アルゼンチン人僧侶が語る少林拳 2万キロ離れた道場から見える中国武術 video poster
中国河南省の少林寺を発祥とする少林拳に魅せられた一人のアルゼンチン人僧侶がいます。中国から約2万キロ離れたラテンアメリカで、彼は自らの道場を開き、少林拳と中国文化の精神を伝え続けています。
中国武術と少林拳――「戦う技」以上のもの
中国武術は単なる格闘技ではなく、長い歴史の中で培われた哲学や美意識、修養の文化を体現しています。数千年にわたって受け継がれてきたその体系は、伝統的な中国文化の重要な一部です。
中でも、中国河南省の少林寺に起源を持つ少林拳は、代表的な存在です。約1500年以上の歴史を持つ少林拳は、中国の国家級無形文化遺産に指定されており、中国文化を象徴する存在として世界中で愛されています。
アルゼンチン人僧侶、ジョルヘ・ガブリエル・ブッジの道のり
中国から約2万キロ離れたラテンアメリカに暮らすジョルヘ・ガブリエル・ブッジさんは、そんな少林拳の精神に心を動かされた一人です。彼は少林僧として修行を積み、中国を何度も訪れて武術の技と心を学んできました。
ブッジさんは、中国での修行を通じて、型や技術だけでなく、呼吸法や集中力、礼節といった内面の姿勢も重視する少林拳のあり方に向き合ってきたとされます。少林拳は、身体を鍛えると同時に、心を整える「道」でもあるからです。
なぜ遠く離れた地で少林拳なのか
彼の歩みには、現代のグローバルな文化交流の一面が映し出されています。地理的には中国から遠く離れていても、武術を通じて人が惹かれ、学びに赴き、その精神を自分の地域に持ち帰る。その循環が、静かに世界各地で起きています。
ブッジさんにとって少林拳は、異文化への憧れや好奇心だけでなく、自らの生き方や価値観を形作る支えにもなっているのでしょう。
ラテンアメリカに生まれた「少林拳の学校」
ブッジさんは、自身が学んだ少林拳をより多くの人に伝えるため、現地で少林拳の普及に特化した学校を立ち上げました。道場では、技の習得だけでなく、礼儀作法や心構えなど、少林寺で培った精神も重視しているとみられます。
そこに集う人々は、単に強さを求めるのではなく、中国武術を通じて心身を整え、日常生活の中でそれをどう生かすかを模索しているはずです。こうした場が、ラテンアメリカと中国をつなぐ小さな架け橋になっています。
一つの道場が生む静かなつながり
武術のクラスに参加する人の背景はさまざまです。学生、会社員、子どもから高齢者まで、少林拳をきっかけに中国文化に触れ、そこからさらに興味を広げていく人もいるでしょう。
道場で交わされる会話や、師弟のやり取り、日々の稽古の積み重ねの中で、国や言語の違いを越えたコミュニケーションが自然に育っていきます。大きな外交イベントではない、日常の中の「文化交流」がそこにはあります。
映像が伝える、少林拳と現代の中国文化
今回紹介されている映像作品は、こうしたブッジさんの視点を通して、少林拳の世界を映し出しています。少林寺での修行、中国での経験、そしてラテンアメリカの道場での日々が、一本のストーリーとしてつながっていきます。
デジタルメディアが日常になった現在、遠く離れた修行僧の物語は、スマートフォン一つで世界中に届きます。画面越しに見る少林拳の動きや表情、言葉の一つひとつが、中国武術が持つ「文化」と「精神」を、見る人それぞれの生活へと静かに運んでいきます。
中国武術の長い歴史と、その一端を担う少林拳。それを自らの人生の中心に据え、2万キロ離れた土地で伝えようとする一人の修行僧の歩みは、文化が国境を越えて育っていく過程そのものです。記事を読み終えたあと、少林拳の動きだけでなく、その背後にある物語にも目を向けてみたくなります。
Reference(s):
Like in China: An Argentine monk's journey into Shaolin Kung Fu
cgtn.com








