冬季五輪の熱気の裏で…氷点下17℃に挑むフィンランドの「冬泳ぎ」 video poster
ミラノ・コルティナ2026冬季五輪が2月6日に開幕し、世界の視線がイタリアに集まるなか、フィンランド・ヘルシンキでは別種の“冬の挑戦”が静かに広がっています。凍った湖の氷を割って冷水に入る「冬泳ぎ(アイススイミング)」です。
イタリアの大舞台と、フィンランドの凍った湖
イタリアでは、トップアスリートたちが国内4つの主要ゾーンで競技を繰り広げています。一方、ヘルシンキの湖畔では、冬泳ぎの愛好家たちが桟橋に集い、氷点下17℃の寒さの中で水に身を沈めます。
観客席の歓声とは違う、息が白くほどけていく静けさ。そこにあるのは、記録よりも「自分の感覚」を確かめる時間です。
30年続ける理由:「自然・心・体」がつながる感覚
フィンランドの愛好家サンナ・マンシッカマキさんは、冬泳ぎをほぼ30年続けてきました。彼女が大切にしているのは、寒さに耐える根性論ではなく、自然の中で心身の輪郭がくっきりしていく感覚だといいます。
マンシッカマキさんは、冬泳ぎについて「自然、心、体のつながりがいちばん大事」と話し、睡眠面でも変化があったといいます。夜に目が覚めにくくなり、10〜13時間眠れることもあるそうです。
「君がやりそうなバカなこと」から始まった6年
マッテウス・デゲルマンさんが冬泳ぎを始めたのは6年前。元日の散歩のあと、妻から「あなたがやりそうなバカなことに見える」と冗談を言われたのがきっかけだったといいます。
いまでは、かつては静かだった桟橋にも人が増え、冬泳ぎをする人の輪が大きくなりました。本人の挑戦であると同時に、冬の自然へ戻っていく“習慣”として根付いてきた面も見えてきます。
なぜ人は冷たい水に入るのか:健康よりも「自信」の話
冬泳ぎは健康効果が語られがちですが、今回の現場で目立つのは「自信」や「自己調整」といった言葉です。冷水に入る行為は、短時間でも強い刺激を伴います。その瞬間に、呼吸、心拍、恐怖心との向き合い方が問われるからです。
結果として、日常のストレスや不安への向き合い方が変わった、と感じる人もいる。競技スポーツのように勝敗を争うのではなく、自己との対話に近い挑戦として語られています。
一方で「安全」は別問題:冬泳ぎで気をつけたいこと
氷点下の環境と冷水は、体に強い負荷をかけます。興味を持つ人が増えるほど、無理をしないルールづくりが大切になります。
- 単独行動を避ける:体調急変に備え、周囲に人がいる環境で行う
- 入水時間は短く:長時間の滞在は低体温のリスクを高める
- 体調が悪い日はやめる:睡眠不足・飲酒後・発熱時などは避ける
- 出た後を重視:濡れたまま風に当たらず、速やかに保温する
「挑戦」には、身体の限界を超えることではなく、限界を見誤らないことも含まれます。
ミラノ・コルティナ2026が照らす“もう一つの冬の過ごし方”
五輪は、鍛え抜かれた技術と身体が競い合う舞台です。対して、ヘルシンキの冬泳ぎは、誰かに見せるためではなく、自然と折り合いをつけながら自分を整える営みとして続いています。
同じ「冬」をめぐる出来事でも、スポットライトの下の熱狂と、氷を割る静かな日常は対照的です。その並走が、2026年の冬を少し立体的に見せています。
Reference(s):
cgtn.com








