ブラジル政府、米国の鉄鋼・アルミ関税にWTO提訴含む対抗措置を検討
ブラジル政府は、ドナルド・トランプ米大統領による鉄鋼・アルミ輸入関税の引き上げに対し、世界貿易機関(WTO)での対応を含む「あらゆる措置」を数週間以内に検討すると表明しました。ブラジルと米国の経済関係が深い中での動きとして、国際貿易の先行きに改めて注目が集まっています。
ブラジル「正当な国益守るため、あらゆる措置」
ブラジル政府は現地時間の水曜日、ドナルド・トランプ米大統領が全ての鉄鋼とアルミニウム輸入に対する関税を引き上げたことを受けて声明を発表しました。声明によると、政府は今後数週間で、WTOでの手続きも含め、取り得る全ての対抗措置を検討し、米国の措置による有害な影響を打ち消し、正当な国益を守る方針です。
関税引き上げは、米国が「米国に有利な形で世界貿易を再編する」と掲げる通商戦略の一環として、水曜日に発効しました。鉄鋼とアルミは、自動車や建設など幅広い産業の基礎素材であり、国際的なサプライチェーンへの波及が懸念されています。
ブラジルの対米輸出に直撃、2024年は約32億ドル
ブラジル外務省と開発・産業・外国貿易省は共同声明で、今回の米国の措置がブラジルの鉄鋼・アルミ輸出に重大な影響を与えると警告しました。両省によれば、ブラジルの対米鉄鋼・アルミ輸出額は2024年に約32億ドルに達しており、その多くが新たな関税の対象となる見通しです。
ブラジル政府は、長年にわたる両国の「歴史的な協力と経済統合」を踏まえれば、今回の関税引き上げは「不当で誤った決定」だと批判しています。声明は、米国がブラジルとの貿易で一貫して黒字を計上してきたことを指摘し、2024年の財貨ベースの米国側の貿易黒字は約70億ドルに上ったとしています。
ブラジルは、米国にとって三番目に大きな米国産製鉄用石炭の輸入国であり、半製品の鉄鋼では最大の対米輸出国とされています。今回の関税は、ブラジル国内の製鉄業だけでなく、米国向けのサプライチェーンにも揺さぶりをかける可能性があります。
ルラ政権は対話も模索、冷静な対応を強調
ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は、経済チームに対し、トランプ政権との対話の道を探るよう指示しました。フェルナンド・ハダジ財務相は、水曜日にブラジリアで国内の鉄鋼業界関係者と会談した後、記者団にその方針を明らかにしました。
ハダジ財務相によると、ルラ大統領は「過去には現在よりも不利な条件のもとで交渉してきた経験がある」と述べ、政府として冷静さを保つよう求めたといいます。ブラジル政府は、対抗措置の検討と並行して、外交ルートを通じた解決も目指す構えです。
今後の焦点:WTOと交渉の行方
ブラジルが挙げる「あらゆる措置」の中で、最も注目されるのがWTOでの対応です。加盟国は、相手国の貿易措置が自由貿易のルールに反していると判断した場合、WTOに申し立てを行い、協議や紛争解決手続きに入ることができます。
一方で、ルラ政権が強調するように、米国との直接交渉も重要な選択肢です。関税の適用範囲を一部緩和したり、特定の品目や数量に例外を設けたりする余地があるのかどうかが、今後の協議の焦点となりそうです。
国際貿易の緊張はどこまで高まるのか
鉄鋼やアルミのような基礎素材への関税引き上げは、特定の二国間関係にとどまらず、世界のサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。コストの上昇は、最終製品の価格や企業の投資判断にも波及し、消費者や労働者にも間接的な負担となり得ます。
今回のブラジルの動きは、米国の通商政策に対し、各国がどのようにバランスを取りながら対応していくのかを考えるうえで、ひとつの試金石と言えます。日本を含む多くの国や地域にとっても、鉄鋼・アルミ市場の動向と通商ルールを巡る駆け引きから目が離せない状況が続きそうです。
Reference(s):
Brazil says it will consider all measures against U.S. tariffs
cgtn.com








