ドイツ連邦選挙2025、CDU/CSUが首位 メルツ氏は欧州の自立を強調
2025年のドイツ連邦議会選挙で、保守系のキリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟からなるCDU/CSUが第1党となる見通しです。ドイツ公営放送ARDが日曜日の夜に発表した暫定結果で明らかになりました。
ARDによると、CDU/CSUの得票率は28.5パーセント。これに右派政党ドイツのための選択肢AfDが20.6パーセントで続き、中道左派の社会民主党SPDは16.5パーセントと大きく後退しました。
環境政党の緑の党は11.8パーセントで4位、左派党ディ・リンケは8.7パーセントでした。自由民主党FDPは4.4パーセント、サーラ・ワーゲンクネヒト連合BSWは4.9パーセントとされ、いずれも連邦議会に議席を得るための5パーセント条項をわずかに下回る見込みです。
今回の投票率は84パーセントと、1990年以来で最も高い水準となりました。新たに選ばれた連邦議会が、今後の連立協議を経て次期首相を選出します。
CDU/CSUが首位も、交渉力は限定的
CDU/CSUの首相候補フリードリヒ・メルツ氏は、勝利宣言の演説で、今夜は祝うが翌日からは直ちに政権づくりに取りかかると述べ、新政権の樹立に素早く動く姿勢を示しました。
ただし、CDU/CSUの得票率は戦後2番目に低い水準とされ、議会で単独過半数を得ることはできません。今後の政権樹立には1党または2党との連立が不可欠で、メルツ氏の交渉力は必ずしも強くないとの見方も出ています。
また、他の主要政党はAfDとの協力を拒んでいるため、第2党となったAfDが連立に参加する可能性は低いとみられます。このことが、議席配分しだいで連立の組み合わせを一段と難しくする要因となっています。
SPDは歴史的敗北 ショルツ首相は続投を表明
SPDを率いるオラフ・ショルツ首相は、今回の結果について、社会民主党にとって苦い選挙結果であり明確な敗北だと述べ、自らに責任があると認めました。その上で、新たな連立政権が成立するまで首相として職務を続ける考えを示しました。
AfDが第2党に浮上 小政党の行方がカギ
AfDが第2党に躍進したことで、ドイツ政治の重心が右方向に動いたとの見方もあります。一方で、緑の党とディ・リンケが2桁近い得票を確保したことから、中道左派や環境重視の声も一定の存在感を保っているといえます。
一方、FDPとBSWが5パーセントの壁を下回った場合、議席を失う可能性があります。ドイツ連邦議会では、全国得票率が5パーセント以上の政党のみが議席を得られる仕組みとなっており、小さな差が議席配分と連立の可能性を大きく左右します。
メルツ氏が掲げる欧州の自立と米国への距離感
メルツ氏はこれまで大西洋協調を重視する政治家と見られてきましたが、今回の勝利演説では選挙戦中の米国側の発言を到底受け入れがたいものだと強く批判しました。選挙期間中には、トランプ政権が欧州の国防支出をめぐって厳しい言葉を投げかけ、AfDにも接近したとされています。
メルツ氏は、欧州連合EUをできるだけ早く強化し、段階的に米国からの真の自立を目指すことが絶対的な優先事項だと強調しました。また、欧州の安全保障を支えてきた北大西洋条約機構NATOについても、今後の首脳会議で現在の形が維持されるかどうかを問う発言を行い、同盟のあり方に一石を投じました。
こうした批判にもかかわらず、トランプ大統領は今回の選挙結果を歓迎し、自身のSNSで、米国と同じようにドイツの人びとも長年続いた常識を欠いたエネルギー政策や移民政策にうんざりしたのだと主張しました。米独関係は今後、新政権の外交姿勢によって新たな段階に入る可能性があります。
連立協議の行方と欧州への影響
CDU/CSUが第1党となったとはいえ、議会で安定多数を確保するには連立が不可欠です。AfDが連立の相手になりにくい中で、緑の党やSPD、ディ・リンケなどとの複雑な組み合わせが模索されるとみられます。
連立協議が長期化すれば、次期首相の選出も遅れます。2025年12月8日現在、どの政党がどの程度譲歩し、どのような政策合意を形成できるのかが焦点となっています。
ドイツは欧州最大の経済大国であり、その政権の方向性はEUの経済運営、対ロシア政策、エネルギー転換、移民政策など、欧州全体の課題に直接影響します。さらに、メルツ氏が掲げる欧州の自立路線は、NATOを含む安全保障枠組みや米欧関係にも波紋を広げる可能性があります。
読者が押さえておきたい3つのポイント
- CDU/CSUが第1党となったものの、得票率は戦後2番目に低く、連立交渉の行方が不透明なこと
- AfDが第2党になり、FDPやBSWが5パーセント条項を下回る可能性があるなど、政党システムが大きく揺れていること
- メルツ氏が欧州の自立と米国からの距離を前面に出しており、ドイツの外交と安全保障政策が転換期を迎える可能性があること
ドイツ発のこの政治の動きは、世界経済や安全保障にも影響を及ぼし得るテーマです。日本にいる私たちにとっても、エネルギー政策や民主主義の在り方を考えるヒントとして、今後の展開を継続的にフォローしていく価値があります。
Reference(s):
Germany's CDU/CSU leads federal election: preliminary results
cgtn.com








