ルビオ米国務長官、NATOへの関与継続を表明 同盟国に国防費5%を要求
2025年12月現在、アメリカと北大西洋条約機構(NATO)の関係をめぐる「負担分担」の議論が続くなか、マルコ・ルビオ米国務長官が同盟への関与継続を明言しつつ、欧州とカナダに対して大幅な国防費増額を求めました。
ルビオ「米国はNATOにとどまる」
ルビオ国務長官は、ブリュッセルで開かれたNATO外相会合に初めて出席し、記者団に対してワシントンの姿勢を説明しました。長官は、ドナルド・トランプ大統領がNATOを支持していると強調したうえで、「米国はNATOにとどまる」と述べ、同盟から離脱する意向はないと明確にしました。
そのうえでルビオ氏は、「NATOをより強く、より持続可能な同盟にするには、重要な構成国である各国が、より大きな能力を持つことが不可欠だ」として、加盟国自身の防衛能力強化が欠かせないと訴えました。
目標はGDP比5% 従来の2%から一気に引き上げ
ルビオ長官が今回示したのは、加盟国の国防費を国内総生産(GDP)比5%まで引き上げるという野心的な目標です。これは、NATOが現在掲げている2%目標を大きく上回る水準で、一部の加盟国はいまだ2%にも達していないのが実情とされています。
同長官は、この5%目標が「1年や2年で達成できるものではない」と認めつつも、いま求めているのは、実現に向けた現実的で具体的な道筋だと強調しました。つまり、即時の達成ではなく、いつまでにどの程度まで引き上げるのかという「本気度」が問われているというメッセージです。
もし5%という水準が本格的に議論されることになれば、各国の財政や社会保障、インフラ投資などとの優先順位をどうつけるのかという、国内政治にも直結する大きなテーマになっていきます。
ルッテ事務総長「冷戦後最大の増額、しかしまだ足りない」
NATOのマルク・ルッテ事務総長も、防衛費をめぐるルビオ氏の問題提起に呼応しました。ルッテ氏は、ヨーロッパ諸国とカナダの国防費は、冷戦終結後で最大規模の増加となっていると説明し、すでに大きな進展があることを指摘しました。
一方で同氏は、今後の安全保障環境を踏まえると、欧州とカナダの国防費はGDP比で3%を上回る水準が必要になるとの見方も示しました。これはルビオ氏の掲げた5%よりも低いものの、NATOの従来目標である2%からは明確な引き上げを求める考えです。
ルビオ長官とルッテ事務総長の発言は、表現の強さや具体的な数字こそ異なるものの、「同盟国はこれまで以上に自らの安全保障に責任を持つべきだ」という点で重なっています。
何が変わる? 2025年のNATOと「負担分担」議論
今回のやり取りは、2025年のNATOが直面している現実を象徴しています。アメリカは同盟への関与継続をあらためて確認しつつも、その条件として欧州とカナダに対する負担増を明確に求めているからです。
仮に、5%や3%超といった新たな水準が広く共有されていくとすれば、NATO内部では次のような変化が意識されるようになります。
- 各国の国防費計画を中長期的に見直す必要性が高まる
- 装備調達や兵力構成だけでなく、防衛産業や技術開発への投資がより重視される
- 増額された財源をどの分野に振り向けるのかをめぐり、国内での議論が一段と活発になる
同盟の結束と「圧力」という二つのメッセージ
ルビオ長官の発言は、「米国はNATOにとどまる」という安心感を示す一方で、「それでもなお、現状のままでは不十分だ」という圧力も同時にかけるものになっています。
これは、アメリカのコミットメントを維持しながらも、同盟全体としての負担分担を見直したいという意図の表れと見ることができます。NATOの将来像をめぐる議論は、今後もアメリカ国内の政治と密接に結びついていくと考えられます。
欧州・カナダ側に突き付けられた選択肢
欧州とカナダにとっては、すでに防衛費を増やしてきたという自負がある一方で、アメリカからはさらに踏み込んだ増額を求められている状況です。
各国は、財政余力や国内世論をにらみながら、次のような点で判断を迫られることになります。
- どの時点までに、どの水準の国防費をめざすのか
- 国防費増額と、福祉や教育など他の政策分野とのバランスをどう取るのか
- アメリカとの関係をどう位置づけつつ、NATO内で主体性を高めていくのか
これから注目したいポイント
今回のNATO外相会合をきっかけに、加盟国間での防衛費をめぐる駆け引きはさらに細かくなっていきそうです。今後の注目点を整理すると、次のようになります。
- 外相会合や首脳レベルの会合の共同文書で、5%や3%超といった数字がどの程度言及されるのか
- 5%を最終目標とするのか、それとも3%台で折り合うのかという「落としどころ」の行方
- アメリカ国内でのNATO支持・不支持の議論に、今回のルビオ発言がどう影響するのか
ルビオ国務長官とルッテ事務総長の発言は、NATOの負担分担をめぐる議論を一段と具体的でシビアなものへと押し上げました。同盟国の動きは、NATO非加盟の国々を含め、世界の安全保障を考えるうえで重要な指標になっていきそうです。
Reference(s):
Rubio reaffirms U.S. commitment to NATO but tells allies to spend more
cgtn.com








