米国防衛費をGDP3%以上に 国防長官がNATOに5%要求、欧州に波紋
米国の国際ニュースでいま注目されているのが、防衛費をどこまで増やすべきかという議論です。米国の国防長官ピート・ヘグセス氏が、防衛費を国内総生産(GDP)比3%以上に引き上げるべきだと訴え、さらに北大西洋条約機構(NATO)加盟国にもGDP比5%の国防支出を求めたためです。
米国防長官「防衛費はGDP比3%以下にすべきでない」
ヘグセス国防長官は、ドイツ南西部シュトゥットガルトで記者団に対し、米国の防衛費について「GDP比3%を下回るべきではない」と述べました。シュトゥットガルトには米アフリカ軍の司令部が置かれており、その訪問の場で方針を示したかたちです。
同氏は、これまでのバイデン政権の方針を念頭に「バイデン政権は歴史的に軍の能力に十分な投資をしてこなかった」と批判し、より積極的な国防支出を主張しました。
2024年12月には、米上院が2025会計年度の国防権限法(National Defense Authorization Act)を可決しており、国防予算は8,950億ドル規模と前年度比1%の増額にとどまっています。一方、世界銀行はストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータを引用し、米国の2023年の軍事支出はGDP比およそ3.4%だったとしています。
すでに3%台にあるとされる米国の防衛費について、ヘグセス氏は今後も「3%を下回らない」水準を維持し、さらに引き上げていく必要があるとの見方を示したことになります。
NATOに「5%」要求 欧州からは「現実的でない」との声
ヘグセス氏は米国だけでなく、NATO加盟国に対しても厳しいメッセージを送りました。各国の国防支出をGDP比5%まで引き上げるよう求め、「それは欧州大陸に投資する必要性の表れだ」と強調したのです。現在の目標とされる水準の2倍以上を求める、かなり野心的な提案と言えます。
同氏はまた「欧州大陸はあらゆる侵略から自由であるべきだが、そのための負担は、まずは近隣の国々が最も多く負うべきだ」と述べ、欧州側の自助努力を強く促しました。
しかし欧州の多くの関係者は、GDP比5%という数字を実現可能とは見ていません。ドイツのオラフ・ショルツ首相はNATOへの支出目標を順守する姿勢を示しつつも、トランプ氏が求める水準は高すぎると指摘しています。
ドイツの場合、仮に防衛費をGDP比5%とすると、年間2,000億ユーロ(約2,040億ドル)を超える規模となります。ドイツの連邦予算全体が5,000億ユーロに満たないことを考えると、財政の大半を国防に割かざるを得ない水準であり、現実性を疑問視する声が出るのも無理はありません。
ウクライナ戦争と「米軍派遣なし」の立場
ヘグセス氏は、ウクライナ情勢についても言及しました。同氏によれば、トランプ氏はウクライナで「迅速な和平合意」を実現すると約束しているといいます。
一方で、米軍兵士をウクライナに派遣する考えは否定しました。記者団の問いに対して「我々は米軍をウクライナに送ることはない」と明言し、軍事的な関与を強めつつも、直接の地上部隊派遣は避ける方針を示しました。
数字で見る防衛費 3%と5%が意味するもの
今回の発言で注目されるのは、「GDP比3%」と「GDP比5%」という二つの数字です。比率で聞くと分かりにくいですが、具体的なイメージに置き換えると、その重さが見えてきます。
- 米国の場合:2023年にすでにGDP比約3.4%を軍事費に使っていたとされ、その規模は世界最大級です。それでもヘグセス氏は、さらなる上積みが必要だと訴えています。
- ドイツの場合:GDP比5%を国防に充てれば、年間2,000億ユーロ超と試算されます。これは、教育、福祉、インフラなど他の分野との配分を大きく見直さざるを得ない水準です。
こうした数字は、単に安全保障の議論にとどまらず、「限られた国家予算を何に優先的に使うのか」という政治的な選択そのものを映し出しています。
日本の読者への問いかけ 安全保障と財政のバランス
2025年12月現在、ウクライナをめぐる紛争が続くなかで、米国の防衛費増額論やNATO加盟国への負担増要求は、欧州だけでなく、同じく同盟関係にある日本にとっても無関係ではありません。
- 安全保障環境が厳しくなる中で、防衛費をどこまで増やすべきなのか。
- 教育、医療、少子化対策など、他の重要な政策分野とのバランスをどう取るのか。
- 同盟国同士で、どのように負担を分かち合うべきなのか。
ヘグセス国防長官の「GDP比3%」や「5%」という強いメッセージは、単に米国や欧州の問題にとどまりません。日本を含む各国が、自国の安全保障と財政のあり方を改めて考えるきっかけを提供していると言えます。
通勤途中やスキマ時間に、この数字が意味する重さを一度立ち止まって考えてみることで、ニュースの見え方は少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







