シリア軍、ダマスカス郊外からの撤退報道を否定 南部で戦闘激化
2024年12月初め、シリア南部で反政府勢力と政府軍の戦闘が激しさを増し、首都ダマスカス近郊の安全保障をめぐる緊張が高まっています。こうした中、シリア国防省は「ダマスカス郊外から軍が撤退した」とする一部報道を強く否定しました。
今回のポイント
- シリア国防省は、ダマスカス郊外からの撤退報道を「偽情報」として全面否定
- 南部ダルアでは、反政府勢力が軍事拠点の掌握や首都への前進を主張
- 戦闘はハヤート・タハリール・アル=シャームが主導し、2024年11月末から激化
- 政府と反政府勢力の発表が食い違い、情報戦の様相も強まっている
シリア国防省「撤退報道は偽情報キャンペーン」
シリア国防省は声明を通じて、首都ダマスカスの周辺地域からシリア軍が撤退したとする報道について、「パニックを広げることを狙った偽情報キャンペーンだ」と非難しました。
同省によりますと、シリア軍はダマスカスの田園地帯に引き続き全面的に展開しており、配置の変更や撤退は行っていないとしています。また、軍は「いかなるテロ攻撃にも対応できる態勢を維持している」と強調しました。
南部ダルアなどで反政府勢力が前進と主張
一方で、シリア南部の複数の地域では、政府軍が拠点から後退したとする報告が相次ぎました。報道によれば、イスラエルが併合したゴラン高原に近いクネイトラ県やダルア県、スウェイダ県などで、政府軍部隊がいくつかの陣地から引き上げたとされています。
ダルア県では、反政府勢力が多数の軍事拠点を掌握し、一部の政府部隊に降伏や離反を促したと伝えられています。反政府側は、首都ダマスカスからおよそ20キロの地点まで前進したと主張し、金曜日の夜遅くにはダルア県の県都ダルア市を掌握したと発表しました。
ハヤート・タハリール・アル=シャーム主導の攻勢
報道によると、これらの展開は政府軍と反政府勢力との戦闘がエスカレートしていることを示しています。反政府勢力は、ハヤート・タハリール・アル=シャームが主導しているとされ、2024年11月27日以降、各地で領土をめぐる戦闘を激化させていると伝えられています。
南部一帯での前線の動きは、軍事拠点の掌握や部隊の離反工作といった手段を通じて、支配地域を広げようとする試みでもあります。短期間で多くの拠点が争奪の対象となっていることがうかがえます。
食い違う発表と「情報戦」の行方
シリア国防省は「撤退はない」と強調する一方で、反政府勢力は相次ぐ軍事的な前進を主張しています。現地からの情報が限られる中で、双方の発表には大きな食い違いがあり、外部から戦況を正確に把握することは容易ではありません。
国防省が撤退報道を「偽情報キャンペーン」と批判していることからも、地上戦だけでなく、情報の発信を通じたイメージや士気の争いが続いていることがうかがえます。こうした「情報戦」は、戦闘の行方だけでなく、国内外の世論形成にも影響を与える可能性があります。
2024年末のこの局面は、2025年現在のシリア情勢を考えるうえでも、報道や当事者の発表をどのように読み解くかという課題を改めて突きつけています。複数の情報源を付き合わせながら、距離を保って状況を見ていく視点が求められていると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








