イスラエル軍がシリア国境地帯を掌握 戦略兵器施設を空爆か
イスラエル軍がシリア国境地帯を一時掌握
イスラエル軍が、シリアとの国境付近の地域を一時的に掌握し、シリア国内の「戦略兵器」を狙った攻撃を実施したことが、8日(月)までにシリア側とイスラエル側の情報から明らかになりました。シリアでは先月27日以降、武装勢力による攻勢が続き、前日7日にはバッシャール・アル・アサド政権が急速に崩壊したと伝えられており、国境地帯の緊張が一気に高まっています。
ゴラン高原近くのクネイトラで戦車が前進
シリア側の情報筋は、中国の新華社通信に対し、イスラエル軍の戦車部隊がシリア南西部クネイトラ市に進入し、占領下ゴラン高原に近い州都の県庁舎にまで達したと語っています。進軍の際には無人機(ドローン)が上空を旋回していたとされています。
英国を拠点とする戦闘監視団体「シリア人権監視団」によると、クネイトラでは複数の地点が攻撃を受けたということです。
「緩衝地帯」への武装勢力侵入が引き金に
イスラエルのギデオン・サール外相は8日の記者会見で、週末にシリア側の武装勢力が、シリアとイスラエルの間に設けられた「緩衝地帯」に侵入し、両国の兵力引き離し合意に違反したと説明しました。
この武装勢力は、同合意を監視する国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)の拠点も攻撃したとされています。サール外相は「ゴラン高原の地域社会への脅威を受け、イスラエル軍(IDF)は国境付近の地域を掌握するため、標的を絞った一時的な作戦を実施した」と述べました。
シリア国内の「戦略兵器」施設も攻撃
サール外相によりますと、イスラエル軍はシリア国内で「戦略兵器システム、残存する化学兵器関連能力、長射程ミサイルやロケット弾」も攻撃しました。これらの兵器が「過激派の手に渡るのを防ぐ」ことが目的だとしています。
イスラエル軍によれば、7日には特殊部隊が緩衝地帯とヘルモン山頂のシリア軍前哨基地を制圧したほか、イスラエル空軍機がダマスカス周辺などシリア各地で兵器貯蔵施設を標的とする空爆を行いました。
アサド政権崩壊とハヤート・タハリール・アル・シャーム
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は7日に公開したビデオ声明で、今回の国境地帯の掌握は「一時的」なものだと強調しました。そのうえで、ポジションを確保する狙いは、ハヤート・タハリール・アル・シャームが主導する武装勢力に拠点が渡るのを防ぐためだと説明しました。
これらの武装勢力は、先月27日以降、シリア各地で大規模な攻勢を続け、7日にはアサド大統領率いる政権が急速に崩壊したとされています。長年続いた政権が崩れたことで、シリア国内では権力の空白と安全保障上の不確実性が一気に広がっています。
ダマスカスを掌握した武装勢力の「統治方針」
一方、ダマスカスを最近掌握した武装勢力の「総司令部」は8日、地元メディアを通じて声明を発表し、暴力行為や私的な報復、盗難武器の売買に対しては、最長3年の懲役刑を科すと警告しました。
声明によると、武装勢力は支配地域で次のような方針を示しています。
- 公務員に対し、職場への復帰を命令
- 薬局に対しては指定された営業時間の営業を義務付け、従わない場合は店舗没収の可能性
- ダマスカスと周辺地域、沿岸部のラタキア県とタルトゥース県で、午後5時から翌午前5時までの夜間外出禁止令を実施
- 外出禁止の対象外は、治安要員、消防士、医療関係者、救急車、治安部隊に限定
- 外出禁止令に違反した場合は1カ月の禁錮刑
また、タルトゥース大学は9日(火)から行政・教育活動を再開すると発表し、特に実技試験などの評価は後日あらためて日程を調整するとしています。
国境管理と地域の安定はどうなるのか
イスラエル軍による国境地帯の一時掌握と、シリア側での政権崩壊・権力移行は、イスラエルとシリアの安全保障環境を大きく変えつつあります。国連監視下にある緩衝地帯が武装勢力の活動の場となれば、国境を接する地域社会の不安はさらに高まる可能性があります。
今後の焦点となるのは、
- イスラエル軍の「一時的」作戦がどの程度の期間続くのか
- シリア国内の戦略兵器が、誰の管理下に置かれるのか
- 国連や周辺諸国が、緩衝地帯と民間人保護にどう関わるのか
という点です。シリア情勢とイスラエル・シリア国境の動きは、中東全体の安定にも直結する問題であり、今後も注意深く見ていく必要があります。
Reference(s):
Israeli army controls border areas, strikes strategic weapons in Syria
cgtn.com








