欧州E5国防相がポーランドで会合 防衛産業強化とウクライナ支援を協議
2025年、欧州の安全保障をめぐる議論が一段と緊迫しています。ポーランドで開かれた欧州5か国(E5)の国防相会合では、防衛産業の強化とウクライナ支援、そして防衛費のあり方が集中的に話し合われました。
E5会合とは何か
今回ポーランドに集まったのは、ポーランド、ドイツ、フランス、イタリア、英国の国防担当トップです。この5か国は「欧州5(E5)」と呼ばれ、NATOの中で防衛のために最も多くの資金を拠出している欧州の国々とされています。
会合では、ウクライナへの継続的な支援に必要な防衛産業の体制づくりや、弾薬や装備を安定して供給できる生産能力の確保などが議題となりました。
「2025年は決定的な年」ドイツが示す危機感
ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、欧州の安全保障環境について強い危機感を示しました。ピストリウス氏は、米国の政権がどのように変化しようとも、2025年は欧州にとって「決定的な年」だと述べ、NATOにおける欧州側の役割を高める必要性を訴えました。
とくに同氏は、「NATOの欧州の柱を強化するうえで、時間の余裕はない」とし、欧州が自らの防衛能力を高めることが急務だと強調しました。これは、ウクライナ支援を続けながら、自らの防衛体制も同時に整える必要があるという認識の表れだといえます。
防衛費「GDP2%」へ EU内で議論本格化
フランスのセバスチャン・ルコルニュ国防相は、EU加盟国が国内総生産(GDP)の2%を防衛に充てるべきかどうかという論点について、今回の会合を機に具体的な「作業を始める」ことができたと語りました。
GDPの2%という目標は、単なる数字ではありません。経済規模が大きい国ほど、防衛費も大幅に増えることを意味します。これは、装備の近代化や弾薬の補充だけでなく、防衛産業への長期的な投資を伴う決断でもあります。
英国も防衛費増額の必要性を指摘
英国のルーク・ポラード軍務担当相も、欧州各国が防衛費の増額により一層注力する必要があると改めて指摘しました。ウクライナ支援が長期化するなかで、欧州全体としてどこまで防衛負担を引き受けるのかが問われています。
E5がそろって防衛費増額や防衛産業強化の方向性を確認したことは、欧州の安全保障政策が「節目の年」に入っていることを象徴していると言えるでしょう。
なぜ今、防衛産業の強化なのか
今回の会合の背景には、次のような問題意識があります。
- ウクライナへの武器・弾薬支援を継続するには、欧州側の生産能力を引き上げる必要があること
- 各国の軍備を減らし過ぎた「平和の配当」の時代から、備えを再構築する段階に入っていること
- 米国の動向に左右されすぎないよう、欧州独自の防衛能力を高めたいという思いがあること
防衛産業の強化は、単に工場や設備を増やすだけではありません。技術者や熟練工の育成、サプライチェーン(部品供給網)の整備、民間産業とのバランスなど、多くの課題が絡み合います。
私たちが注目したい3つのポイント
今回のE5会合をめぐる動きを、日本から見る私たちはどのように捉えればよいでしょうか。国際ニュースとして押さえておきたい視点を、あえて3つに絞ると次のようになります。
- ウクライナ支援は「短距離走」から「マラソン」へ
支援の長期化を前提に、防衛産業を含めた体制づくりが進んでいる点は、紛争がすぐには終わらないとの見方を反映しています。 - 欧州の「自立性」をどこまで高めるか
米国頼みからの脱却をどこまで進めるのかは、今後のNATOの姿だけでなく、世界の安全保障バランスにも影響します。 - 防衛費と社会の優先順位
防衛費の増額は、教育や福祉など他の分野の財源とも関係してきます。各国の国内政治でどのような議論が起きるのかも、今後の注目点です。
E5の動きは、欧州の安全保障政策の方向性を映し出す鏡でもあります。ウクライナ支援、防衛産業、そして防衛費の水準をめぐる議論は、2025年の国際情勢を理解するうえで欠かせないテーマになりつつあります。
Reference(s):
cgtn.com








