トランプ・プーチン電話会談へ ロシア・ウクライナ停戦は実現するのか
ロシア・ウクライナ危機をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と今週火曜日に電話会談を行う予定です。ウクライナがすでに受け入れた「30日間の停戦案」は、本当に実現に向かうのでしょうか。これまでの米ロ協議の流れと、専門家の見方を整理します。
電話会談の狙い:30日間の停戦と「土地」「発電所」
トランプ大統領はフロリダからワシントンに向かう大統領専用機内で記者団に対し、「ロシアとの関係はうまくいっていると思う」と述べ、火曜日にプーチン大統領と協議する予定だと明らかにしました。この週末だけでも多くの実務的な協議が進んだと強調しています。
トランプ氏がプーチン氏の支持を取り付けたいのは、ウクライナがすでに受け入れた30日間の停戦提案です。その際の焦点として、大統領は「土地」と「発電所」を挙げました。ロシアとウクライナの間で、どの地域をどちらが実効支配するのか、そして原子力発電所を含む主要な発電施設の所有権と運用をどうするのかが、核心的な争点になっていることがうかがえます。
焦点は領土と原発 「ゼロサムゲーム」となるリスク
中国社会科学院ヨーロッパ研究所の研究員、趙俊傑(Zhao Junjie)氏は、今回の電話会談とその後の交渉では、ウクライナの国境線の引き直しが主な焦点になるとみています。ロシア側は領土や原子力発電所の所有権をめぐって具体的な要求を提示する可能性が高く、ロシアとウクライナ双方の間で激しい対立を招きかねないと指摘します。
趙氏は、この構図を西側の「ゼロサムゲーム」(一方の得が他方の損になる)に近いと表現します。ウクライナにとって、どのような形であれ領土を譲ることは、国内の世論やメディアから強い反発を招く可能性があります。趙氏は「土地の交換を交渉することは、全体の中でも最も難しい部分だ」とし、どちらかが優位に立てば、補償や領土に関する何らかの譲歩を引き出すこともあり得ると分析しています。
- 領土線の見直しそのものが政治的に極めて敏感
- 原子力発電所を含むインフラの所有と管理は、安全保障と直結
- 国内世論の反発をどう抑えるかが、各国指導者にとって大きな課題
ここまでの米ロ接触:リヤドとイスタンブールの協議
最近、米ロはウクライナ危機と二国間関係をめぐり、頻繁に接触を重ねてきました。これに先立ち、トランプ氏とプーチン氏は電話会談を行い、ウクライナ情勢と紛争の平和的解決について意見を交わしています。ロシア大統領府のペスコフ報道官によれば、トランプ氏は迅速な停戦と問題の平和的解決を重視しているとし、プーチン氏は紛争の「根本原因」を取り除く必要性を強調したということです。両首脳は今後も連絡を取り合い、将来的な対面会談の可能性も含めて調整を続けることで一致しました。
その後、両国の高官レベルでの対話が本格化しました。2月18日には、サウジアラビアのリヤドで米ロの高官代表団が会談し、3年間続くロシア・ウクライナの衝突を終わらせ、二国間関係を修復する方向で協力していくことで合意しました。中東担当の米特使スティーブ・ウィトコフ氏は、この協議を「前向きで建設的」と評価し、ロシア大統領府のユーリ・ウシャコフ大統領補佐官も「主要な論点を幅広く、真剣に話し合った」と述べています。
米国務省の発表によれば、両国は二国間関係の「障害」となっている問題に対処し、外交団の活動を正常化するための協議メカニズムを設置することで一致しました。今後は高官チームが指名され、ウクライナ紛争をできるだけ早く終息させるための具体的な「道筋づくり」に着手する予定です。
専門家が見る「転換点」の可能性
趙俊傑氏は、こうした流れを踏まえ、今週火曜日のトランプ・プーチン会談は「一定の前進」を生む可能性があるとみています。その背景には、紛争が長期化するなかで、ロシアもウクライナも大きな代償を払い続けている現実があります。ロシアは軍事・経済両面でコストを負担し、ウクライナ側では今も兵士の犠牲が日々続いているとされます。趙氏は、双方とも「平和と和解を模索せざるを得ない段階」に達していると分析します。
さらに趙氏は、新たな米政権がウクライナ紛争に対するスタンスを変えつつある点にも注目します。もしワシントンが紛争終結に向けた圧力と仲介を一段と強めれば、ロシアとウクライナの双方もその流れに従わざるを得ないとの見方です。
ウクライナ問題と並行して、米ロは二国間関係そのものの立て直しも協議しています。2月27日には、トルコのイスタンブールで米ロ代表団による会談が6時間以上にわたって行われ、2016~2018年の間に米国内で押収されたロシアの外交関連施設6カ所の扱いなど、デリケートな問題に踏み込みました。会談後、米国務省は「建設的な議論を通じて、二国間の外交ミッションを安定させるための具体的な初期措置を特定した」と説明しています。
趙氏は、トランプ政権がロシアとの関係再構築を進めるなら、協議はウクライナにとどまらず、核兵器管理や欧州通常戦力条約の見直し、人員の安全保障、戦略物資の供給などにも広がる可能性があると指摘します。そうなれば、ロシアと欧州連合(EU)との緊張を和らげ、ロシア・ウクライナの衝突終結に向けた追い風になるかもしれません。
一方で、領土や発電所の扱いといった核心部分で意見が平行線のままであれば、停戦や恒久的な和平を実現するのは一段と難しくなると、趙氏は慎重な姿勢も崩していません。
停戦はどこまで現実的か 読者が押さえたい3つの視点
火曜日の電話会談が、どこまで具体的な停戦合意につながるかは不透明です。ただ、国際情勢を考えるうえで、次の3つの視点は意識しておく価値がありそうです。
- 短期停戦と長期和平の関係:30日間の停戦が、一時的な緊張緩和にとどまるのか、それとも領土問題や安全保障、エネルギーを含む包括的な和平プロセスへの入り口となるのか。
- 当事者と仲介役のバランス:米ロが交渉を主導するなかで、ウクライナの意思や安全保障上の懸念がどこまで尊重されるのか。外部大国の思惑と、現地で暮らす人びとの安全をどう両立させるのか。
- 米ロ関係の再接近が世界にもたらす影響:米ロの協力が進めば、欧州の安全保障やエネルギー市場、さらにアジアを含む国際秩序にどのような波及効果が生じるのか。逆に、協議が決裂した場合のリスクは何か。
ロシア・ウクライナ危機をめぐる今回の停戦協議は、単なる一時的な軍事的休止にとどまるのか、それとも国際秩序の再編につながる転換点となるのか。火曜日のトランプ・プーチン会談の行方は、今後の国際ニュースを読み解くうえで重要な指標になりそうです。ニュースの続報を追いながら、自分ならどのような停戦条件が「公正」だと感じるのか、身近な人と意見を交わしてみるのも一つの視点かもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








