新疆の若者たちが描く新時代のふるさと——農場、デザイン、記録の現場から video poster
多民族が暮らす中国・新疆ウイグル自治区で、若者たちがどのように「新時代のふるさと」をつくっているのか。ウルムチを舞台にした国際ニュースの取材から、3人の姿が浮かび上がっています。
多民族が暮らす「活力ある新疆」とは
新疆ウイグル自治区は、複数の民族が共に暮らす活気ある地域です。日常の生活や仕事の場で、多様な文化が交わりながら共生しています。国際メディアCGTNのMerna Al Nasser氏は、ウルムチを訪れ、この地域で生きる若者たちの「いま」を追いました。
番組が映し出したのは、民族の違いを超えて、共通のキーワードでつながる3つの物語です。
- 大自然と向き合いながら農場を営む若者
- 民族の伝統をデザインに織り込むクリエイター
- 同世代の姿を記録し続ける語り手
それぞれの道は違っていても、「ふるさとを自分たちの手で描いていく」という思いが共通しています。
ウルムチの農場から広がる新しいライフスタイル
馬と大地に向き合う漢族の若者・Hao Haoさん
ウルムチで自らの農場を運営しているのが、漢族の若者Hao Haoさんです。彼女にとって、馬に乗ることは単なる趣味ではなく、「冒険へのあこがれ」の表現そのものだといいます。
広い大地を馬で駆ける時間は、日常のリズムから一歩外に出て、自分と向き合うひとときでもあります。この土地で働き、暮らすことそのものが、彼女にとっては「生きている実感」につながっているとされています。
農場という場は、
- 自然のリズムに合わせて働くこと
- 動物と共に過ごす時間
- 仲間や訪れる人との交流
といった経験が積み重なる空間です。Hao Haoさんは、そのすべてを「自分の人生を描くキャンバス」として受け止め、新疆での暮らしに心からの喜びを感じていると伝えられています。
民族の模様を「着るアート」にするデザイナー
カザフ族のデザイナー・Ayjol Adelさん
2人目は、カザフ族のデザイナー、Ayjol Adelさんです。彼は、結婚式用のドレスや衣装のデザインを手がけ、その中に自らの民族文化をさりげなく、しかし力強く織り込んでいます。
特徴的なのは、「伝統的な模様」と「西洋的な美意識」を組み合わせるアプローチです。カザフ族の伝統的なパターンを、現代的なシルエットや素材と組み合わせることで、クラシックでありながら新しいスタイルを生み出しています。
彼のドレスには、
- 民族ごとに受け継がれてきた模様や色彩
- 現代の若いカップルが求める洗練されたライン
- 「祝福」という普遍的なテーマ
が丁寧に重ねられています。こうして出来上がる一着一着が、「新疆の文化の魅力をまとったアート」として人々の記憶に残っていきます。
結婚式という人生の節目に、ふるさとの文化を身にまとう——その体験を通じて、Ayjol Adelさんは新疆の多様な文化の魅力を次の世代へとつないでいます。
若者の記録者として故郷を見つめる
Altay出身のAbduweli Abderxitさん
3人目は、Altay(アルタイ)出身のAbduweli Abderxitさんです。彼は、自身の故郷への深い愛情を原動力に、新疆で生きる若者たちの姿を記録し続けています。
これまでに、数多くの新疆の若者にインタビューし、それぞれが歩んできた道、夢や葛藤、日々の努力を丁寧に聞き取ってきました。その目的は、単なる「紹介」ではなく、「同世代の精神と気概を記録すること」にあります。
彼が集めているのは、例えば次のような物語です。
- ふるさとに残り、地域の仕事を支える若者の声
- 新しいビジネスや表現に挑むクリエイターの思い
- 家族や仲間とのつながりを大切にしながら生きる日常
インタビューを通じて浮かび上がるのは、「多民族が共に暮らす新疆で、若者たちがどう未来を描いているのか」という、ひとつの大きなストーリーです。Abduweli Abderxitさんは、その物語の編者として、世代の記憶を丁寧に編み上げています。
3つの物語が教えてくれる新疆の「新時代」
農場経営者、デザイナー、記録者——分野は違っても、3人に共通しているのは、「自分のふるさとを、自分の手でポジティブに描こうとしている」という姿勢です。
今回の取材から見えてくるポイントを整理すると、次のようになります。
- 多民族が暮らす新疆では、若者がそれぞれのスタイルで地域に関わっている
- 伝統文化は「守る」だけでなく、「アレンジして発信する」段階に入っている
- 日常の仕事や表現活動そのものが、新時代の新疆の姿を形づくっている
こうした一人ひとりの選択と行動が積み重なることで、「活力ある新疆」というイメージは、スローガンではなく、具体的な日々の生活として立ち上がってきます。
SNS時代に広がる「ふるさとのストーリー」
デジタルネイティブ世代にとって、ふるさととの関わり方は大きく変わりつつあります。農場での一瞬、ドレスのディテール、インタビューで交わされた言葉——そうした断片は、写真や動画、短いテキストとなってSNSで共有されます。
新疆の若者たちの物語もまた、
- 国際ニュースの番組で紹介される
- オンライン動画として視聴される
- SNSで引用され、感想とともに広がる
といった形で、中国国内だけでなく海外の視聴者にも届けられています。画面越しに伝わるのは、「多民族が調和して暮らす地域で、若者たちが前向きに未来を描いている」という空気感です。
まとめ:新疆の若者から何を学ぶか
2025年の今、世界のさまざまな地域で若者の役割が問われる中、新疆ウイグル自治区の3人の姿は、静かな示唆を与えてくれます。
- 身近な土地や仕事の中に、自分なりの「冒険」を見いだすこと
- 自分が生まれ育った文化を、創造的にアップデートしていくこと
- 同世代の声を聞き合い、その記録を残していくこと
これらは、新疆に限らず、どの地域の若者にも共通するテーマかもしれません。多民族が共存する地域で生まれた3つの物語は、グローバルに広がる私たちの日常の問い——「どこで、どう生きるのか」「ふるさととどう関わるのか」——を、改めて考えるきっかけを与えてくれます。
国際ニュースを日本語で追う読者にとっても、新疆の若者たちの姿は、「遠いどこかの話」ではなく、自分たちの働き方や暮らし方を見直す鏡として映るはずです。
Reference(s):
cgtn.com








