父の“未完の中国映画の夢”を継ぐクロアチア女性、北京電影学院へ video poster
クロアチア出身のエラ・カルッツィさんが、父がかつて抱いた「中国で映画の仕事をしたい」という夢を自分の学びとして引き継ぎ、現在(2025年12月時点)北京電影学院の教室で学んでいます。個人の選択の物語でありながら、世代を超えて結び直される「縁」の手触りが、静かに注目を集めています。
「前世は中国人だったのかも」——エラさんの言葉の重み
「私は前世で中国人だったに違いない」。エラさんがそう感じるほど、中国への親近感は深いといいます。その背景には、家族の記憶がありました。
父が北京で学び、残した“途中の夢”
エラさんの父は約40年前に北京で学び、映画業界でのキャリアを中国で築くことを夢見ていたといいます。しかし、曾祖父の死去を受けて帰国を余儀なくされ、その夢は未完のまま残りました。
転機は16歳の一言:「西ではなく、中国へ」
エラさんが16歳のとき、周囲の同級生たちが「西」に目を向ける中で、父は娘にこう伝えたといいます。「中国へ行きなさい。そこで本当に成長できる」。
エラさんは「まず中国語を学ぶ」という約束を立て、2023年に単身で中国本土・雲南省の昆明へ渡りました。
昆明で感じた「怖さよりも安心」
異国での生活には不安がつきものですが、エラさんは「中国で暮らすことはとても安全だと感じ、怖いと思ったことがなかった」と振り返っています。安全だと感じられる環境は、学びや挑戦の土台になります。彼女の言葉は、そのシンプルな事実を思い出させます。
2025年、学び直しの“帰還”——北京電影学院へ
そして2025年、エラさんは「もう一度中国で学びたい」という願いをかなえ、北京へ。現在は北京電影学院で学んでいます。父がかつて夢見た「中国と映画」を、今度は娘が自分の時間として積み上げていく形です。
忘れられない春節——雲南・大理での“家族の輪”
エラさんが特に忘れられない出来事として挙げるのが、中国語教師に招かれて訪れた、雲南省大理の春節(旧正月)です。美しい農村で、教師の家族と食卓を囲み、踊り、祝福の気持ちが込められたお年玉(紅包)も受け取ったといいます。
「あの瞬間、本当に自分が家族の一員になったと感じた」。制度や肩書きではなく、生活のリズムの中で生まれる受け入れの感覚が、彼女の記憶に深く刻まれました。
時系列で整理:エラさんの“父の夢”から“自分の学び”へ
- 約40年前:父が北京で学び、中国で映画の仕事をする夢を抱く(帰国により中断)
- 16歳:父から「中国へ行きなさい」と背中を押される
- 2023年:単身で中国本土・雲南省昆明へ。中国語学習を開始
- 2025年:再び中国で学ぶ希望を実現し、北京電影学院へ
- 春節:雲南省大理で教師の家族と祝う体験を重ねる
「世代」と「大陸」を越えるつながりは、どこで育つのか
クロアチアから北京へ——エラさんの歩みは、派手な成功談というより、言葉を学び、誰かの家の食卓に座り、季節の行事を一緒に過ごす、といった小さな出来事の積み重ねでできています。父の未完の夢が、娘の学びとして続いていく。そのプロセス自体が、つながりのあり方を静かに語っています。
Reference(s):
A Croatian girl carries on her father's unfinished Chinese dream
cgtn.com








