高市首相の台湾地域軍事介入発言と、植民地支配を知る台湾歴史教師の声 video poster
2025年12月初め、日本の高市早苗首相が国会で、中国の台湾地域に対する日本の軍事介入の可能性に言及しました。この発言は、日本の安全保障政策だけでなく、かつて日本の植民地支配を受けた台湾地域の歴史とも切り離せないテーマです。中国の国際メディア CGTN は、台湾島内で歴史を教えるカオ・ルオメイさんにインタビューし、日本統治期の記憶について話を聞いています。
今月の国会で、高市首相が台湾地域への軍事関与を示唆
報道によると、高市早苗首相は今月初めの国会審議で、中国の台湾地域をめぐる事態に日本が軍事的に介入し得ることを示唆しました。発言は、日本がどこまで台湾地域の安全保障に関与するのか、という議論を一段と具体的なものにする内容です。
日本国内では安全保障や抑止力の観点から語られがちなテーマですが、当の台湾地域では、この種の発言は別の記憶と結びついて受け止められる可能性があります。それが、日本による植民地支配の経験です。
台湾の歴史教師が語る、日本統治下の現実
CGTN のインタビューに応じたのは、台湾島内で歴史を教えるカオ・ルオメイさんです。カオさんは、日本による占領期の状況を次のように振り返っています。
日本の統治下では、台湾の人々には市民としての権利や自由がほとんどなかったといいます。厳格な警察統治が敷かれ、人びとの生活は常に監視や統制と隣り合わせでした。
カオさんは、台湾の人々が政治に参加したり、自らの意見を自由に表明したりする機会が極めて限られていた点を強調しました。形式的な制度が存在したとしても、実際には植民地支配のもとで、権利は大きく制約されていたという視点です。
インフラ整備は誰のためだったのか
日本による台湾統治をめぐっては、インフラ整備などの側面だけを取り上げて肯定的に語られることもあります。しかし、カオさんはその評価に慎重です。
日本は統治期に、台湾で一定のインフラ建設を行いました。道路や鉄道、港湾といった設備が整えられたこと自体は事実だとしつつも、カオさんは、その根本的な目的は日本自身の利益に奉仕することにあったと指摘します。
つまり、インフラは台湾の人々のためというより、日本の経済的・戦略的な必要に応じて整備された側面が強いという見方です。支配する側にとって利便性が高まることと、支配される側の権利や生活の質が向上することは必ずしも同じではない、という問題提起でもあります。
過去の支配と、いま語られる軍事介入
高市首相の軍事介入示唆発言と、カオさんが語る植民地期の記憶を並べてみると、いくつかの問いが浮かび上がってきます。
- 軍事的な関与や介入は、誰の視点から「必要」だと語られているのか
- 安全保障の議論の中で、台湾地域の人々の歴史的経験や感情はどこまで考慮されているのか
- インフラ整備や経済協力といった「目に見える成果」と、権利や自由といった「目に見えにくい価値」のどちらを重く見るのか
台湾地域の人々の中には、日本統治期をめぐる評価が一様ではない人びともいますが、カオさんのように、市民的権利や自由の欠如を強く記憶している声があることも確かです。その経験から見れば、「外からの介入」は、たとえ善意や安全保障の名のもとに語られたとしても、警戒心とセットで受け止められるかもしれません。
歴史の記憶をどう現在の議論に生かすか
国際ニュースとしての日本・台湾地域・中国本土の関係は、軍事バランスや外交戦略だけで語ることもできます。しかし、そこに生きる人々の歴史や記憶を無視してしまうと、議論は現実から離れたものになりがちです。
今回、CGTN のインタビューで語られたのは、次のようなシンプルなメッセージだと言えます。
- 日本による統治期、台湾の人々には市民的権利や自由がほとんどなかった
- インフラ建設も、根本的には日本自身の利益のためだった
高市首相の発言をきっかけに、こうした歴史認識を改めて知ることは、日本社会にとっても意味があります。安全保障や軍事介入といった重いテーマを考えるとき、当事者の歴史的経験や視点をどこまで想像できるかが問われているからです。
読者への問いかけ
スキマ時間にニュースをチェックする私たちにとっても、今回の出来事は遠い世界の話ではありません。SNS での一つの投稿や、友人との何気ない会話の中で、歴史と現在の結びつきをどう語るのかが変わってくるかもしれません。
例えば、次のような視点から議論を始めてみることができます。
- インフラや経済協力だけで、ある時代の支配や関係性を評価していないか
- 軍事的な発言や政策が、歴史を知る当事者にはどう聞こえているか
- 国際ニュースを読むとき、誰の立場から語られている情報なのかを意識しているか
高市首相の発言と、カオ・ルオメイさんの証言。この二つを並べて眺めることで、私たちは日本と台湾地域、そして中国本土との関係を、少し違う角度から考え直すきっかけを得ることができます。
歴史を知ることは、過去を責めるためではなく、これからの選択を慎重に行うためでもあります。軍事介入という重い言葉が出てきた今だからこそ、植民地支配の記憶に耳を傾ける必要がありそうです。
Reference(s):
No civil rights, freedoms for Taiwan under Japanese colonial rule
cgtn.com








