ウクライナ危機で米露協議、サウジで開始へ ウクライナ抜きの二重トラック
ウクライナ危機をめぐり、米国とロシアがサウジアラビアで直接協議を開始する予定です。ウクライナや欧州の代表が当初は参加しないこの米露協議は、2025年12月9日(火)から始まる見通しで、今後の和平プロセスの行方を左右する可能性があります。
サウジで始まる米露協議の枠組み
CNNが報じたところによると、米国とロシアはウクライナ危機をテーマに、サウジアラビアで協議をスタートさせます。舞台となるサウジは、単なる開催地にとどまらず、仲介役としても関与する見通しです。
米側からは、マルコ・ルビオ国務長官、中東特使のスティーブ・ウィトコフ氏、国家安全保障担当のマイク・ウォルツ大統領補佐官が出席する予定です。
一方、チャイナ・メディア・グループ(CMG)によりますと、ロシア側は政治、情報機関、経済の各分野から高官を集めた交渉チームを編成しているものの、具体的な参加者名はまだ公表されていません。
サウジアラビア政府関係者はCNNに対し、自国は交渉のホストであると同時に、調停役としても関わると説明しており、サウジ側の代表団は国家安全保障担当補佐官が率いるとされています。
ウクライナと欧州はなぜ参加しないのか
今回のサウジでの協議には、ウクライナや欧州の代表は招かれていません。この点が、国際社会の大きな関心事になっています。
ただし、トランプ政権のロシア・ウクライナ問題特使、キース・ケロッグ氏によると、今週はウクライナの首都キーウでも別の協議が進められる予定で、いわば「二重トラック(二本立て)」の交渉体制になると説明されています。
ドナルド・トランプ米大統領は日曜日、ウクライナ側も交渉に関与すると発言しています。またルビオ国務長官は、サウジでの初期段階の協議が前向きに進めば、次のフェーズではウクライナと欧州の参加が見込まれるとしています。
つまり、まずは米露とサウジによる枠組みで「地ならし」を行い、その後に当事者であるウクライナと欧州を招き入れる構図が念頭に置かれているとみられます。
ゼレンスキー大統領の中東歴訪と複雑な思惑
こうした動きと並行して、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、現在アラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、経済協力について協議しています。ウクライナの第一副首相兼経済相のユリヤ・スビリデンコ氏は、ゼレンスキー大統領が近くサウジアラビアも訪れ、地域の複数の国と経済協定に署名する予定だと明らかにしました。
一方で、スビリデンコ氏の発表の数日前、ゼレンスキー大統領はミュンヘン安全保障会議で記者団に対し、サウジアラビア、UAE、トルコ(トルコ語表記に基づく Türkiye)を訪問する意向を示しつつ、これらの国々でロシア側や米国側の代表と会う予定はないと強調しています。
ゼレンスキー大統領は記者団に、「私はロシア側とは会わないし、そこで米国側とも会うつもりはありません」と述べました。経済協力を軸に中東諸国との関係強化を図りつつも、米露双方との直接対話には慎重な姿勢を崩していないことがうかがえます。
サウジ仲介の意味と広がる外交の舞台
今回のウクライナ危機をめぐる国際ニュースでは、サウジアラビアの役割も重要なポイントです。エネルギー大国であり、中東・イスラム世界で影響力を持つサウジが、米露間の協議の場と仲介役を担うことは、紛争解決の舞台が欧米中心から多極化している現実を映し出しているとも言えます。
サウジは、米国ともロシアとも関係を保ちながら、自国の安全保障や経済的利益を追求してきました。そのサウジがウクライナ危機の協議をホストすることで、地域の安定と国際的な存在感を同時に高めようとしている可能性があります。
これからの注目ポイント
今回のサウジでの米露協議と、キーウでの協議がどのように連動していくのかは、今後の国際情勢を考えるうえで重要な焦点になります。主な注目点を整理すると、次のようになります。
- サウジアラビアでの初期協議がどこまで具体的な合意や共通認識につながるのか
- ルビオ国務長官が示唆したように、第二段階としてウクライナと欧州が交渉のテーブルにつくタイミングと条件
- キーウで進められる「もう一つの協議」と、サウジでの米露協議との役割分担や優先順位
- 中東を歴訪するゼレンスキー大統領が、経済協力を軸にどのように自国の交渉力を高めていくのか
ウクライナ危機をめぐる外交の舞台は、いまサウジアラビア、キーウ、中東各国へと広がりつつあります。米露とサウジ、そしてウクライナや欧州が、どのような形で接点を見いだしていくのか。読者一人ひとりが、自分なりの視点でこの「二重トラック」の行方を追っていくことが求められています。
Reference(s):
U.S.-Russia talks on Ukraine crisis set to begin in Saudi Arabia
cgtn.com








