トランプ米大統領、ロシア産原油の買い手に最大50%の二次関税を警告
ロシア産原油の買い手に最大50%の追加関税を課す――。2025年1月に就任したトランプ米大統領が、ウクライナ紛争の終結をめぐりロシアに圧力をかけるため、二次関税の新たな選択肢に言及しました。本稿では、この国際ニュースのポイントと背景を、日本語で分かりやすく整理します。
トランプ氏「プーチンに激怒」 ロシア産原油の買い手に最大50%関税を警告
米メディアの報道によると、トランプ米大統領は日曜日の電話インタビューで、プーチン露大統領に対して「激怒している」と述べました。そのうえで、もしモスクワが自身のウクライナ停戦仲介の取り組みを妨げていると判断した場合、ロシア産原油を購入する国からの米国への輸入品に対し、25~50%の二次関税を課す用意があると警告しました。
ここでいう二次関税とは、制裁対象国そのものではなく、その国から石油やガスを買っている第三国の対米輸出品に追加で関税を上乗せする措置を指します。ロシアから原油を購入する国々に、間接的に圧力をかける狙いがあるとみられます。
トランプ氏は、こうした新たな通商措置は「1カ月以内」に発動可能だとしたうえで、近くプーチン氏と協議する意向も示しました。当時、ロシア側からの即時の公式な反応は伝えられていません。
背景には、プーチン氏がウクライナのゼレンスキー大統領の指導力の信頼性に疑問を投げかけたことがあります。プーチン氏は先週、ウクライナを一時的な統治下に置き、選挙をやり直すことでゼレンスキー氏を排除する可能性に言及していました。トランプ氏は、こうした発言に強い不満を抱いているとされています。
高まる停戦への圧力 フィンランド大統領は「期限」を提案
トランプ大統領は2025年1月の就任以来、ロシア・ウクライナ紛争の停戦に向けた仲介役を自任してきましたが、目に見える成果は限定的です。今回の強い言葉には、停戦が進まないことへの焦りもにじんでいるように映ります。
こうしたなか、フィンランドのスタブ大統領が週末にフロリダを電撃訪問し、トランプ氏と会談しました。スタブ氏の事務所によりますと、同氏はロシア・ウクライナ間の停戦には明確な期限を設定する必要があると伝え、トランプ氏の就任から3カ月となる4月20日を、一つの目標日として提案したということです。
ウクライナ資源を巡る「重要鉱物」合意案
米政府高官らは別のルートで、ウクライナ政府に対し「重要鉱物」に関する合意案を受け入れるよう働きかけています。その要約によると、この合意は今後数年間にわたり、ウクライナの天然資源から得られる収入について、米国が実質的な管理権を持つ内容になっているとされています。
ゼレンスキー大統領は、この案について詳細にコメントする前に、キエフの弁護士チームが草案を精査する必要があると述べており、慎重な姿勢を示しています。
レアアースを巡る米ロ協力案も 浮上する資源外交
ウクライナとの重要鉱物合意をめぐる交渉の後、プーチン氏は米国に対し、ロシア国内のレアアース(希土類金属)鉱床を将来共同で探査する経済協力案も提示しました。
ロシアのメディア「イズベスチヤ」は、モスクワとワシントンがすでにロシアでのレアアースやその他のプロジェクトに関する協議を開始していると報じました。同紙によると、こうした協力については、4月中旬にサウジアラビアで予定されていた次回の米ロ協議の場で、さらに議論される可能性があるとも伝えられていました。
ベネズエラ・イランにも広がる「関税外交」
トランプ氏は大統領就任以降、米国の貿易赤字を問題視し、貿易黒字を抱える国からの輸入品に対して関税を繰り返し引き上げてきました。鉄鋼やアルミニウム、自動車への高関税は、カナダや欧州連合(EU)などの米同盟国にも影響を与えています。
今回のロシア産原油の買い手への二次関税を示唆する前の週には、すでにベネズエラから石油やガスを購入している国からの米国への輸入品に、一律25%の二次関税を課す措置を発動しています。ロシアだけでなく、エネルギー産出国と取引する第三国全体に圧力を広げる動きと言えます。
さらにトランプ氏は、イランの核兵器開発をめぐる問題でも圧力を強めています。イランが核計画を放棄する新たな合意に応じなければ、イラン産原油の買い手に対しても二次制裁を科すと警告しました。3月初めには、トランプ氏がイランの最高指導者ハメネイ師に書簡を送り、イランが新たな交渉入りに応じなければ軍事的な対決の可能性もあると伝えたとされています。
これに対し、イランのマスード・ペゼシキアン大統領は日曜日、米国との直接対話の選択肢は退けたものの、第三国を介した間接交渉には前向きな姿勢を示しました。同氏は、イランは原則として交渉に反対していないが、米国はまず過去の「不当な行為」を正し、信頼を再構築する必要があると強調しています。
専門家は「市場に新たな混乱」 二次関税の実効性にも疑問
こうしたトランプ政権の通商・制裁戦略について、米商務省の元高官で、現在はシンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)に所属するウィリアム・ラインシュ氏は、米国内に新たな混乱を引き起こすと警鐘を鳴らしています。
ラインシュ氏は、トランプ氏の関税発表の仕方は場当たり的で、多くの点が不透明なままだと指摘します。特に、どの国がどの程度ロシア産原油を購入しているのかを、米当局がどのように把握し、証明するのかという点について、明確な説明が示されていないとしています。
ウクライナ停戦と国際経済 日本への含意は
ロシア産原油やイラン産原油の買い手に対する二次関税や二次制裁は、当事国だけでなく第三国の企業や消費者にもコストを転嫁する「圧力の連鎖」を生み出します。ウクライナ紛争の早期終結を目指す手段として評価する見方がある一方で、エネルギー市場の混乱や多国間協調の分断を懸念する声もあります。
日本やアジアの国々も、ロシアやイラン、ベネズエラなどからの資源に一定程度依存しているため、米国の二次関税や制裁が本格的に導入されれば、原油価格の変動やサプライチェーン(供給網)への影響が避けられない可能性があります。ウクライナ情勢とイラン情勢、そして資源外交が複雑に絡み合うなかで、どのような枠組みが紛争の抑制と国際経済の安定を両立させるのかが、2025年の国際社会に問われていると言えます。
Reference(s):
Trump threatens new Russia tariffs as pressure grows to end conflict
cgtn.com








