ウクライナ世論調査:トランプ和平案「不公正になる」懸念が5割超
ウクライナの最新世論調査で、トランプ米大統領が掲げるロシア・ウクライナ紛争の和平案について、過半数の人が不公正な形で終結するのではないかと懸念していることが分かりました。国際ニュースとして重要なこの動きを、数字と背景から整理します。
過半数が不公正な和平を予想
ウクライナの世論調査機関、キーウ国際社会学研究所(KIIS)は、ウクライナが実効支配する地域に暮らす住民1326人を対象に、3月12〜22日にかけて調査を行いました。
トランプ米大統領の和平努力がどのような結果をもたらすと考えるかを尋ねたところ、回答は次のように分かれました。
- むしろ不公正な和平だが、ウクライナの要求の一部は満たされると見る人:32%
- 完全に不公正な和平になると見る人:22%
- むしろ公正な和平だが、ロシアへの一部譲歩を伴うと見る人:15%
- 完全に公正な和平が実現すると信じる人:3%
不公正な結果になると予想する回答(32%+22%)は合計で54%に達し、公正な和平を見込む回答(3%+15%)を大きく上回りました。KIISによると、トランプ米大統領の和平努力に批判的な見方が、ウクライナ社会で主流になりつつあることを示しています。
トランプ米大統領の「迅速な終結」公約と不信感
トランプ米大統領は、3年目を迎えたロシア・ウクライナ紛争について、迅速に終結させると繰り返し約束してきました。一方で、就任後には紛争の責任の一端をウクライナ側に求める発言を行ったほか、ウクライナへの軍事支援と情報共有を一時的に停止した経緯があります。
こうした一連の動きが、ウクライナの人々の不信感を強めているとみられます。KIISは別の質問で、ウクライナ人の67%が「米国はウクライナに疲れ始めており、譲歩を受け入れるよう圧力をかけている」と感じていると報告しました。
つまり多くの人にとって、トランプ米大統領の和平構想は「戦争を終わらせる」案であると同時に、「ウクライナ側に不利な譲歩を迫る」案とも受け止められている可能性があります。
数カ月で悲観論が拡大
今回の結果は、ウクライナ世論の見方が短期間でより悲観的な方向に傾いていることも示しています。KIISによると、前回の12月の調査では、トランプ米大統領の和平努力について次のような予想が示されていました。
- むしろ不公正な和平になると見る人:20%
- 完全に不公正な結果になると見る人:11%
今回の調査では、この2つの数値がそれぞれ32%と22%へと大きく上昇しています。わずか数カ月の間に、「不公正な和平」を予想する人の割合が倍近くに増えたことになります。
KIISのアントン・フルシェツキー事務局長は、声明の中で「2025年以前から米国のウクライナでの行動には一定の失望があったが、トランプ政権はその米国への不満をかなり決定的なものにしつつある」と述べています。
ウクライナと米国の関係に何を示すか
今回の世論調査は、ロシア・ウクライナ紛争の行方だけでなく、ウクライナと米国の関係にとっても意味のあるシグナルです。ウクライナ社会の中で、米国が「信頼できる安全保障の後ろ盾」から「譲歩を迫る交渉当事者」へと見え方が変化しつつある可能性があるためです。
特に、
- 過半数がトランプ米大統領の和平案を不公正と予想していること
- 米国がウクライナに「疲れ」、譲歩を迫っていると感じる人が7割近くに上ること
といった数字は、今後提示されるかもしれない和平案に対するウクライナ世論の受け止め方を左右し得ます。ウクライナ政府がどのような妥協案を検討するにしても、国内世論の支持は不可欠だからです。
一方で、完全な「公正な和平」を期待する人は3%、譲歩付きの「むしろ公正な和平」と合わせても18%にとどまっています。2025年12月8日現在、ウクライナ社会には、迅速な停戦よりも「どのような条件で終わるのか」を重視する慎重な空気が強いと言えそうです。
ロシア・ウクライナ紛争をめぐる国際ニュースを読むうえで、現地の人々がどのように米国の役割やトランプ米大統領の発言を受け止めているのかは、見落とされがちですが重要な視点です。今回の調査結果は、「早く終わる和平」と「公正な和平」のどちらを優先すべきなのかという、難しい問いを改めて投げかけています。
Reference(s):
Poll: Over 50% of Ukrainians fear Trump may lead to unjust peace
cgtn.com








