イタリア人研究者が語る中国経済の未来 成長の3つの原動力とは video poster
中国の次期「第15次五カ年計画」(2026〜2030年)づくりが本格化するなか、ローマのルイス大学で中国研究を教えるシルヴィア・メネガッツィ教授は、その成長戦略を支える3つの原動力として、先端製造業とテクノロジー、国内消費、そしてグリーン転換を挙げています。
先月閉幕した中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)では、2026〜2030年の国家経済・社会発展に向けた「第15次五カ年計画」策定のための勧告が採択されました。この文書は、中国の今後5年間の戦略的な進路を示すもので、これまでの成果と将来の現代化目標をつなぐ重要な節目とされています。
第15次五カ年計画:過去と未来をつなぐ5年間
ユーラシア全体に影響を与える中国の経済・社会計画は、世界の国際ニュースの中でも特に注目されています。今回の第15次五カ年計画(2026〜2030年)は、すでに積み上げてきた成長を踏まえつつ、新たな現代化の段階へと進むための「橋渡し」の期間と位置づけられています。
この方向性を示す「勧告」が採択されたことで、中国の政策づくりは次のステージに入ったといえます。日本を含む多くの国々にとっても、中国の経済モデルやグリーン転換の行方は、サプライチェーン、エネルギー、安全保障など幅広い分野で無視できない要素となっています。
イタリア人研究者が見る「3つの成長ドライバー」
メネガッツィ教授は、中国の次期五カ年計画の中核にある成長の要素として、次の3点を挙げています。
- 先端製造業とテクノロジー
- 国内消費(内需)の拡大
- グリーン転換(環境重視の成長)
では、それぞれのドライバーは何を意味しているのでしょうか。国際ニュースとしての視点と、私たちの日常生活へのつながりを意識しながら見ていきます。
1. 先端製造業とテクノロジー
最初の柱は、先端製造業とテクノロジーです。メネガッツィ教授は、今後の成長の中心に、ハイテク産業や高度な製造技術が据えられていると指摘します。
従来の大量生産型の工業から、デジタル技術や自動化、データを活用した高付加価値の産業へと比重を移すことは、中国に限らず世界共通の潮流です。中国がこの分野でどこまで競争力を高めていくのかは、日本企業やアジアのビジネスにとっても重要な関心事と言えるでしょう。
2. 国内消費:内需の力を引き出す
2つ目のドライバーは、国内消費の拡大です。外需(輸出)だけに頼らず、国内の消費とサービスを軸に成長を支えるという発想は、中国経済の構造をよりバランスの取れたかたちにしていく狙いと結びついています。
所得水準の向上や都市化の進展にともない、教育、医療、デジタルサービス、観光といった分野でのニーズは多様化しています。メネガッツィ教授が指摘する「国内消費」は、単にモノを買うということだけでなく、生活の質やサービスを重視する方向へと中国社会が変化していることも反映していると言えます。
3. グリーン転換:持続可能な成長へのシフト
3つ目の柱は、グリーン転換です。環境負荷を減らしつつ成長を続ける「持続可能な発展」は、今や国際ニュースの中心テーマの一つになりました。
メネガッツィ教授は、この点について次のように語っています。
"China has promoted in the last 10 to 20 years an alternative model of development, which has already impacted how we think about sustainable development."
過去10〜20年のあいだに、中国は従来とは異なる発展モデルを打ち出し、それが世界の「持続可能な開発」の考え方に影響を与えてきた、とする見方です。エネルギー転換や環境保護と経済成長を同時に追求しようとする姿勢が、第15次五カ年計画でもさらに強調される可能性があります。
日本からどう読むか:国際ニュースとしての意味
こうした3つのドライバーは、日本の読者にとっても決して他人事ではありません。先端製造業とテクノロジーでは、サプライチェーンや研究開発での協力・競争の構図が変わり得ます。国内消費の拡大は、中国市場の需要構造の変化として、日本企業のビジネス戦略にも直結します。
そしてグリーン転換は、気候変動対策や再生可能エネルギーといった地球規模の課題に対し、中国がどのような役割を果たすのかを占う重要なポイントです。環境と成長の両立をめぐる各国のアプローチを比較する上でも、第15次五カ年計画は一つの参照点になるでしょう。
これからの5年を見通すために
先月の全体会議で「勧告」が採択されたことで、2026〜2030年の政策づくりの骨格は示されました。今後、より具体的な数値目標や個別のプロジェクトが検討されていくなかで、メネガッツィ教授が指摘した3つのドライバーが、どのように具体化されていくのかが注目されます。
国際ニュースを追う日本の読者にとって、中国の五カ年計画は「遠い国の政策文書」ではなく、自分たちの働き方やビジネス、そして気候変動を含む地球規模の課題とつながるテーマです。今後も、こうした長期計画を手がかりに、中国と世界の動きを冷静に読み解いていくことが求められていると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








