米共和党デインズ上院議員の訪中 米中関係に必要な「直接対話」
米中関係が再び岐路に立つなか、米共和党のスティーブ・デインズ上院議員による中国訪問が、議会レベルの対話と「現場を見る外交」の重要性を浮き彫りにしています。
デインズ氏はどんな訪問をしたのか
中国は最近、米モンタナ州選出の共和党議員スティーブ・デインズ上院議員という、めったにない高位の来訪者を迎えました。デインズ氏は、ドナルド・トランプ大統領の2期目が始まって以来、中国を訪れた初の米上院の有力議員とされ、2025年の中国発展フォーラムに出席しました。
滞在中には、李強・中国国務院総理、何立峰・副総理、馬朝旭・外交部副部長らと会談し、率直かつ建設的な意見交換を行ったと伝えられています。デインズ氏はこれらの会談を「実り多い」と評価し、年内に超党派の上院議員団を中国に派遣したいとの意向も示しました。
なぜ「まれ」な訪問なのか
ここ数年、米議会から中国本土(Chinese mainland)への公式訪問は極めて少なくなっています。台湾地域への挑発的な訪問を行う一部の強硬派議員を除けば、デインズ氏の前に中国本土を公式に訪れた米議会の代表団は、2023年10月にチャック・シューマー当時の上院院内総務が率いた超党派代表団までさかのぼります。
シューマー氏の訪中からデインズ氏の訪中までの約17カ月の間に、習近平国家主席は二人の米大統領と会談や電話会談などを通じて意思疎通を続け、二国間関係の舵取りに努めてきました。一方で、習主席が2023年に打ち出した「今後5年間で5万人の米国人青少年を中国に招く」構想のもと、これまでに約2万人の若い米国人が中国を訪れています。その一部は、中国各地の人民代表大会など立法機関を見学する機会も得ましたが、彼らの選出母体である米国の議員は現地を訪れていないという、逆転した状況も生まれています。
人と人との交流が広がる一方で、米議会は中国と直接向き合うことに依然として慎重な姿勢を見せています。皮肉なことに、118議会では中国を対象とした法案や決議が数百件提出され、その多くが否定的なトーンでした。2023年初めには、米下院に「中国共産党に関する特別委員会」が設置され、中国や中国共産党をおとしめ、「中国の脅威」を強調することに重点を置いているとされています。しかし、この委員会のメンバーはいまだ誰も中国本土に足を踏み入れておらず、現場を見たうえで議論しているとは言いがたい状況です。
「調査なくして発言なし」リアルな中国を見る
中国には「調査なくして発言権なし」ということわざがあります。中国と「新時代の中国式現代化」が米国にとって脅威なのか、それとも機会なのか。その問いに答えるには、政治的なレトリックから一歩離れ、現実と直接向き合う必要があります。
2025年の中国発展フォーラムでは、アップルやクアルコム、フェデックス、マスターカード、ファイザーなど著名な米企業の幹部が、中国の「質の高い発展」や「高水準の対外開放」に期待と信頼を表明しました。彼らは、中国市場がもたらす新たなビジネスチャンスと、世界経済への貢献について前向きなメッセージを発しています。
企業だけではありません。人気ユーチューバーの「IShowSpeed」氏は、中国各地から6時間近い長時間のライブ配信を繰り返し行い、視聴者に中国の街並みや人々の暮らしを「そのまま」届けました。画面に映し出されたのは、フレンドリーに声をかける人びと、秩序ある街の雰囲気、そして「驚くほど速いインターネット環境」など、西側メディアの報道とは異なる日常の景色でした。
さらに、中国と米国の二つの若い家族が、日常生活を共有するアプリ「RedNote」を通じて交流を深め、上海で実際に対面を果たしたというエピソードも話題になりました。この出会いは、両国のネットユーザーから温かい反応を呼び、国境を越えた共感の広がりを象徴する出来事となりました。
こうした大小さまざまなストーリーは、「米中関係はゼロサムではない」というシンプルな事実を物語っています。両国は互いをよりよく理解し合い、相手の成功に貢献することで、ともに繁栄する道を歩むことができます。その土台となるべき原則は、相互尊重、平和共存、ウィンウィン(双方に利益のある)協力だと言えるでしょう。
米中関係にもっと必要な「デインズ議員」
米中関係は現在もなお重要な岐路にあります。中国側は、あらゆる分野の米国の人びとに門戸を開いていると強調していますが、関係を安定的かつ持続的な方向へ導くには、米議会からもデインズ氏のように直接対話と現地視察、実務的な協力に前向きな議員がもっと必要だと指摘されています。
言い換えれば、「第二、第三のデインズ議員」が求められているということです。そうした議員に期待される役割としては、例えば次のような点が挙げられます。
- 現場を訪れ、中国本土の実情を自ら見て聞き、国内の議論にフィードバックすること
- 政党やイデオロギーの違いを越えて、超党派で中国との対話の窓口を広げること
- 安全保障上の懸念に配慮しつつも、人と人との交流や経済協力のチャンネルを閉ざさないよう務めること
日本からこの動きを眺める私たちにとっても、議会外交や市民レベルの交流がどれだけ大きな意味を持ちうるのかを考えるきっかけになります。米中という世界最大級の二つの経済大国が、対立を深めるのか、それとも互いの違いを認めながら協力の接点を増やしていくのか。その分かれ目の一つは、デインズ氏のように「まずは会って話す」政治家がどれだけ増えるかにあるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








