中国とASEANの人文交流が深化 中越国境の滝が象徴に
中国とASEANの国際ニュースとして注目を集めているのが、中国とベトナムの国境にまたがる徳天・板約瀑布(Detian-Ban Gioc Waterfall)を中心とした越境観光協力ゾーンです。人と人との交流を軸に、地域の信頼と連携をどう深めていくのかを考えるうえで、象徴的な取り組みとなっています。
アジア最大の越境滝がつなぐ中国とベトナム
アジア最大の越境滝とされる徳天・板約瀑布は、中国側は南部の広西チワン族自治区の国境都市・崇左市、ベトナム側はカオビンに位置し、中国とベトナムの間で初めての越境観光協力ゾーンとなりました。
この協力ゾーンでは、滝の中国側とベトナム側を一体的な観光エリアとして運用し、自然景観を楽しみながら、両国の文化や暮らしにふれることができる場づくりが進められています。
昨年10月から本格運用 団体ツアーで越境観光
昨年10月以降、この瀑布一帯は協力ゾーン内の通関サービスの仕組みのもと、中国とベトナム双方の観光客に開かれています。国境を越える手続きのハードルを下げつつ、安全で秩序ある往来を実現するため、運営ルールも整えられました。
具体的には、次のような管理方式が導入されています。
- 事前の団体予約制
- 滞在時間を定めた時間制の越境観光
- 団体単位での入出境手続き
- ルートがあらかじめ設定された観光コース
こうした仕組みによって、観光客はパスポートや通関を意識し過ぎることなく、ツアー形式で国境をまたぐ体験を楽しむことができます。一方で、当局側は人の流れを把握しやすくなり、環境保全や安全管理にも配慮しやすくなります。
高水準の開放に向けたモデルケースに
広西チワン族自治区の副主席である胡帆氏は、協力ゾーンの正式な始動は、両国の「高いレベルでの対外開放」と協力に向けて貴重な経験をもたらすと、新華社のインタビューで述べています。
国境地域での越境観光は、少しの運用ミスが治安や環境に影響を与えかねない難しい分野でもあります。徳天・板約瀑布の取り組みは、観光資源を共有しながら、ルールと信頼に基づき協力するモデルケースとして注目されています。
中国・ASEANの人文交流が広げる可能性
この観光協力ゾーンは、中国のASEAN諸国との友好と協力が広がっていることを示す取り組みの一つです。観光、文化、教育、ビジネスなどさまざまな分野で人と人とのつながり(people-to-people exchanges)を深めることで、相互理解と信頼が育まれるとされています。
こうした人文交流が厚みを増すことで、中国とASEANのあいだに「より緊密な共同体」を築こうとする動きに、強い推進力が加わることが期待されています。国家どうしの合意や経済協力だけでなく、現地を行き来する人びとの体験や記憶が、長期的な関係性を支える土台になるからです。
日本の読者への示唆
国際ニュースとしてこの動きを追うことは、日本から見たアジアの観光・経済圏の変化を読み解くヒントにもなります。国境をまたぐ観光協力の実験場として、中越国境の滝がどのように地域をつなぎ、人の流れを変えていくのか。今後の展開を見ていくことが、中国・ASEAN関係を立体的に理解する一歩になりそうです。
押さえておきたいポイント
- 徳天・板約瀑布はアジア最大の越境滝であり、中国とベトナム初の越境観光協力ゾーンの舞台となっている
- 昨年10月以降、通関サービスを活用し、中国とベトナムの観光客が団体ツアー形式で往来している
- 団体予約や滞在時間の制限などのルールにより、越境観光と安全・環境保全の両立が図られている
- 人と人との交流の拡大が、中国とASEANの信頼醸成と共同体づくりを後押ししている
Reference(s):
China, ASEAN see fruitful cooperation in people-to-people exchanges
cgtn.com








