イエメン北部で米軍が新たな空爆 ガザと紅海危機が連動
2025年3月中旬、米軍がイエメン北部サアダ県で新たな空爆を行い、ガザ情勢や紅海の緊張と重なり合う形で、地域全体の不安定さがあらためて浮き彫りになりました。
この記事では、2025年3月中旬に報じられたイエメン北部での米軍空爆と、その背景にあるガザ情勢や紅海での緊張を整理します。
イエメン北部サアダ県で米軍が新たな空爆
フーシ派が運営するアル=マシーラTVによると、米軍は火曜夜、イエメン北部サアダ県の北西部に位置するマジズ地区タフヤを空爆しました。
- 空爆はイエメン北部サアダ県マジズ地区タフヤが標的
- これまでのところ、死傷者に関する情報は報告されていない
- 米側からの公式なコメントや説明は出ていない
被害の全容は明らかになっていませんが、同県ではその直前の週末にも米軍による攻撃があったとされ、現地では住民が壊れた住宅のがれきを確認する様子が、2025年3月17日時点の写真で伝えられています。
フーシ派「イスラエル空軍基地を極超音速ミサイルで攻撃」
今回の空爆の前には、イエメンのフーシ派がイスラエル南部のネバティム空軍基地を、自らが「パレスチナ2」と呼ぶ極超音速ミサイルで攻撃したと主張していました。
フーシ派は、このミサイル攻撃は「目標の達成に成功した」と発表しましたが、イスラエル軍は声明で、ミサイルはイスラエル領空に入る前に空軍によって迎撃されたと説明し、真っ向から食い違う見解を示しました。
極超音速ミサイルとされる兵器が中東で使われたとの主張は、事実関係の検証とともに、地域の軍事バランスにどのような影響を与えるのかという点でも注目されています。
紅海の船舶攻撃と米軍の継続的な空爆
フーシ派はその前の週、ガザ地区への圧力を強める目的で、紅海やアラビア海、アデン湾、バブ・エル・マンデブ海峡でイスラエル関連の船舶への攻撃を再開すると表明していました。
この声明によれば、フーシ派は、ガザへの通行が再開され、必要な人道支援が許可されるまで攻撃を続ける姿勢を示しています。
一方、トランプ米大統領は、フーシ派が紅海での船舶攻撃をやめるまで米軍の攻撃を継続すると述べ、その直後の土曜日には米軍がイエメンへの新たな空爆を実施しました。今回のサアダ県への攻撃は、そうした一連の軍事行動の延長線上にあるとみられます。
ガザ空爆とフーシ派指導者の「最大限のエスカレーション」警告
同じ火曜日の早朝、イスラエル軍はガザ地区全域に大規模な空爆を行い、400人以上が死亡したと伝えられています。この空爆により、1月19日に発効したばかりの停戦はもろくも崩れ、国際社会からは強い非難が集まりました。
こうした中で、フーシ派指導者のアブドルマリク・アル・フーシはアル=マシーラTVで放送された演説で、イスラエルによるガザへの攻撃が止まらなければ「最高レベルのエスカレーションを再開し、できる限りのことを行う」と警告しました。
ガザでの空爆、紅海や周辺海域での船舶攻撃、そしてイエメン北部への報復的な空爆が、互いに影響し合う形で緊張を高めている構図が浮かび上がります。
広がる地域緊張と今後の焦点
今回明らかになった一連の動きは、以下の三つのポイントで中東情勢をめぐる不安定さを物語っています。
- イエメン北部での空爆により、すでに脆弱な地域の安全保障と人道状況がさらに悪化するおそれがあること
- ガザでの空爆と停戦崩壊が、フーシ派など域内の武装組織による対イスラエル行動や船舶攻撃の大義名分として用いられていること
- 紅海やアデン湾、バブ・エル・マンデブ海峡といった海上交通の要衝が、軍事的な緊張の舞台となり、国際的な物流やエネルギー供給への影響が懸念されること
サアダ県での死傷者数や被害の詳細、そして米側の公式な説明はいまだ示されていません。情報が限られる中で、現地の実態をどのように把握し、ガザと紅海をめぐる危機の連鎖をどこで断ち切るのかが、今後の大きな課題となります。
フーシ派やイスラエル軍、米軍の発表内容にはそれぞれ立場の違いがあり、事実関係の検証には時間を要します。日本を含む国際社会にとっては、中東で同時進行する複数の緊張がどこまで広がるのか、引き続き慎重な注視が求められます。
Reference(s):
cgtn.com








