スーダン「忘れられた戦争」国連が訴える人道危機のいま
2023年4月に始まったスーダンの内戦は、暴力と飢餓、病気と死をもたらしながら、世界のニュースからは少しずつ姿を消しつつあります。2024年、国連はこの人道危機を「想像を絶する残虐さ」と表現しました。本記事では、国連が訴えるスーダン危機の実態と、なぜ「忘れられた戦争」となりつつあるのかを整理します。
終わらない内戦:発端は2023年4月
2023年4月15日、スーダンの首都ハルツームで、スーダン軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の衝突が発生しました。この戦闘はすぐに首都を越えて各地へと広がり、激しい戦闘は止まらないまま続いたとされています。
1年以上に及ぶ戦いの結果、国全体は「暴力、飢餓、病気、死」に覆われ、「国土と人びとの破壊」に直面していると報告されました。物理的な土地だけでなく、コミュニティや社会そのものが深く傷ついているという指摘です。
国連「想像を絶する残虐さ」と警告
12月19日、国連人道問題調整事務所(OCHA)でオペレーション部門のディレクターを務めるエデム・ウォソルヌ氏は、国連安全保障理事会でスーダン情勢について報告しました。
ウォソルヌ氏は、スーダンの状況を「桁違いの規模で、想像を絶する残虐さを伴う危機」であり、「緊急かつ継続的な注目が必要だ」と訴えました。各国の代表に対し、スーダンの人道危機への支援と関与を強く求めた形です。
ここには、「一時的な関心」ではなく、政治・資金・外交の面で長期的に向き合う必要があるというメッセージが込められています。
UNICEF「記憶に残る中で最悪級の危機」
2024年10月には、国連事務次長で国連児童基金(UNICEF)副事務局長のテッド・チャイバン氏がスーダンを訪問しました。チャイバン氏は、この人道危機を「記憶に残る中で最も深刻なものの一つ」と表現し、その厳しさを強調しました。
同時にチャイバン氏は、スーダンとその窮状が世界から次第に忘れられつつあると懸念を示しています。危機の深刻さと、国際社会の関心の薄れとの間に、大きなギャップが生まれているという指摘です。
なぜスーダンは「忘れられた戦争」になるのか
スーダン危機は、国連の高官が「歴史に残るほど深刻」と語るほどの人道危機でありながら、世界のニュースでは大きく扱われない場面も目立ちます。その背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 複数の危機が同時進行している:世界各地で紛争や自然災害が相次ぎ、限られたニュース枠や外交的関心が分散しやすくなっています。
- 現場へのアクセスの難しさ:治安の悪化やインフラの破壊により、ジャーナリストや支援団体が現場に入りにくく、映像や証言が届きにくい状況があります。
- 政治の文脈が見えにくい:スーダンの内戦は、軍と準軍事組織という国内の権力闘争の要素が強く、外からは構図が分かりにくいため、関心が集まりにくい側面もあります。
こうした要素が重なり、スーダンの内戦は「終わらない戦争」でありながら、「忘れられた戦争」とも呼ばれかねない状況に置かれています。
日本にいる私たちにできること
遠い国で起きている出来事は、日々の生活の中ではどうしても実感しにくいものです。それでも、スーダンのような人道危機を「知らないまま」にしないことには意味があります。
- 情報を追い続ける:国際ニュースや国連の発表を意識的にチェックし、長期化する危機の「その後」に目を向けることができます。
- 人道支援の取り組みを知る:国連機関や人道支援団体がどのような支援を行っているのかを知ることは、寄付やボランティアに限らず、関心を示す一つの形です。
- 身近な場で話題にする:家族や友人、SNSでスーダンのことを共有するだけでも、「忘れられた危機」に光を当てる一歩になります。
2024年に国連が発したスーダンへの警告は、2025年の今も重い意味を持ち続けています。長く続く戦争と人道危機を忘れないことは、そこで生きる人びとの存在を認め、暴力に対して「関心を持ち続ける」という意思表示でもあります。
Reference(s):
cgtn.com








