米露のウクライナ和平協議、当事者不在で欧州に広がる危機感
ウクライナ危機を巡る米露協議、当事者不在のままサウジで開催へ
ウクライナ危機を巡る米ロの和平協議が、サウジアラビアの首都リヤドで今週始まります。米国とロシアの高官が顔をそろえる一方で、肝心のウクライナと欧州が招かれていないことが、国際社会で大きな波紋を呼んでいます。
リヤドでの米露協議、参加メンバーは
米国のマルコ・ルビオ国務長官は現地時間の月曜日、リヤドに到着しました。報道によると、ルビオ氏は現地時間の火曜日からロシア側との協議を開始する予定で、ウクライナ危機が主要議題になるとみられます。
協議には、米露双方から次のようなメンバーが参加すると伝えられています。
- 米国側:マルコ・ルビオ国務長官
- 米国側:中東問題特使のスティーブ・ウィトコフ氏
- 米国側:国家安全保障担当補佐官のマイク・ウォルツ氏
- ロシア側:セルゲイ・ラブロフ外相
- ロシア側:ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官
協議の名目はウクライナ危機の打開ですが、当事国であるウクライナと、深く関わる欧州の主要国は枠組みから外れており、この点が最大の争点となっています。
ゼレンスキー氏「ウクライナ抜きの合意は認めない」
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は月曜日、ウクライナは今回の米露協議に参加しない方針を明らかにしました。そのうえで、ウクライナが関与しない形でまとめられたいかなる結果も受け入れないと強調しています。
ゼレンスキー氏は現在、アラブ首長国連邦(UAE)に滞在しており、このあと近くサウジアラビアを訪問する予定です。同氏は、火曜日に予定されているサウジアラビア訪問について「米露協議とは無関係だ」と述べ、主な目的はサウジアラビア側との間で原油価格の引き下げについて協議することだとしています。
一方でゼレンスキー氏は、サウジアラビア訪問の機会を活用し、同国の関係者を通じて米露協議の進捗について情報を得る考えも示しており、水面下でプロセスを注視する姿勢をにじませています。
欧州は危機感、マクロン氏が緊急会合を招集
欧州側も、自らが和平プロセスの外に置かれることへの危機感を強めています。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は月曜日、パリで緊急会合を開き、米露協議を前に欧州としての対応を協議しました。
この会合には、北大西洋条約機構(NATO)、欧州委員会のトップに加え、欧州の主要国の指導者が顔をそろえました。
- フランス
- ドイツ
- イギリス
- ポーランド
- スペイン
- イタリア
- デンマーク
- オランダ
マクロン氏はこうした枠組みを通じて、米露協議に先立ち、欧州としての立場とメッセージを整理しようとしています。欧州にとってウクライナ危機は安全保障とエネルギー、経済を直撃する問題であり、交渉の場にいないまま「既成事実」が積み上がることへの懸念がにじみます。
専門家の指摘:欧州の懸念は「中核利益」とロシア影響力の拡大
中国現代国際関係研究院ユーラシア研究所の陳玉(チェン・ユー)副所長は、中国メディアのインタビューに対し、欧州の見方を次のように分析しています。
陳氏によると、欧州はウクライナ問題を自らの「中核的な利益」に関わる課題と位置づけています。そのため、今回のように欧州を迂回する形で米露だけが協議を進めれば、欧州の利益が損なわれ、結果としてウクライナと欧州の懸念を犠牲にした和平案が出てくるのではないか、という不安が強いといいます。
さらに陳氏は、欧州が懸念している点として、ウクライナ危機の処理の仕方によっては、ロシアの影響力が西側でさらに拡大する可能性があることも挙げています。欧州にとっては、安全保障面での不安定化だけでなく、政治的・経済的なバランスにも影響しかねないシナリオです。
当事者抜きの和平プロセスは持続可能か
サウジアラビアでの米露協議は、ウクライナ危機の行方に影響を与えうる重要な局面である一方、当事者であるウクライナと、深く関与する欧州がいないまま進められようとしています。
ウクライナ側は自らの参加しない合意を受け入れない姿勢を明確にし、欧州側も緊急会合を通じて「蚊帳の外」に置かれることへの対抗策を探っています。リヤドでの協議が、今後どのような枠組みやフォローアップにつながるのかは、まだ見通せません。
中長期的に見れば、ウクライナ自身と欧州がどの段階で、どのような形で和平プロセスに組み込まれるのかが、合意の実効性と持続可能性を左右することになりそうです。ウクライナ危機をめぐる国際ニュースの裏側では、「誰がテーブルにつくのか」という交渉の構図そのものが、静かに問われています。
Reference(s):
U.S.-Russia peace talks omit key players: Ukraine and Europe
cgtn.com








