シカゴで家賃負担が深刻化 ALICEが映す「余裕のなさ」とADU条例の現実 video poster
シカゴでいま注目されるのは、家賃の上昇と「少しの想定外で生活が崩れうる層」の増加です。2025年の市の年次報告では、手の届く賃貸住宅の不足がこの10年で最大規模とされ、住宅政策の効果が改めて問われています。
「ALICE」という言葉が刺さる理由
最近、SNSを中心に「米国のALICE(Asset Limited, Income Constrained, Employed)しきい値」という表現が広がっています。働いて収入があっても、貯蓄や余力が乏しく、突然の出費やトラブルが長期的な困難に直結しやすい状態を指す言葉として使われています。
この言葉が広まった背景には、家賃や生活費の上昇で「暮らせてはいるが、耐えられる余白がない」感覚が共有されやすくなったことがうかがえます。
2025年の公式データが示した「不足」の大きさ
シカゴ市の2025年のホームレスに関する年次報告によると、市内では手頃で利用可能な住宅の不足が、この10年で最大のギャップになっているとされました。
- 2025年1月23日のポイント・イン・タイム(PIT)カウント推計:ホームレス状態の人は7,452人(シェルター利用者と屋外等の未収容者を含む)
数字は一つの時点の推計ですが、住宅の供給・価格・支援策が絡み合う問題の「圧」を具体的に示しています。
対策の柱:ゾーニング改革とADU条例
市は対応策として、ゾーニング(用途地域)や土地利用の改革を進めています。その一つが、住戸を増やしやすくするためのAdditional Dwelling Units(ADU)条例です。狙いは、住宅密度を高め、供給を増やすことで、家賃の上昇圧力を和らげることにあります。
一方で、制度が整っても、実際にどれだけ供給が増えるのか、どの価格帯の住宅が増えるのかは別問題です。制度設計と現場の実装には時間差があり、評価も分かれやすい領域です。
現場感覚:建設業と福祉の視点が交差する
建設業に携わるニック・セラ氏と、ソーシャルワーカーのスティーブン・バンス氏は、シカゴで賃貸危機が起きていると述べ、家賃の上昇が全米でも高い水準にある点を指摘しています。
両者は、ADUが住民にとっての「選択肢」を広げ、手頃な住宅の拡大に一定の役割を果たしうる一方、新しい賃貸開発に対して地域の懸念や反発が出ることもある、としています。それでも、供給を増やすことが家賃負担の緩和に向けた基本手段である点では一致していました。
2026年に向けた焦点:供給増は「体感」に届くか
2026年の見どころは、制度が「導入されたか」よりも、「供給の増加がどの層の暮らしに届くか」です。特に、次の点が論点になりそうです。
- ADUを含む改革で、実際の住戸供給がどれだけ増えるか
- 増える住戸が、家賃負担の重い層にとって現実的な価格帯か
- 地域の合意形成と、開発への不安をどう扱うか
- ホームレス支援と住宅供給の接続がどこまで進むか
「ALICE」という言葉が広がる時代に、都市が示す処方箋は、制度の正しさだけでなく、生活の手触りとしての安心感を回復できるかどうかで評価されていきます。
Reference(s):
cgtn.com








