や言語を超えて観察の喜びを共有していました。
こうしたフィールドは、単に鳥を「見る」場所ではなく、都市に暮らす人々が自然とつながり直すための入り口にもなっています。
「好きになると守りたくなる」自然との距離を縮める
テリーさんが強調するのは、「自然を知ること」と「好きになること」のつながりです。人々が自然の不思議な物語を知れば知るほど、その存在に親しみや愛着を持つようになり、やがて「守りたい」という気持ちにつながる、という考え方です。
北京での観察会でも、ただ鳥の名前を紹介するだけでなく、「なぜここに渡ってくるのか」「どんな旅をしてきたのか」といった背景の物語が語られます。鳥の一羽一羽が、広い世界と私たちの日常をつなぐ「生きたストーリー」になっていきます。
都市と自然が共存する未来へのヒント
北京のような大都市で500種以上の鳥が確認されている事実は、「都市だから自然は少ない」という固定観念を静かに揺さぶります。開発とともに生物多様性をどう守り、育てていくかは、多くの国と地域が直面する共通の課題です。
テリーさんの活動は、国際ニュースとしての側面だけでなく、私たち一人ひとりの暮らし方にも問いを投げかけています。通勤途中の街路樹、公園の池、郊外の水辺など、身近な場所にも実は多くの命が息づいているかもしれません。
自然を遠いものではなく、日常と地続きの存在として見つめ直すこと。北京でのバードウォッチングの現場は、そのためのヒントに満ちています。
私たちにできる小さな一歩
テリーさんのメッセージはシンプルです。自然のことをもっと知り、好きになることから始めよう――というものです。そのために私たちが日常の中でできることは、多くありませんが、決してゼロではありません。
- 週末に近くの公園や川沿いを歩き、目に入った鳥や植物を意識して観察してみる
- 気になった生き物の名前や特徴を調べ、ノートやスマートフォンに記録しておく
- SNSで観察したことを共有し、同じ関心を持つ人たちとつながる
こうした小さな一歩の積み重ねが、都市と自然の新しい関係を形づくっていきます。北京で英国人ナチュラリストが見つめる「野生の世界」は、私たち自身の足元にも広がる可能性を静かに示しているのかもしれません。
Reference(s):
Vibrant China: The wild side of Beijing in a British naturalist's eyes
cgtn.com








