トランプ政権が数千人の連邦職員を大量解雇 背景に「スリムな政府」構想
米トランプ政権が、明確な不正の証拠を示さないまま数千人規模の米連邦政府職員を解雇したと、米紙ワシントン・ポストが報じました。連休中の突然の人員削減は、労働組合や専門家から強い反発を呼び、法廷闘争に発展しつつあります。
連休中に進んだ「大量解雇」 何が起きたのか
同紙によると、多くの職員は祝日を含む週末のあいだに解雇を言い渡されました。各省庁の管理職は、トランプ政権から「火曜日までに解雇を実行するように」という指示を受けていたとされます。
こうした慌ただしく誤りも多い解雇手続きは、職員同士のグループチャットやオンライン掲示板で「バレンタインの虐殺(英語で St. Valentine's Day Massacre)」と皮肉を込めて呼ばれています。
標的となったのは「試用期間」の職員
今回の大量解雇で特に狙われたのは、「試用期間」にあたる職員でした。試用期間の職員は正式採用の職員に比べて身分保障が弱く、解雇への異議申し立てが難しいとされています。
対象となったのは、新しく採用された人だけではありません。報道によると、次のような人たちも一括して解雇の対象になったといいます。
- 最近、別の省庁から異動してきた職員(在職年数が長くても、新しい部署では試用扱い)
- 退役軍人として採用された人
- 障害がある人を速やかに採用するための特別プログラムで雇われた人(ただし2年間の試用期間が課される)
こうした人々の中には、長年公務に携わってきた人も多く含まれており、「なぜ自分が解雇されたのか説明がない」と戸惑う声も報じられています。
「証拠なしの解雇」に対抗する労働組合
試用期間の職員は、本来、解雇に対して不服を申し立てる権利が大きく制限されています。しかし、労働組合側は今回の「証拠なしの大量解雇」を黙って受け入れるつもりはないようです。
報道によれば、連邦職員を代表する複数の労働組合の幹部は、今回の一斉解雇を裁判で争う方針を表明しました。連邦職員最大の労働組合も、解雇の取り消しや損害賠償を求める法的措置を取る構えを見せています。
すでに9つの官庁の職員を代表して行政機関に対する不服申し立てが行われており、これはトランプ氏の権限行使を問う十数件の訴訟に新たに加わる形だと伝えられています。
トランプ政権とマスク氏が描く「スリムな政府」
批判的な専門家らは、今回の大量解雇が、トランプ大統領と起業家イーロン・マスク氏が掲げてきた「よりスリムで形を変えた政府」という構想を急いで実現しようとする動きだとみています。
政権は、行政の効率化やコスト削減を狙って人員削減を進めているとされますが、急激な削減は行政サービスの質の低下や安全保障上のリスクにつながりかねないとの懸念も根強くあります。人員を削ることと、必要な仕事を維持することのバランスがとれるのかが大きな論点です。
地図作成者からがん研究者まで 広がる影響
解雇の対象は、特定の部署にとどまりませんでした。ほぼすべての省庁にまで広がり、たとえば次のような職種の人々が含まれていたとされます。
- 国の地図作成や測量に携わる職員
- 遺跡の調査などを行う考古学者
- がん研究を進める科学者
こうした職員は、本来であれば、米人事管理局(OPM)が指針で定める「使命遂行に不可欠な」人材にあたるとみなされるはずだ、と指摘する声もあります。それだけに、「本当に残すべき人が解雇されているのではないか」という不安が広がっています。
公共セクターの「安定」と「変革」をどう両立させるか
今回の報道は、政府がどこまで急激な人員削減に踏み込むべきか、そして試用期間にある人々の権利をどのように守るべきかという、より広い問いを投げかけています。
- 行政の効率化と公共サービスの質の維持は、どこで線を引くべきか
- 試用期間中の公務員をどこまで保護するべきか
- 政治が変わるたびに専門職のキャリアが大きく左右されることを、どう考えるか
米国で起きているこの議論は、安定した行政サービスを求める市民と、「小さな政府」を掲げる政治リーダーとのあいだで、世界各地で共有されているジレンマでもあります。今後、法廷闘争の行方とともに、トランプ政権の「スリムな政府」構想がどこまで進むのかが注目されます。
Reference(s):
Trump admin fires thousands of workers without evidence: report
cgtn.com








