イランでソレイマニ司令官暗殺から5年 全国で追悼集会【国際ニュース】
イランでソレイマニ司令官暗殺から5年 全国で追悼集会
2025年、イランでは米軍によるカセム・ソレイマニ司令官の殺害から5年の節目を迎え、首都テヘランをはじめ各地で大規模な追悼集会が開かれました。本記事では、その様子とイラン社会・中東情勢への意味合いを整理します。
2020年の米軍ドローン攻撃から5年
ソレイマニ氏は、イランの精鋭部隊とされるイスラム革命防衛隊(IRGC)・コッズ部隊の元司令官です。2020年1月3日、イラクのバグダッド国際空港付近で、米軍によるドローン攻撃を受け、イラクの民兵組織指導者アブ・マフディ・アル・ムハンディス氏らとともに死亡しました。
イラン側は当時から今日に至るまで、この攻撃を「国家テロ行為」だと強く非難しており、今回の追悼でもその認識があらためて共有されました。
テヘランの大規模集会 政軍トップが勢ぞろい
国際ニュースとしても注目を集めたのが、首都テヘランでの追悼行事です。会場となったイマーム・ホメイニ・モサッラ礼拝所には、多数の市民に加え、イランの政権中枢や軍の幹部が顔をそろえました。
- マスード・ペゼシキアン大統領
- ゴラームホセイン・モフセニ=エジェイ司法府トップ
- モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ国会議長
- イスラム革命防衛隊トップのホセイン・サラミ司令官
- コッズ部隊のエスマイル・ガーアニ司令官
ソレイマニ氏の家族や、各地の武装組織の指揮官らの遺族も出席し、会場にはソレイマニ氏やムハンディス氏の写真が多数掲げられました。また、「抵抗の前線(レジスタンス・フロント)の殉教者」として、地域の武装組織の指導者たちの写真も大きく展示されました。
故郷ケルマンにも長蛇の列
ソレイマニ氏の出身地である南東部ケルマンでも、多くの人々が墓所を訪れました。数千人規模の人びとが順番を待ち、花を手向けたり、静かに祈りをささげたりする姿が見られました。
地方都市でも同様の追悼行事が開かれ、イラン国内でソレイマニ氏が象徴的な存在として位置づけられていることがうかがえます。
「虐げられた人々を守った」大統領が語ったメッセージ
テヘランの集会で演説したペゼシキアン大統領は、ソレイマニ氏について「虐げられた人々を守り、国民に奉仕するために人生をささげた」と評価しました。
さらに大統領は、「その命をささげたことで、ソレイマニ殉教者は圧政者に恥辱を与えた」と述べ、米国による攻撃を強く批判しました。
演説では、イスラム世界の分断を狙う「敵」の存在にも言及し、「私たちの義務は、そのような策動を打ち砕くために最大限の努力を払い、イスラム教徒同士の違いを敵が利用できないようにすることだ」と呼びかけました。追悼行事は、イラン国内の結束を訴える政治的メッセージの場にもなっています。
「抵抗の殉教者」という物語が持つ意味
今回の追悼では、ソレイマニ氏だけでなく、「抵抗の前線」の他の指導者たちも「殉教者」として顕彰されました。これは、イランが自らを「圧迫に対抗する側」と位置づけ、その象徴としてソレイマニ氏の物語を強調していることを示しています。
国際ニュースとして見ると、こうした語り方は、イラン国内での正統性や求心力を高める役割を果たすと同時に、地域の支持層に向けたメッセージでもあります。一方で、ソレイマニ氏をどう評価するかは、国や立場によって大きく異なり、今回の追悼の光景も、見る側の視点によって受け止め方が変わってきます。
米・イラン関係と中東情勢に映る「5年」という時間
2020年のドローン攻撃から5年が経った今も、イラン側がこの出来事を「国家テロ」と位置づけ、最高指導部がそろって非難を繰り返していることは、米・イラン間の深い不信がなお続いていることを物語ります。
中東情勢に関心のある読者にとって重要なのは、ソレイマニ氏の追悼が単なる国内行事にとどまらず、「抵抗」や「殉教」といったキーワードを通じて、地域の安全保障や政治の文脈とも結びついている点です。こうした象徴的な出来事が、今後の交渉や対立のあり方にどのような影響を与えるのか、引き続き注意深く見ていく必要があります。
私たちがこのニュースから考えたいこと
ソレイマニ氏の追悼は、一国の指導者を悼む儀式であると同時に、「誰を英雄とみなし、誰を加害者とみなすのか」という物語のせめぎ合いでもあります。国際ニュースを日本語で追う私たちにとっては、
- イランの人びとが何を大切にし、どう世界を見ているのか
- 米・イラン関係の緊張が、人々の日常や地域秩序にどう影響するのか
- 立場の異なる当事者が、それぞれどのような言葉で出来事を語っているのか
といった点に目を向けることが、単なる「賛否」や「善悪」を超えた理解につながります。短いニュースの裏側にある文脈を意識することで、中東地域や国際政治をめぐる自分自身の見方も、少しずつ更新されていくはずです。
Reference(s):
Iran marks 5th anniversary of top commander Soleimani's assassination
cgtn.com








