バイデン米大統領、薬物犯罪で約2500人を減刑 恩赦・減刑件数で歴代最多に
バイデン米大統領が任期の最終盤、非暴力の薬物犯罪で有罪となった人たち約2500人の刑を減刑すると発表しました。恩赦(パードン)や減刑(コミュテーション)といった大統領の裁量権を集中的に行使した今回の措置により、個別の恩赦・減刑件数は歴代大統領で最多となったと報じられています。米国の薬物政策と刑事司法のあり方を考えるうえで、象徴的な動きと言えます。
非暴力の薬物犯罪で約2500人の刑を減刑
報道によると、バイデン大統領は金曜日、非暴力の薬物犯罪で有罪となった人たちのうち、約2500人の刑を減刑すると発表しました。対象となるのは、暴力行為を伴わない薬物関連の罪で服役している人々です。
大統領は、今回の判断について、現在の法律や政策、実務に照らせば「きわめて長すぎる」と見なされる刑が多く存在していると指摘しました。バイデン氏は、そうした「今日の基準で見れば不釣り合いに長い刑」を見直すことが、今回の減刑の目的だと説明しています。
恩赦と減刑、そして「歴代最多」という記録
恩赦や減刑は、米大統領に与えられた憲法上の権限で、刑事事件に関する救済措置です。
- 恩赦(パードン):有罪判決そのものを免除し、法的な責任を帳消しにする措置
- 減刑(コミュテーション):有罪判決は残したまま、刑期そのものを短くする措置
今回の決定は減刑が中心ですが、これまでに行ってきた恩赦とあわせることで、バイデン氏は個人を対象とした恩赦・減刑の累計件数で「大統領として歴代最多」となったと、AP通信(米通信社)は伝えています。
任期の最終局面で、多数の人々の刑を見直す「恩赦・減刑ラッシュ」は、米大統領制ではたびたび見られる現象です。バイデン氏は、その時間を「過去の量刑の不公平をただす」方向に使ったことになります。
焦点は「不釣り合いな長期刑」の是正
バイデン大統領は声明で、今回の減刑について、次のような趣旨を強調しました。
- 現在の法律や政策が適用されていれば受けることはなかったような、不釣り合いに長い刑を是正すること
- とくに、クラックと粉末のコカインをめぐる差別的な扱いなど、「否定された区別」に基づいて科された長期刑を見直すこと
- 薬物犯罪に適用されてきた、時代遅れの量刑加算を是正すること
大統領は、「これは歴史的な誤りを正し、量刑の不公平を是正し、長く拘束されてきた人々が家族や地域社会に戻る機会を提供するための重要な一歩だ」と述べました。
クラックと粉末コカインの長年の「二重基準」
今回の説明で特徴的だったのが、「クラック」と「粉末」という、同じコカインでも形状の違いによる量刑格差への言及です。バイデン氏は、こうした区別がすでに「否定されている」としたうえで、その差に基づいて科された長期刑を見直すと表明しました。
過去の米国の量刑では、クラックと呼ばれる形状のコカインに対して、粉末状のコカインより重い刑が科されてきたとされます。この区別は、実際の危険性や違法性の差に比べて過剰であり、不公平を生んできたとの批判が長年続いてきました。バイデン氏は今回、その批判を前提に、長期刑を受けた人々への救済に踏み出した形です。
「時代遅れの量刑加算」をどうするか
バイデン氏はさらに、薬物犯罪に関わる「時代遅れの量刑加算」にも言及しました。量刑加算とは、一定の条件に当てはまる場合に刑期を上乗せする仕組みのことで、犯罪歴の有無や関わった薬物の量などが考慮されます。
しかし、社会の見方や薬物政策が変化するなかで、過去に設計された量刑加算の一部は、今の基準から見れば過度に厳しいものとなっているとの指摘もあります。バイデン氏は、そうした「時代遅れ」の基準によって長く服役してきた人々を対象に、刑期の短縮を図る考えを明確にしました。
「歴史的な誤り」をどう正すか
バイデン大統領は、今回の減刑を「歴史的な誤りを正す」ための一歩だと位置づけました。ここでいう誤りとは、主に以下のような点を指していると考えられます。
- 現在の基準から見れば、明らかに長すぎる量刑が過去に多数存在してきたこと
- 薬物の種類や形状といった要素によって、実態以上の差がつけられてきたこと
- その結果、同じような罪でも、受ける刑が大きく異なる「量刑の格差」が生じてきたこと
長期にわたって収監されてきた人々にとって、減刑は家族や地域社会との生活を取り戻す重要なチャンスになります。同時に、社会全体にとっても、「どこまでが妥当な刑なのか」「過去の量刑をどう見直すべきか」という問いを改めて突きつける出来事となっています。
日本の読者にとっての論点
今回のバイデン大統領の決定は、米国固有の薬物政策や量刑の議論であると同時に、刑罰と社会復帰のバランスをどう考えるかという、より普遍的なテーマを示しています。日本の読者にとっても、次のような論点を考えるきっかけになりそうです。
- 法律が変わったとき、過去の判決をどこまでさかのぼって見直すべきか
- 「厳罰化」と「再チャレンジの機会」の両立をどう図るか
- 量刑の不公平を是正する仕組みを、どのように制度化できるか
2025年も終わりに近づくなかで、米国では一人の大統領が、自らの任期の終盤に大規模な減刑に踏み切りました。この動きは、国際ニュースとしての注目を集めるだけでなく、「刑罰は何のためにあるのか」という根本的な問いを、世界の多くの社会に投げかけています。
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Reference(s):
cgtn.com








