アフリカ連合、スーダン即時停戦を要求 悪化する人道危機と政治移行
アフリカ連合(AU)が、内戦状態にあるスーダンの交戦当事者に対し、即時停戦と政治移行の開始を強く求めています。アフリカでも世界でも最悪級とされる人道危機が、今も拡大し続けているためです。
スーダンで続く「全面戦争」とAUの危機感
政治・平和安全保障を担当するバンコレ・アデオイAU委員は、エチオピアの首都アディスアベバにあるAU本部で開かれている第38回AU首脳会議の場で、「スーダンは全面戦争の状態にあり、アフリカ、さらには世界でも最悪の人道危機となっている」と述べました。
そのうえで、スーダン軍(SAF)と準軍事組織ラピッド・サポート・フォース(RSF)、さらにそれぞれを支える同盟勢力に対し、「流血を止める」ことを求め、直ちに停戦し政治的移行に踏み出すよう呼びかけました。
アデオイ氏は「女性や子どもに対する深刻な侵害を含む、あらゆる形の違反を非難する」と述べ、一般市民への被害の大きさへの強い懸念を示しています。
死者2万8,700人超、避難民1,400万人以上
国際機関の最近の推計によると、2023年4月中旬にスーダン軍(SAF)とRSFの間で戦闘が勃発して以降、これまでに2万8,700人以上が死亡し、1,400万人を超える人々が家を追われました。事態は悪化の一途をたどっています。
- 死者:2万8,700人超
- 避難民・国内外の避難を強いられた人々:1,400万人以上
アフリカ連合は、この長期化する紛争がアフリカ大陸全体の安定と人道状況に深刻な影響を与えているとみています。
AUが求める即時停戦と「包括的な政治移行」
スーダンは現在、AUからの加盟資格を停止されていますが、それでもなお、アデオイ氏によれば、スーダン情勢はAU委員会や平和安全保障理事会、そしてアフリカ内外の「平和を愛する関係者」の「積極的な関心」の対象であり続けています。
スーダン側がAUに対して加盟資格停止の解除を求めていることについて、アデオイ氏は、解除の条件として「包括的な政治移行」が必要だと強調しました。
また、制裁や措置を検討する場合には、「アフリカ民主主義・選挙・ガバナンス憲章」の手続きに従う必要があり、その過程では「民主的で立憲的な政治移行」に向けた目に見える努力が欠かせないと指摘しました。
しかし、現状については「いまスーダンで起きていることは、そうした方向には向かっていない」と述べ、AUが共有する価値や原則がどの程度守られているのかを見極める必要があるとの認識を示しました。
加盟停止の背景:2021年の非常事態宣言
AUがスーダンの加盟資格を停止したのは2021年10月27日でした。その2日前、スーダン暫定主権評議会の議長であり、スーダン軍トップでもあるアブデル・ファッタハ・アルブルハン氏が非常事態を宣言し、統治機構である評議会を解散したことが理由とされています。
AUは、軍事的な権力掌握や憲法秩序の中断に対して厳しい立場を取る姿勢を打ち出してきました。今回の停戦と政治移行の呼びかけは、単なる人道的配慮にとどまらず、AU自身が掲げる民主主義と立憲主義の原則を回復させたいというメッセージでもあります。
創設メンバー・スーダンの「評判」も揺らぐ
アデオイ氏は、深刻な人道危機に加え、今回の紛争が、アフリカ統一機構(OAU、現在のAUの前身)の創設メンバーであるスーダンの評判を傷つけていることにも言及しました。
歴史的には、スーダンはアフリカの地域統合や独立後の国家建設を支えてきた国の一つでした。そのスーダンが、内戦と人道危機の象徴のように語られる状況は、AUにとっても看過できない問題だと言えます。
これからの焦点:停戦合意と包摂的な対話は実現するか
今後、国際ニュースとして注目すべきポイントを整理すると、次のようになります。
- スーダン軍とRSFが、AUの求める即時停戦にどこまで応じるか
- 武力ではなく、文民勢力も含めた「包括的な政治移行」の枠組みが構築されるか
- AUが、加盟停止や制裁といった手段をどのような条件で見直すのか
- 拡大する人道危機に対し、アフリカ内外の支援がどこまで届くのか
2023年に始まったスーダンの紛争は、2年以上が経った現在も出口が見えていません。アフリカ連合が改めて強いメッセージを発したことで、戦闘当事者がどこまで態度を変えるのか。アフリカ、そして世界の安全保障と人道のあり方を考えるうえで、引き続き注視が必要な局面です。
Reference(s):
AU urges immediate ceasefire in Sudan as humanitarian crisis worsens
cgtn.com








