スーダン軍トップがRSFに「全面勝利」宣言 交渉拒否で深まる行き詰まり
約2年におよぶとされるスーダンでの紛争が続くなか、スーダン軍トップのアブデル・ファッタ・アル・ブルハン氏が準軍事組織RSFに対し「全面勝利」を宣言し、停戦交渉の可能性を改めて否定しました。首都ハルツームでは軍が大統領宮殿や空港など重要施設を掌握したと発表する一方、人道危機は深刻さを増しています。
アル・ブルハン氏「撤退も妥協もしない」と強調
スーダン暫定主権評議会の議長であり、スーダン軍(Sudanese Armed Forces=SAF)の司令官でもあるアル・ブルハン氏は、現地時間の土曜日に放送されたテレビ演説で、準軍事組織「即応支援部隊(Rapid Support Forces=RSF)」との対決姿勢を鮮明にしました。
アル・ブルハン氏は演説で、軍とRSFとの対立について次のように述べたと伝えられています。
- 「民兵組織を打ち破るという軍の約束から退くことはない」
- 「RSFとの交渉も妥協もない」
この発言は、軍が戦場で優勢に立ちつつあるという認識を背景に、政治的な妥協よりも軍事的勝利を優先する姿勢を改めて示したものと受け止められます。
首都ハルツームで軍が巻き返し 宮殿と空港を制圧
アル・ブルハン氏の強硬な言葉を裏づけるように、スーダン軍は2025年3月21日、首都ハルツーム中心部にある大統領宮殿と主要な政府庁舎を掌握したと発表しました。これはRSFにとって象徴的にも戦略的にも大きな拠点の喪失を意味します。
2023年からRSFが抑えていた空港も奪還
さらに、その5日後には、ハルツーム国際空港を制圧したと軍が発表しました。この空港は、2023年4月以降、RSFが掌握してきたとされる場所で、補給や部隊の移動の要衝でもあります。
軍が空港を取り戻したと主張したことは、首都周辺での戦況が軍に有利に傾きつつあるというメッセージでもあります。
ハルツームの一行政区を完全掌握と主張
軍高官は今週、首都地域を構成する三つの行政区のうち「ハルツーム locality」について、軍が全域を掌握していると説明しました。首都の一角とはいえ、行政区全体の支配を主張したことは、RSFの影響力を軍が徐々に押し戻しているという印象を強めています。
約2年におよぶ紛争 数万人の死者と1500万人超の避難
SAFとRSFの対立は、およそ2年にわたって続いているとされ、国連の報告によると、すでに次のような深刻な被害が生じています。
- 死者は「数万人」にのぼる規模とみられる
- 1,500万人以上が住む場所を追われ、国内外で避難生活を余儀なくされている
- 国全体が飢饉の瀬戸際に追い込まれている
医療体制の崩壊も深刻です。国連は、スーダンの医療システムが崩壊しつつあり、正確な死傷者数を把握することが難しいと指摘しています。戦闘による直接の犠牲だけでなく、治療を受けられないことによる死亡も増えているとみられます。
停戦仲介は行き詰まり 双方に人権侵害と支援妨害の疑い
国際社会などによる停戦仲介の試みも、現在は行き詰まりを見せています。ユーザーの入力によると、停戦に向けた仲介努力は停滞しており、戦闘当事者であるSAFとRSFの双方が、人権侵害や人道支援の妨害で非難を受けています。
本来であれば、停戦交渉や人道回廊の確保(支援物資や医療チームが安全に往来できるルートの設置)が優先されるべき状況ですが、アル・ブルハン氏は「交渉も妥協もない」と明言しており、政治的な出口戦略を模索する余地は狭まっています。
「全面勝利」路線は何を意味するのか
軍が首都の一部で支配を強めていることは、短期的にはアル・ブルハン氏の強気な発言を後押ししているように見えます。しかし、「全面勝利」を掲げて交渉を拒む路線には、いくつかのリスクも伴います。
- 戦闘の長期化により、民間人の犠牲や避難生活がさらに拡大するおそれ
- 軍事的な優勢があっても、政治的な和解なしには不安定さが続く可能性
- 人道支援のアクセスが確保されなければ、飢饉や医療危機が深刻化する懸念
戦場での優勢を背景に「交渉なし」を貫くのか、それとも人道面の危機を踏まえた妥協の道を探るのか。スーダンの指導部の選択は、国内の人びとの生活だけでなく、地域の安定にも影響を与えかねません。
日本や世界の読者にとっての意味
遠く離れたスーダンのニュースは、一見すると日常からは遠い話に感じられるかもしれません。しかし、約2年におよぶ紛争と大規模な人道危機は、国際社会全体が直面する「どう紛争を終わらせ、どう人びとの命を守るか」という問いを映し出しています。
今回のスーダン情勢から、日本や世界の読者が考えたいポイントを三つ挙げてみます。
- 軍事的な「勝利」は、本当に紛争の終わりと安定をもたらすのか
- 当事者が交渉を拒むなかで、人道支援の道をどう確保できるのか
- 国連など国際機関の警告に対し、世界はどこまで支援と関与を続けられるのか
スーダンで起きていることは、紛争の「遠いニュース」ではなく、和平や人権、人道支援について私たち自身の価値観を問い直す材料でもあります。今後、停戦の糸口が見えるのか、それとも軍事的解決をめぐる緊張が続くのか。スーダン情勢は、引き続き注視が必要です。
Reference(s):
Sudan's army chief pledges full victory over paramilitary forces
cgtn.com








