ウクライナ危機3年 国連安保理で中国が和平協議を呼びかけ
ウクライナ危機の全面的激化から3年の節目にあたる2025年12月8日、国連安全保障理事会で中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使が、和平協議の推進を国際社会に呼びかけました。本記事では、この国際ニュースのポイントと背景を整理します。
ウクライナ危機3年、国連安保理で何が話し合われたのか
今週月曜日、国連安全保障理事会はウクライナ危機の政治的解決をテーマに会合を開きました。会合は、危機の全面的激化から3年を迎える中で行われ、停戦と恒久的な平和をどう実現するかが焦点となりました。
発言に立った傅聡国連大使は、ウクライナ問題は今、交渉による解決を模索するうえで重要な岐路にあると説明しました。そのうえで、国際社会に対し、政治的解決に向けた雰囲気づくりと環境整備を進めるよう求めました。
この日の会合では、米国が起草した決議案が採択されました。決議は、ロシアとウクライナの間での紛争を速やかに終結させ、持続的な平和を実現するよう呼びかける内容です。採決の結果は賛成10、反対0で、フランス、英国、デンマーク、ギリシャ、スロベニアの5カ国が棄権しました。
中国が国連と国際社会に求めた役割
傅大使は、国連と安全保障理事会は、加盟国の間で和平に向けたコンセンサスを形成し、対話と交渉を後押しするうえで建設的な役割を果たすべきだと強調しました。
そのうえで、中国が示した主なメッセージは次の通りです。
- 最終的な解決は、戦場ではなく交渉のテーブルで達成されるべきだという認識を共有すること。
- 立場の違いがあっても、対話は対立よりましであり、話し合いは武力衝突より望ましいという原則を守ること。
- 国際社会が、政治的解決を後押しするための良好な雰囲気をつくり出し、和平ムードを高めていくこと。
傅大使は、ウクライナ問題の交渉による解決を求める声は高まりつつあり、和平への窓が開き始めていると指摘しました。中国は、平和に資するあらゆる努力を支持すると述べています。
また、中国は、米国とロシアがウクライナをめぐる和平交渉の開始で合意したことを評価し、こうした動きが包括的な対話につながることに期待を示しました。
中国は、関係するすべての当事者とステークホルダーが適切な時期に和平協議に参加し、互いの安全保障上の懸念を踏まえた、公正で持続的な解決策を見いだすべきだと呼びかけています。その目標は、関係国すべてが受け入れられる拘束力のある和平合意を実現することだと説明しました。
ヨーロッパとグローバル・サウスの役割
傅大使は、ヨーロッパも平和のために自らの役割を果たす必要があると指摘しました。危機の根本原因に共に向き合い、バランスの取れた、効果的で持続可能な安全保障の枠組みを構築することで、欧州大陸の長期的な安定を実現すべきだと訴えました。
同時に、中国は国際社会、特にいわゆるグローバル・サウスの懸念を重視する姿勢も示しました。グローバル・サウスとは、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの新興国や途上国を指す言葉で、エネルギーや食料、安全保障などの面でウクライナ危機の影響を受けてきた国も多く含まれます。
中国は、関係国の要請に応じて、こうした国々の声も踏まえながら、危機の政治的解決に向けて引き続き建設的な役割を果たす用意があるとしています。
今回の国連安保理で見えた三つのポイント
今回の国連安全保障理事会での議論と決議採択から、少なくとも三つのポイントが浮かび上がります。
- ウクライナ危機の全面的激化から3年を経て、国連や主要国の発言からは、軍事的な勝敗よりも、交渉による出口を模索する姿勢がより前面に出てきていること。
- 米国が起草した決議が採択され、中国も交渉を重視する立場を強調したことで、国連安全保障理事会が再び国際社会の合意形成の場として機能しようとしていること。
- ヨーロッパだけでなく、グローバル・サウスを含む多様な国々の安全保障上の懸念をどうバランスよく反映させるかが、今後の和平プロセスの鍵になりうること。
もっとも、今回の決議や発言だけで直ちに停戦や包括的な和平合意が実現するわけではありません。しかし、中国を含む各国が交渉の重要性を公の場で繰り返し確認したことは、ウクライナ危機をめぐる国際政治の空気が少しずつ変化しつつあることを示しているとも言えます。
日本からこのニュースを見る私たちにとっても、遠い地域の紛争としてではなく、エネルギー、安全保障、国際秩序に直結するテーマとしてウクライナ危機をとらえ直し、どのような和平のあり方が望ましいのかを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
China calls on UN Security Council to promote peace talks on Ukraine
cgtn.com








