トランプ政権に抗議、米欧で大規模デモ 関税・移民政策に反発する市民の声
アメリカとヨーロッパ各地で、ドナルド・トランプ米大統領の政権運営に抗議する大規模なデモが行われました。国際ニュースとしても注目される今回の動きは、「相互関税」や政府機関の閉鎖、移民の強制送還といった政策への反発が一気に噴き出した形です。
米欧で同時多発する「Hands Off」デモ
今回の抗議行動は、アメリカ国内とヨーロッパの都市を含む多数の地域で、土曜日(現地時間)に一斉に行われました。主催者側によると、アメリカだけで約60万人が参加し、全50州で1,400件を超える集会やデモが確認されています。テーマは「Hands Off(手を出すな)」で、市民の生活や権利を守るよう訴えるメッセージが前面に出されました。
ヨーロッパでも、アメリカと歩調を合わせる形で、複数の都市で抗議行動が実施されたとされており、トランプ政権の政策が米国内にとどまらず、国際社会にも波紋を広げていることがうかがえます。
150以上の団体が結集 「ふつうの人」が主役の市民運動
この抗議デモは、アメリカの市民団体や労働組合、退役軍人の団体など、150以上の組織が連携して実現したものです。参加者は州議会議事堂や連邦政府の建物、議会事務所、社会保障局の庁舎、市庁舎、公園などに集まりました。場所そのものが、今回のテーマ――「政府のあり方」と「生活の基盤」を象徴していると言えます。
主催団体のひとつである市民団体「MoveOn」のエグゼクティブ・ディレクター、ラーナ・エプティング氏は、次のように語っています。
「この平和的な運動を支えているのは、看護師、教師、学生、親たちといったごく普通の人々です。私たちは団結し、あきらめず、そしてまだ始まったばかりなのです。」
政治や国際ニュースに関心が高い人だけでなく、日常生活の不安や不満を抱える「ふつうの人」の参加が広がっていることが、このコメントからも伝わってきます。
なぜ抗議が広がったのか 焦点となる3つの政策
デモ参加者が特に問題視しているのは、トランプ政権の次の3つの柱となる政策です。
- いわゆる「相互関税(reciprocal tariffs)」の導入
- 連邦政府機関の閉鎖(シャットダウン)
- 移民の強制送還を伴う厳格な移民政策
「相互関税」への不安:貿易と雇用への影響
相互関税とは、他国の関税水準に合わせて自国の関税を設定しようとする発想の政策と説明されています。一見すると「公平さ」を掲げるようにも見えますが、貿易摩擦の激化や、輸入品価格の上昇を通じて、消費者や産業界に負担をもたらすのではないかという懸念が広がっています。
国際ニュースとして見た場合、アメリカがこうした関税政策を進めれば、同盟国や貿易相手国との関係にも影響が及びます。ヨーロッパの都市でも抗議が行われた背景には、アメリカの貿易政策が自らの経済にも跳ね返ってくるという危機感があると考えられます。
政府機関の閉鎖:行政サービスの「止まる日常」
もうひとつの焦点が、連邦政府機関の閉鎖です。政府機関のシャットダウンは、行政の一部機能が停止し、市民生活やビジネスに直接的な影響を与えます。社会保障関連の窓口や、公的サービスを担う機関が滞ることで、弱い立場にある人ほど打撃を受けやすくなります。
デモ参加者が州議会や連邦政府の施設、社会保障局の庁舎などに集まったのは、「政治的な駆け引きの結果として、市民生活を人質に取るべきではない」というメッセージを示す狙いもあるようです。
移民の強制送還:社会の分断への懸念
そして、移民の強制送還をめぐる政策も強い反発を招いています。移民政策は、アメリカ社会の成り立ちと価値観に深く関わるテーマです。家族の分断や、長年暮らしてきた人々が突然コミュニティから排除される恐れがあることから、人権や社会の分断に対する危機感が高まっています。
今回のデモには、移民当事者だけではなく、教育や医療などの現場で移民と日常的に接する人々も参加しており、「誰を社会の一員とみなすのか」という根本的な問いが投げかけられています。
国際ニュースとしての意味:アメリカ国内の対立が世界に波及
今回の抗議行動は、アメリカ国内の政権運営に対する不満であると同時に、国際社会との関係にも直結する問題を浮かび上がらせています。特に次のような点で、世界、とりわけアジアや日本にとっても無関係ではありません。
- 貿易政策の変化が、世界経済やサプライチェーンに与える影響
- 移民政策の強化が、留学や就労を通じた人的交流に与える影響
- 民主主義社会における市民の抗議行動が、政策決定にどう反映されるのかというガバナンスの問題
ヨーロッパの都市でも連帯するようなデモが起きたという事実は、トランプ政権の政策が「一国の内政」にとどまらず、同盟国やパートナー国にとっても重大な関心事となっていることを示しています。
私たちはこのニュースをどう見るか
今回の大規模デモは、単にトランプ政権への賛否を超え、「生活に直結する政策に、市民がどのように声をあげるのか」を映し出しています。看護師、教師、学生、親たちといった肩書きの人々が前面に出ている点も、いわゆる「プロの活動家」だけの運動ではないことを象徴しています。
日本やアジアに住む私たちにとっても、次のような問いを投げかけるニュースと言えるでしょう。
- 自分の暮らしに直結する政策が変わるとき、どのように情報を集め、意見を表明できるのか
- 国際ニュースとしてのアメリカ政治の動きが、自国の経済や安全保障にどう波及しうるのか
- SNS時代において、市民の声がどのように可視化され、政策決定に影響を与えていくのか
トランプ政権の政策と、それに対する市民の反応は、これからもしばらく国際ニュースの重要なテーマであり続けそうです。読者のみなさんも、ニュースを追いながら、自分なりの視点や問いを更新していくきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Mass protests against Trump administration erupt in U.S., Europe
cgtn.com








