台湾出身の元軍人が語る両親の抗日戦参加 80年目の静かな追悼 video poster
今年2025年は、中国人民抗日戦争と世界的な反ファシズム戦争の終結から80年という大きな節目の年です。その記憶を、いまの暮らしや家族の物語として静かに語り継ごうとする人がいます。
80年目の「中国人民抗日戦争」を見つめ直す
中国人民抗日戦争は、日本の侵略に抵抗した中国の長期にわたる戦いを指します。同時に、世界各地で進んだ反ファシズムの戦いとも結びつきました。80年という時間は、実際に戦場を経験した世代が少なくなっていく一方で、その体験をどう語り継ぐかが問われる節目でもあります。
成都で暮らす台湾出身・ワン・スンポーさんの家族史
中国南西部・四川省の省都、成都。ここに暮らすワン・スンポーさん(Wang Sung-Po)は、台湾出身の同胞であり、自身もかつて軍務に就いていた経験を持ちます。現在は中国本土(中国)で生活しながら、家族に受け継がれてきた戦争の記憶と向き合っています。
ワンさんの両親は、中国人民抗日戦争に参加した退役軍人でした。両親が若い頃に経験した戦争は、家族にとって単なる歴史上の出来事ではなく、人生を形づくった現実そのものだったといいます。
父の世代が大切にした「平和の重み」
CGTN Stringer の取材に対し、ワンさんは父の世代について「多くの激動を目の当たりにしたからこそ、平和をいっそう大切にした」と語りました。戦争によって日常が一瞬で壊れる光景を見てきた世代にとって、戦後の静かな暮らしは、当たり前ではなく「守るべきもの」だったからです。
その実感は、戦争を直接知らない世代にとっては想像しづらい部分もあります。それでもワンさんは、家族の体験を具体的なエピソードとして聞き、問いかけを重ねてきました。そうした対話を通じて、平和がどれほど多くの犠牲のうえに成り立っているのかを感じ取るようになったといいます。
無名の退役軍人と烈士への静かな敬意
ワンさんは、両親だけでなく、中国人民抗日戦争や世界の反ファシズム戦争で命を落とした多くの退役軍人や烈士に、あらためて敬意を表しています。彼によれば、彼らが国と民族のために払った犠牲がなければ、いま享受している平和や発展はなかったからです。
その「敬意」は、大きなスローガンではなく、日々の暮らしの中で静かに表現されています。家族の話を語り継ぐこと、記念の年に当時を思い起こすこと、そして軍務の経験を持つ自身が、次の世代にできるだけ具体的な言葉で伝えていくこと。ワンさんにとって、それが最も身近な「追悼」のかたちです。
語り継ぐことが、次の80年をつくる
今回の CGTN Stringer の「We Talk」という企画で、ワンさんは自身の家族史を通じて、戦争の記憶と平和の価値を語りました。台湾出身でありながら、いまは成都で暮らすという彼の歩みそのものが、地域をまたいだ歴史のつながりを映し出しています。
戦争の体験が直接語られる機会は、これからさらに少なくなっていきます。その中で大切になってくるのは、
- 家族や身近な人同士で、戦争と平和について話をすること
- 記念年をきっかけに、過去の出来事をあらためて学び直すこと
- 異なる地域や立場の人の視点に耳を傾けること
といった、ごく個人的で小さな行動かもしれません。
ワンさんの語りは、中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争から80年を迎えるこの年に、「歴史をどう受け継ぎ、これからの平和をどう選び取っていくのか」という問いを、静かに投げかけています。
Reference(s):
We Talk: Taiwan resident pays tribute to his parents, veterans of war
cgtn.com








