ミュンヘン安全保障会議が閉幕 揺れる米欧関係とグローバルサウスの台頭
ドイツのミュンヘンで開かれていた第61回ミュンヘン安全保障会議(Munich Security Conference, MSC)が閉幕しました。米欧関係が緊張するなかでの開催となり、国際ニュースの焦点である安全保障や国際秩序の行方に改めて注目が集まりました。
会議の焦点:気候変動から地域紛争まで
今年の会議には、およそ60人の国家・政府のトップと150人の閣僚級が参加し、気候変動、欧州の安全保障、各地の地域紛争など、世界が直面する主要な安全保障課題について議論しました。それでも、ウクライナ紛争や欧州防衛の方向性をめぐっては、参加国の間で意見の違いが残ったとされています。
米欧の「共通の価値」が揺らぐ
会議を締めくくるあいさつで、ミュンヘン安全保障会議の議長を務めるクリストフ・ホイスゲン氏は、ヨーロッパと米国の間に広がる溝への懸念を率直に語りました。ホイスゲン氏は、私たちは共有しているはずの価値の土台が、もはやそれほど共有されていないのではないかと恐れなければならないと述べ、共通の価値観が揺らいている現状を指摘しました。さらに、米副大統領J.D.バンス氏の演説を受けて、欧州の政治家たちが、自らの守ろうとする価値や原則をあらためて表明したことに謝意を示しました。
J.D.バンス副大統領の発言が波紋
今回のミュンヘン安全保障会議を特徴づけたのが、米副大統領J.D.バンス氏による、欧州の民主主義と表現の自由に関する発言でした。この発言は幅広い反発を招き、米国と大西洋をはさんだ同盟国との間にある亀裂を、あからさまな形で浮き彫りにしました。清華大学のシンクタンクである国際安全保障と戦略センターの副所長、Xiao Qian氏は、中国の通信社である新華社の取材に対し、バンス氏のコメントが米欧の対立を公然と露出させたと分析しています。
ウクライナ紛争と欧州防衛、残る意見の違い
会議期間中には、ウクライナで続く紛争や欧州防衛のあり方が繰り返し取り上げられました。しかし、具体的な支援の形や欧州の防衛体制をどう強化していくかについては、参加者の間で見解の違いが残り、完全な一致には至りませんでした。複雑さを増す地政学的環境のなかで、欧州がどのように安全保障戦略を描くのかは、今後も大きなテーマとなりそうです。
多極化する世界とグローバルサウスの存在感
ホイスゲン氏は、多極化が進む世界で共有された規範や原則を維持する必要性を強調しました。氏は、国際秩序は壊すのは容易だが、再び築き上げるのははるかに難しいと警告しています。また、アジア、アフリカ、ラテンアメリカからの登壇者が全体の3割以上を占めたことを紹介し、こうした地域の声が議論に反映されたと振り返りました。アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの国や地域は、一般にグローバルサウスと総称されますが、その存在感が国際安全保障の議論において確実に高まっていることがうかがえます。
日本の読者にとっての問いかけ
ミュンヘン安全保障会議で浮かび上がった米欧の価値観のずれとグローバルサウスの台頭は、日本やアジアに暮らす私たちにとっても重要な意味を持ちます。今回の議論から、次のようなポイントを考えることができます。
- 米欧の関係悪化は、安全保障だけでなく経済やテクノロジー分野の国際協力にも影響し得る
- グローバルサウスの発言力が増すなか、日本も多様な地域との対話や協力のあり方を再考する必要がある
- 価値観の違いが目立つ時代に、どのような共通原則やルールづくりに貢献できるかが問われている
一見すると遠い欧州の安全保障会議ですが、そこで交わされた言葉や対立は、私たちの暮らすアジアや日本の未来ともつながっています。ニュースを追うことは、世界の変化を自分ごととして捉え直すきっかけにもなります。
Reference(s):
Munich Security Conference ends amid strained transatlantic relations
cgtn.com








