韓国で弾劾中のユン・ソクヨル大統領の逮捕試み停止 自宅でのにらみ合い続く
2025年12月現在、韓国で弾劾中のユン・ソクヨル大統領に対する逮捕状の執行が、大統領私邸でのにらみ合いと安全上の懸念からいったん停止されました。戒厳令の導入を試みたものの失敗に終わったとされる一件をめぐり、汚職捜査庁が逮捕に踏み切ろうとしましたが、現場の緊張が司法手続きの進行を阻んだ形です。
何が起きたのか
韓国の捜査当局によると、汚職捜査庁(Corruption Investigation Office)は金曜日、弾劾中のユン・ソクヨル大統領の逮捕状を執行するため、大統領の私邸を訪れました。容疑は、ユン氏による戒厳令の発令計画が失敗に終わったとされる戒厳令未遂に関連するとされています。
しかし、私邸では大統領側と捜査当局との間でにらみ合いが続き、逮捕状を実際に執行することが難しい状況になりました。当局は強制的な突入などは行わず、現場での対立が続くなかで判断を迫られたとみられます。
捜査機関が明らかにした判断
汚職捜査庁は声明で、逮捕状の執行を見送った理由を次のように説明しました。
本日の逮捕状執行に関しては、現場でにらみ合いが続いていたため、執行は事実上不可能であると判断しました。現場要員の安全への懸念から、執行を中止する決定を下しました。
この説明からは、当局が物理的な衝突を避けつつも、逮捕状執行の正当性と安全確保のバランスに苦慮している様子がうかがえます。
戒厳令未遂疑惑が意味するもの
今回の逮捕状は、ユン大統領による戒厳令の導入をめぐる疑惑に関連しています。戒厳令とは、非常事態に際して軍が治安維持を担うなど、通常の法秩序を一時的に制限する特別措置を指します。民主主義国家においては、戒厳令は権力乱用の懸念と背中合わせの制度でもあります。
ユン大統領は、その戒厳令を発動しようとしたものの、実現には至らなかったとされています。この失敗に終わった試みをどこまで刑事責任の対象とするのかが、今後の捜査や司法判断の大きな焦点となりそうです。
韓国政治と法の支配への影響
現職または弾劾中の大統領に対する逮捕の試みは、その国の政治と司法の関係を大きく揺さぶる出来事です。今回、現場の安全確保を理由に逮捕状の執行がいったん停止されたことで、韓国社会では次のような論点が浮かび上がっています。
- 法の支配を徹底するために、どこまで強制力を行使すべきか
- 大統領経験者や現職に対する捜査を、政治的対立からどのように切り離すか
- 物理的な衝突を避けつつ、捜査機関と当事者の対話や交渉をどう設計するか
逮捕状がいったん執行されなかったことで、ユン大統領側が今後、自主的な出頭や調査への協力に応じるのか、それとも対立を続けるのかによって、情勢は大きく変わります。当局が再び逮捕状の執行を試みるのかどうかも、注目される点です。
日本からどう見るか
隣国の政治と司法の動きは、日本の読者にとっても無関係ではありません。非常時を理由とした権限の拡大や、トップリーダーに対する捜査のあり方は、多くの民主主義社会が共通して直面しうる課題です。
今回の一件は、危機対応と権力の抑制、そして安全確保と法の執行をどのように両立させるのかという問いを、あらためて私たちに突きつけています。今後、韓国の捜査と政治の動きがどのような方向に向かうのか、注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
South Korea investigators say attempt to arrest president halted
cgtn.com








