シリア政府が崩壊、アサド氏ロシア亡命 14年内戦の突然の終わり video poster
戦火にさらされてきたシリアで、アサド政権がわずか12日間の電撃戦の末に崩壊し、14年近く続いた内戦が突然の終わりを迎えました。2025年12月8日現在、現地は新たな不確実性に直面しています。
シリア政府崩壊で迎えた不意の月曜日
2025年12月8日月曜日の朝、シリアの人びとは、これまでとはまったく違う現実の中で目を覚ましました。バッシャール・アル・アサド大統領が前日までに辞任し、ロシアに亡命先を求めて到着したと伝えられているためです。
アサド政権は、11月27日以降続いていた反政府武装勢力の大規模攻勢の結果、日曜日に崩壊しました。首都ダマスカスは12日以内に制圧され、ほぼ14年におよぶシリア内戦は、予期せぬ形で幕を下ろしたとされています。
しかし、戦闘の終息は必ずしも安定や和平を意味しません。政権崩壊後の権力の空白や治安の行方をめぐり、シリア国内だけでなく中東地域全体に新たな不確実性が広がっています。
北部からダマスカスへ 12日間の電撃戦
今回の攻勢を主導したのは、Hayat Tahrir al-Sham(HTS)率いる武装勢力の連合体です。彼らは11月27日以降、シリア北部から政府支配地域に対する大規模な進軍を開始しました。
攻勢は開始直後から勢いを増し、まず北西部のアレッポ県とイドリブ県の要衝を次々と制圧。その後、わずか数日で中部ハマ県を掌握しました。
決定的な転機となったのは日曜日未明です。夜明け前の短時間ながら激しい戦闘の末、戦闘員らはダマスカスの北約160キロに位置する戦略拠点の都市ホムスを完全掌握しました。この結果、首都ダマスカスと、アサド政権を支えてきたアラウィー派コミュニティの沿岸部拠点との連絡線が断たれたとされています。
後背地を断たれた政権側は持ちこたえることができず、その日のうちにダマスカスも武装勢力の手に落ちました。こうしてアサド政権は、約2週間に満たない電撃戦の末に崩壊することになりました。
2011年から続いた内戦 2020年以降の膠着から一転
シリアでは2011年以降、政府側と複数の武装勢力との間で激しい衝突が続いてきました。ただし、2020年ごろからは大規模な戦闘は次第に沈静化し、前線は大きく動かない膠着状態が続いていたとされます。
その意味で、今回の攻勢は政権側にとって完全な不意打ちでした。表面的な安定の裏で、長期にわたる戦争による疲弊や支配地域の防衛力の低下が進んでいた可能性もあります。
14年近く続いた内戦の突然の終結は、多くのシリアの人びとにとって安堵と不安が入り混じる出来事です。空爆や大規模戦闘が止むことへの期待がある一方で、新たな支配勢力のもとでどのような政治体制や生活が待っているのかは見通せていません。
アサド氏のロシア亡命と今後の権力構図
アサド大統領がロシアに到着し、亡命先としての庇護を求めていると伝えられていることは、シリア国内の権力移行に大きな影響を与えます。象徴的な指導者が国外に去ったことで、旧政権側の再結集は難しくなりました。
一方で、新たにダマスカスを掌握した武装勢力側が、どのような政治的枠組みを打ち出すのかは不透明です。複数の勢力が連合する現在の構図が続くのか、それとも統一された暫定政権が樹立されるのかによって、治安やガバナンスの行方は大きく変わります。
周辺の中東諸国やロシアを含む関係国も、シリアの政治空白が広がることによる安全保障上のリスクや難民問題への影響を注視しているとみられます。
中東と世界への波紋 何が懸念されているのか
シリア内戦の終結は、表向きにはひとつの紛争の幕引きです。しかし、その後に訪れる政治的・社会的な揺らぎは、国際ニュースとして今後もしばらく世界の関心を集めると考えられます。
主な懸念材料としては、次のような点が挙げられます。
- 首都ダマスカスおよび主要都市での治安維持と行政機能の再建
- 各武装勢力間の利害調整が進まず、内戦が別の形で再燃するリスク
- 長期にわたり避難生活を送ってきた人びとの帰還と復興プロセスの行方
- 周辺地域への影響拡大や、新たな越境的な安全保障課題
これらの課題にどう対応するかによって、シリアが戦争後の社会へと移行できるのか、それとも不安定な状態が続くのかが左右されます。
これからのシリア情勢を見る視点
2025年12月8日現在、シリアの将来像はまだ霧の中にあります。それでも、今後のニュースを追ううえで押さえておきたいポイントがあります。
- 新たな統治体制の枠組みは、包摂的なものになるのか
- 武装勢力がどこまで民政移管に踏み込むのか、それとも軍事的支配を続けるのか
- ロシアを含む関係国が、シリアの再建や政治プロセスでどのような役割を果たすのか
- 市民の日常生活が、どのスピードで平時に近づいていくのか
14年に及ぶ内戦の歴史を踏まえれば、シリア情勢は今後も一朝一夕には安定しない可能性があります。だからこそ、短期的な軍事バランスだけでなく、人びとの生活や地域全体の安全保障を含めた長い時間軸でニュースを読み解いていく視点が求められています。
Reference(s):
Syrian government collapses in sudden upheaval with uncertain future
cgtn.com








